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でも就職する方も悪いんですよ(開き直り)

※特定を避けるため、一部フィクションが含まれます。

近くの貸会議室に集められた社員に対し、社長(超大企業様からの天下り・井脇ノブ子氏にそっくり)が淡々と告げる。
・我が社は業績が良くない
・超大企業様はコストカットを決断した
・当社は8月31日をもって廃業とする
・正社員の希望退職者を募集するが、基本的には全員他会社へ転籍とする
・現時点で非正規雇用の者については一切の例外なく雇止めとする

・・・は?雇止め?

入社した時点で、雇用契約書には確かに以下の文言があった。
・2016年3月まで雇用契約を継続した場合、以降は正社員雇用に切り替える
雇用契約の予告なし、かつ一方的な変更は基本的に認められていないので、これは明らかな横暴だ。何がなんだか分からなかったがその日は質疑応答も受け付けず終了してしまった。

後日、人事部長から呼び出され、改めて雇止めについて通知をされた。

「何か質問はありますか?」
「昨年入社時点で正社員登用するという契約締結をしているのですが?」
「それについては撤回させて頂きます(能面ツラ)
「雇用契約の一方的な変更は基本的に認められていないと思うのですが?あまりにも乱暴です」
「雇止めが不服ということでしょうか?(能面ツラ)
「当たり前でしょう?好き勝手言いすぎですよ」
「当社方針は変わりませんので、裁判ということになりますがよろしいですか?以降については然るべき手続きの上、法務部とお願いします(半笑い)

こちらは超大企業様の最強弁護士軍団がついているので負けるわけがない、とても言いたげな表情だ。最悪でも、はした金で和解に持ち込めるとタカをくくっているのだろう。同じような境遇の人は他にも何人かいて、実際に裁判を起こした人もいたようだが、その後の動向はまったく分からない。どういう力が働いているのか分からないが、この件に関する情報がネット上には全く見つからないのだ。

力なく自席に戻ると、周囲の人間が同情とも嘲笑ともとれぬ
「ご愁傷様・・・(笑)」といった感じの表情で見てくるのも尚更腹が立った。彼らは別会社へ転籍になるものの、基本的に今と待遇は同じなので、安全圏から非正規雇用者の惨状を眺めているのだ。
更に追い打ちをかけるように、母がガンになったとの連絡があった。既に腹水が溜まった状態での発見だったため、もうあまり長くないのだと悟り、家で一人泣いた。どうしてこう色々と上手くいかないものかと嘆き、母を看取った後はもう死んでも良いかと本気で考えるようになっていた。

その後、何故再就職活動をする気力が戻ったのか、よく覚えていない。
ネットで見れる求人は嘘ばかりで、今回のように一方的に裏切られるのはもうコリゴリだったので、非公開求人が多く、聞きづらいところも代わりに確認してくれる転職エージェントを利用することにした。
相変わらず汎用機系システムの経験はロクに考慮してもらえず、とあるエージェントとの面談では
「これではスキルとは言えないので求人紹介できません。職業訓練校で一からプログラミング勉強してみてはどうですか?」
などとドヤ顔で言い放たれてしまった。○ン転職の○林さん、お元気でしょうか。息臭いのでブレスケア常備した方がいいっすよ。

そんな中でも、唯一、○ク○ビエージェントだけは誠実に対応してくれた。
「他社さんでスキルとは言えないので職業訓練校からやり直せって言われちゃったんですけど・・・」
「いやいや、全然そんなことはないですよ!一緒に探していきましょう!」
とプッシュしてくれたので、この人には今でも感謝している。
今回も20社くらい落とされてしまったが、遂に長年の夢(?)である
「非システム会社の社内SE」の内定を得ることが出来た。
内定が出たのは7月の末、まさに雇い止めの直前であった。

ちなみにT社のその後だが、予定通り8/31で会社解散、正社員は色々な会社に転籍となったようだが、超大企業様は更なるコストカットを断行したためその会社も解散してしまい、月給18万円まで下げられたうえ、某県で工場勤務を強いられている者も多いと聞く。
あの「ご愁傷様・・・(笑)」の表情を思い出すたびに半笑いになってしまうのだが、隣の課の課長は非常に運が良く、ホワイトカラーのまま超大企業様に転籍となったようで、彼は今、会社紹介のページで満面の笑みを浮かべている。

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