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明日少女隊『WE CAN DO IT!』を読んで🐰

大学の授業で、社会における不平等について考える時間があった。
近代社会の中には、ジェンダー格差、教育格差、職業格差、地域格差、さまざまな格差が存在する。
私たちが当たり前だと思っている世界の裏側には、実は苦しんでいる、搾取されている人たちがいる、ということを認識しなければならないと思う。


私はアートに興味があるので、アート界の不平等について調べてみた。

たくさんの問題の中で、「ゲリラガールズ」という言葉が私の目を惹いた。
1985年にニューヨークで生まれた匿名のアクティヴィスト集団で、アート界に存在する性差別や人種差別に声を上げる集団である。

「女性がメトロポリタン美術館に入るためには、裸にならないといけないのだろうか? 近代美術のセクションで展示される女性作家の作品の割合は4%以下なのに、ヌードとして描かれているモデルの76%が女性」
というポスターに見覚えがある方もいるかもしれない。


このことを教授に話してみると、「明日少女隊」というグループがいるということを教えていただいた。
明日少女隊も、ゲリラガールズと同じように匿名で活動するアートグループだという。現在の隊員は50名以上で、世界中に点在している。SNSやブログなど様々な媒体で情報発信を行っているが、全体像をつかみたいと思い今回「WE CAN DO IT!」を購入してみた。


前置きが長くなってしまった!


全体的な感想としては、とても面白かった。私が心の中で抱えていたもやもやが、可視化され言語化され、そこに少し光が差したような感覚だった。
日本では、「フェミニスト」という言葉に対してネガティブなイメージが強い。特にツイッターでは自己中心的な女性を表す言葉として使われてしまっていることが多いように感じる。


そうではなくて、フェミニズムはすべての性の平等を願う思想であること。
すべての人が、自分らしく、自分を恥じることなく隠すことなく生きることができる社会の実現を願う思想であることが、もっと広まってほしいと思う。

また、明日少女隊が匿名で活動している理由についても、共感できる点が多かった。素性を隠したいから、マスクをかぶっているのではない。

見た目や、ジェンダー、年齢、家柄、人種、つまり格差を生み出すもので自分たちを判断されたくない。そのために、マスクを被って新しいアイデンティティを作り出したのである。

顔と実名を出して活動できるのは、本当に限られた、例えば危険にさらされても誰かに守ってもらえる人、自分を守る手段を持っている人、つまり環境に恵まれた人々である。

しかし、世界にはそうでない人々もたくさんいる。
そういった権力を持っていなくても、安心して声を上げられる場所、それが明日少女隊の活動が作り出すものなのではないか。


学校で、絆創膏をくれた子に、「ありがと!女子力高いね。」と言ったら、
他の子に「いま女子力って言っちゃいけないんだよ。差別になるから。」と言われた。
そのときの私は、あ、そうか。使うのやめよう。と思っただけだった。

でも、今思うと、「使ってはいけない」というのは違うかもしれない。
その言葉を「使ってはいけない」と思考停止するのではなくて、なぜその言葉が生まれたのか、なぜ私はその言葉を使ったのか、相手にとってどうするべきだったか。そもそも女子力ってなんだ?
もう一度、立ち止まって考えるべきだ、と思う。

そんなことを考えさせられた、1冊でした。🐰




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