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#20 骨折 in 氷点下のマンハッタン橋 - その2 日本の医療保険制度は実は素晴らしかった

NY在住 何歳からでも諦めない人生をデザインする心理カウンセラー・コーチ 平野さきです。

左腕の骨折より約2週間経過。1週目に比べたら少し痛みも和らぎ、片手生活のコツもつかんできました。しかし、骨はまだ繋がっておらず、くしゃみをしても腕に響いて痛い!一番苦労するのは、シャワーを浴びること。。髪も片手でしか洗えないので、昨日超ショートヘアにしてもらいました。

幸い、元旦まで今週1週間は休暇をとっていたので、これから家でしっかり休養する予定です。

ニューヨークでは、クリスマスの1週間ほど前から帰省する人が増え(直前は飛行機代も上がるので)、20日頃から休暇モードに入る人が増えていきます。逆に、年始は元旦の翌日から仕事復帰の人が多いです。ただし、年始に休暇を取る人もいて、日本に比べたら自由度高し。

さて、今日は、日本の医療保健制度がいかに素晴らしいか、
について書きます。日本にいた頃は当たり前だと思っていましたが、少なくとも米国では違うのです!‼︎

タイトル状の三本柱の図は、日本医師会のWebサイトより拝借しました。ちなみに、私は日本医師会の申し子でもなんでもありません。しかし、米国に比べて、日本の医療保険制度がいかに優れているかを実感しました。

1. 米国では、まずは自分の健康保険のネットワーク内の病院または医師かをチェック


日本では、健康保険証を持っていけば、どの病院へ行っても保険が使えますよね。それが当たり前だと思っていました。ところが、米国では違うのです。

米国では多くの人が民間の健康保険に加入しています。政府の健康保険メディケア、メディケイドは、高齢者や低所得者などの制限があるためです。

民間の健康保険にも沢山の種類があり、病院、医師によって提携している民間保険が異なるのです。

よって、病院選び、医師選びの第一歩は、自分の健康保険のネットワーク内にどの病院、医師があるかを調べること。

さらに、注意が必要なのは、In-Network か Out-of-Network かに注意すること。保険か使えるかどうか、だけを聞いていると、提携外のOut-of-Networkの場合でも保険は使えると言われます。そして、必要以上に高い金額が請求されます。提携内のIn-Networkの病院を選択するのが医療費を抑えるポイント。

2.医師の予約が取りにくい

これは日本でもそうだと思いますが、特に今回、骨折という緊急事態にも関わらず、1週間以上もアポイントが取れず、米国の医療制度の難しさを痛感しました。

ERでは応急処置に限られるため、2日後に専門の整形外科医へ行くように紹介を受けました。翌朝アポイントの電話をすると、幸いそこで私の健康保険はIn-Netowrkでしたが、最短で8日後に1枠空きがあるとのこと。

骨折して痛みがひどく、ERから紹介されて電話していることを説明しても、8日後まで空きはないとの一点張り。

そこで、とりあえず8日後の予約は抑えて、他の病院の医師を探すことにしました。8日も待てるわけがない!

そこでまず、保険会社に電話して、In-Networkの整形外科医を5人ほど紹介してもらい。片っ端から電話をしました。しかし、8日前に予約が取れるところは皆無。しかも、電話でまずは個人情報を担当者が全て入力しないと予約空き状況を見てくれないという、融通の効かないマニュアル作業。15分かけて個人情報のやり取りをしたのち、2週間先まで取れないと言われることの連続。

電話に疲れ果て、作戦変更。
まずは最近膝の手術をした友人に連絡して、彼の整形外科医を紹介してもらいました。同じアパートに住む友人なので、きっと近くで良い医師を知っていると期待しつつ。

紹介してもらった医師はネット上の評判も高く、とても良い感じ。ところが、私の健康保険のIn-Networtkではない! とほほ。。。

そこで、全米で有名な医師検索サイトzocdocに作戦変更。自分の健康保険と住所を入力すると、In-Networkの医師と予約可能時間が検索でき、無駄に電話をしなくても予約ができるのがありがたい。

そこでなんとか2日後に予約が取れる整形外科医を見つけ、一安心。この一連の予約作業に、3時間近くかかりました。痛む腕を抱えて、それだけで骨が折れます。

日本なら、外来で少し待たされるにしても、接骨院や整形外科に翌日行けば、診てもらえますよね。

この、予約が取れない難しさを同僚にシェアしたところ、米国人の彼らは、まぁそんなもんだよ、、、残念ながら、、、と特に驚く様子なし。

日本なら何としてでも戦っていたと思うけれど、米国では、「郷に入れば郷に従え」で、完全に諦めていました。

しかし、唯一わかってくれたのは上司のロバート。「骨折してるのに8日も待たされるなんてあり得ない。電話番号くれ。俺が電話してやる!」

さすがロバート!彼のそういう姿勢、好きだなぁ。そうか、私も戦わなきゃいけなかったんだ、眠っていた戦闘モードが起き出しました。

3. とにかく分業制


痛みを抱えて2日待ち、zocdocで見つけた医師のところへ。どれだけこの時を待っていたことか。

素人のネット検索によると、骨折した場合、手術をして中に何かを入れて骨をつなげると、早く治るらしいことを発見。手術でものなんでも、できることなら早く骨をくっつけて痛みを除いて欲しい。

ところが、この医師はOrthopedic Surgeonとあるのに、彼の医院では手術や処置をする設備はなく、必要な場合は紹介状を書くだけとのこと。レントゲンすら設備がなく、レントゲンとMRIを他所で撮って来いと、紹介状を渡されました。その結果を診て、必要な処置を決めるとのこと。

そんなぁ。そこまでチェックしていませんでした。日本ならこういう場合、一箇所で完結しますよね。米国では、医師の設備までチェックして予約しなければいけなかった?!

というわけで、傘もひっくり返るほどの暴風雨の中、折れた腕を抱えて、レントゲンを撮りに翻弄しました。

唯一の利点は、もっと腕にフィットしたカスタムメイドのギブスを作ってもらえたこと。ERのギブスは簡易なので、ゴツくてゴツくて。

レントゲンを撮りに行くにも、ロケーションを調べて、予約を入れてと、これまたひと仕事。レントゲンの場合は予約なしの外来で良いと言われ、なんとか終了時間前になだれ込み。

驚いたことに、レントゲン、CTスキャン、MRIなどを専門に行う大きな機関がニューヨーク市の各所にあり、病院並みに患者で混み合っていました。知らなかったぁ。

私の場合、レントゲンは保険で全額カバーできるので無料だけれど、MRIは、保険を使っても600ドル支払いが必要とのこと。しかも、保険会社からの承認に5営業日かかるので、1週間後にしか予約できないとのこと。

アメリカの高い医療費、骨折してどれだけお金がかかるか、覚悟はしていたけれど、いきなり検査で600ドル!

とりあえず、MRIの予約だけして、レントゲンだけ撮って今日は終了。

長くなってしまいました。
この後の珍劇は、その3に続きます。

平野さき



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