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#19 骨折 in 氷点下のマンハッタン橋 - その1

NY在住 何歳からでも諦めない人生をデザインする心理カウンセラー・コーチ 平野さきです。

丁度一週間前の今頃、私はブルックリンのERで、肉体的にも精神的にも2022年最大のチャレンジに直面していました。左上腕の骨折。

氷点下が続いていたニューヨーク、通勤で使う路上の一部の大きな水溜まりは、すっかり凍ってツルツルになっていました。

その日の朝は一歩一歩踏みしめながら気をつけて歩いたのですが、帰宅時は真っ暗で、約束の時間に遅れぬよう競歩モードで突進していたら、氷の存在をすっかり忘れて、一歩足を踏み入れた途端、豪快にすってんころりん。

周りの男性二人に助けを求めて起き上がり、なんとか再び歩き出すことができました。あれ、こんなに大胆に転んでも、意外とどこも打っていなかったのかな?私ってすごい?

ところが、何かが明らかにおかしい。7メートル歩いて、また地面にしゃがみ込みました。

左腕がコントロールできない。左手首や指は全然動くのに、腕が動かない、痛い、脱臼?骨折?何?

そこで、しゃがみ込んだまま自分のだけの作戦会議。とにかく病院に行かなきゃいけない。そうだ、うちのアパートの近所に大きなERがあるから、とにかくそこへ行こう。でもどうやって行く?Ubar? 地下鉄?歩く?

現場はマンハッタンの中華街にあるマンハッタン・ブリッジの入り口で、アパートのあるブルックリンへ橋を渡って帰宅する途中でした。車を呼んでもすぐ来るかわからないし、地下鉄の駅もすぐ近くにはないし、それなら歩いたほうが早い、と判断した私は、意を決して立ち上がり、とにかく痛む左腕を右手で抑えて、歩き出しました。

氷点下の夜の橋を、マンハッタンの夜景を楽しむ余裕は全くなく、今だに何が起こっているのか、現実を受け止めることができず、とにかくひたすら歩きました。

1時間後、ERに着いた頃には、さすがに痛みもMAX、とにかく椅子に座ろうとしたら、その動作が腕に響いてものすごく痛む。。。

これはダメだと、車椅子をお願いしました。

ERで待つこと1時間半、ようやく名前が呼ばれました。ニューヨークの夜のERの最悪ストーリーはこれまで多方面から聞かされていたので、これくらいの待ち時間は想定内でした。しかし、iPadでゲームをしている子供が、私よりも1時間遅く来たにも関わらず、動けないほどの痛みをを抱える私よりも先に名前が呼ばれている。。。それに抗議する気力も体力も、もちろんありません。

初めてのER体験、を観察する余裕もゼロ。やってきたドクターは、若い男性で、なかなかのイケメン。それもどうでもいい。とにかく助けてください。。。

若いのできっと研修医だろうけれど、「You’re gonna be all right. I'll take care of you.」と言われ、根拠があるかどうかわからない安心を感じました。

しかし、そこから2つの地獄が待っていました。。
まずは、レントゲン撮影。

レントゲン技師はどこまで私の痛みを理解しているのかわからないけれど、痛くて動けないのに動かせとおっしゃるので、途中で冷や汗をかいて気持ち悪くなり、継続困難になってしまいました。休憩をとりつつ、1時間くらいかけてようやく終了。

2つ目の難関は、尿検査。
痛み止めの注射をするには、尿検査が必須とのこと。
しかし、痛くて動けない私がお手洗いに行き尿を採取できるわけがない。
と説明しても、とにかく尿が必要とおっしゃる看護師。
あなたは私を殺す気ですか?

そこで痛み止め注射は諦めていたら、イケメンの研修医に言われたのか、じゃあ手伝ってあげるから尿を採ろうとまた同じ看護婦がやって来た。

お手洗いの中まで連れて行ってもらい、なんとか死ぬ気で自力で尿を採取。

ようやく痛み止めの注射を打ってもらいました。痛みは全然引かなかったけれど。。。

その後イケメンレジデンスがやってきて、レントゲンの結果を知らされる。
医師:「良い知らせと悪い知らせ、どっちから聞きたい?」
私 :(もうどっちでもいいから早く全部教えてください)
   「じゃあ、悪い知らせから」
医師:「やっぱり骨は折れてました」
   「でも良い知らせは、ギブスをしてあげるから大丈夫」
私 : (それは別に良い知らせじゃなくて、当たり前でしょ、、、)

というわけで、ようやくこの受け止め難い現実に「骨折」という名前がつき、事態が収集できて少し安心。

そして、処置室に車椅子で移動し、ギブス取り付け開始。
と言っても、ERなので簡易のギブスで、翌日以降に整形外科医に診てもらうようにと言われました。

研修医になって数ヶ月という彼は、おそらくあまり慣れていなさそうな手つきで、でも慣れているフリをしてギブスをつけてくれました。まぁ、それは正解。あそこで慣れていないフリをされたら、患者の私は不安になってしまいます。

イケメン研修医の前でほぼ上半身裸にならねばならず、あまりの痛みにそれもどうでもよく、恥じらいゼロ。

ブラの後ろのホックをはめることもできないので、彼に手伝ってもらわねばならず。。「大丈夫、妹がいるから知ってるよ」とおっしゃるイケメン。正直に彼女がいるからと言えば良いのに(笑)。妹にはそんなことしないですよね。

ギブス装着中に、少し余裕ができて、彼と雑談。ERのシフトは夜7時〜朝7時で、今日は5日連勤の5日目とのこと。本当は外科医になりたかったけれど、ER専門医になることにした理由は、仕事だけではなく、プライベートの生活を楽しみたかったからとのこと。まぁこれだけイケメンで一緒にいても楽しいし、その上職業医師であれば、モテるでしょうね〜。

簡易ギブスが装着され、ようやく腕が固定されて動きやすくなりました。その後レントゲン写真を見せてもらい、痛み止めの処方箋を書いてもらい、近所の薬局を自分の携帯で調べてくれたイケメン研修医。私がER初体験なのを知ってか、退出方法も案内してくれ、深夜12時30分、事件発生から6時間後、ようやくアパートへ帰宅できました。

私の骨折ストーリーDAY1をお読みくださりありがとうございます。
この後、怒涛のDAY2〜ストーリーに続きます。。。

平野さき





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