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クリームソーダ(アニメ「ペンギン・ハイウェイ)

梅雨が明けたばかりの夏の日、日光浴と気分転換兼ねて自転車で、ひと気のないその辺を走り周り、帰りに立ち寄ったコンビニで見かけたファンタメロン。これは何かが始まる予感。そう、家でクリームソーダを作れるぞ。グラス+氷+ファンタメロン+バニラアイストッピング。さくらんぼは無くても良し。夏場の仕事帰り途中でたまーにフードコートとかの安いところで飲むことのあるクリームソーダ。今年は断念せざるをない状況なので、先取りして自宅で作ってしまいました。綺麗なグリーンのソーダにバニラアイス。アイスとソーダの泡が溶けている箇所を口に含むとふわふわ。まるで雲を口に含んでいるようで、んもう、天国の飲みものですよこれは。

そのクリームソーダの置かれたテーブルで、コーヒーカップを脇に置いたおねえさんとチェスをうつアオヤマ君と言えば、アニメ「ペンギンハイウェイ」。ペンギン駆けつけ10杯くらい出て来る迫力を味わいたくて上映中に見に行きたかったんですけれど、機会を逃してしまい、アマゾンプライムで視聴。アオヤマ君と、ミステリアスな歯科衛生士のおねえさん。コーラ缶を投げると出て来るペンギン。アオヤマ君と友人たちの、謎解きの夏が始めるのでした。

この話は難解です。見ている人がおねえさんや突如としてあらわれた「海」という現象の考察をしても、おそらく簡単に解けることはありません。それだけにいろいろな見方が出来る作品なのかなあと受け止めました。私はただ山盛りのペンギンを見たかった(もうええ)というのもありますが、映像がとても綺麗。今どきのアニメは実写以上の美しい世界を描けるので、それだけでも癒されるのです。

そして私にとってぐっと引き込まれたのはアオヤマ君の研究ノート。文字、絵、データ、グラフと、質、量時系列の記録と考察。ジャーナリングなのか?フィールドノートなのか?と迷う。「思いっきり楽しそうだなあ」と。学校の勉強なんかよりもずっと楽しそうです。文科省が推し進めるアクティブラーニングって、こんな感じかなと。食べたくないモノを口に押し込まれる一方的な講義で暗記してテストを受け、点数で評価されるような勉強なんかよりも、食べたいモノを好きなように料理して食べて栄養、血肉にしてゆく。相対的な評価はつけづらいのかもしれませんが、本人にしてみればそりゃ、ものすごい力になります。大人になってからの、社会を生き抜いてゆく力に。未来を作る力に。

クリームソーダを飲んでいたアオヤマ君は、おねえさんを研究の対象として見ていたのと同時に、淡い気持ちを持っていました。最後に同じカフェで、アオヤマ君が飲んでいたのはクリームソーダではありません。ネタバレになるので、書きませんですけれど。ひと夏の間の、少年の成長の物語でもあるのでした。


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