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けんちん汁(映画「風に立つライオン」)

半年前ココアを作るために14㎝位の鍋を欲しくなり、ホーロー素材(ダンスクとか)を見ると価格高くて手が出ず、そのまま放置。そして最近ハトのマークのお店のわけあり市で見つけた鍋が500円。迷わず買いまして、ふたも400円位で追加で買いました。ダンスクの10分の1位の価格の鍋ですけれど、愛着たっぷり。鍋に「煮炊きのシンディ」と名付けまして我が家で活躍しております。この日は2人分の鶏肉入りけんちん汁。16㎝の一回り大きい鍋で作ると余るので、これで作ると食べきりサイズ。いい買い物しました。

けんちん汁と言えば野菜たっぷり。お野菜を、日頃お世話になっているお医者さんに届けていたおばあさんが出てくるシーンがありまして、印象に残っております。その映画は「風に立つライオン」。大沢たかお氏が「映画にしたい!」と熱意を持ち、モデルとなった歌を作ったさだまさし氏に働きかけ、監督の三池氏に働きかけ、製作実現した映画です。アフリカに渡った一人の医師、島田航一郎の物語。「絶対見ろし」と友人に連れていかれ映画館で見ました。

シュバイツァーに憧れてアフリカに渡ったはずの島田航一郎。それが赤十字の医療ボランティアに参加して、生活もメンタルも人生も変えてしまいます。次々と運びこまれてくる負傷者達。その中に、地雷を踏む囮とされる子供達。麻薬で感性を麻痺させて戦地に兵隊として送り込まれる子供達。日本から来ていきなり見てしまった世界は、ショッキングであり受け入れがたい現実でした。任期を終え研究職の現場に戻ったものの、ふさぎ込む航一郎を心配した上司は、彼をマサイ族の村に連れてゆき。現地の人たちとの触れ合いを通して、航一郎は考えます。彼が下した結論は、再び負傷者の治療の現場に身を投じることでした。

この映画は残酷なシーンもあり、見る人を選びます。ちなみに自分の家族は最後まで見られませんでした。支えてくれる人達が多くいた中で、安楽な人生も選べたはずの航一郎は生き急ぐ治療者であり、子供達の心の回復にも携わる人でした。作中において、長く生きて様々な経験を積む人ではなく、当事者への伴走者として世界に何かを訴えかける人でもなく、ひたすらに自分に出来ることを淡々とやり続けた先に、遺体も見つからないような最期を迎えます。その結果、何が遺ったのでしょうか。

書きすぎるとネタバレまみれになってしまいます。航一郎は、目に見えない大切なものを、たくさん遺しました。映画の冒頭シーンが東日本大震災後の、雪のちらつく瓦礫の山。そこに佇む一人の医師。この映画は、菩薩の慈悲を持つかのような、その医師の物語でもあるのでした。「オッケー・ダイジョブ」と、航一郎に見守られ続け、生きなおしを実現した医師の物語なのです。







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