見出し画像

naresome Pick Up:注目楽曲を紹介!!【MEMI、buncho、Khaki】

音楽ディストリビューションサービス・sprayerが毎週木曜日に更新している公式プレイリスト『naresome』から、要注目の最新リリースをピックアップ。今回はMEMI、buncho、Khakiの楽曲を紹介します。



MEMI「Guitar Pick」

日本からはIchika Nito、ブラジルからはMateus Asato、ドイツからはManuel Gardner Fernandes。InstagramやTikTokといった動画SNSが人々の生活に溶け込んだ近年では、演奏動画からインターネットを経由し世界的な支持を勝ち取る新たな形のギターヒーローが次々に登場しています。

そんな群雄割拠のタイムラインに韓国から現れた刺客がMEMI。2011年からオルタナティブロックバンド・24HOURSのギタリストを務め、2022年からソロ活動を開始。カバー動画や自身の楽曲の演奏動画が話題を呼び、現在ではInstagram(@aoa6666)・TikTok(@aoapunk)のフォロワーはともに約40万人に。アイコニックなファッションと映画のワンシーンのようなロケーションも注目を浴びており、Fred Durst(Limp Bizkit)やOliver Sykes(Bring Me The Horizon)ら大物ミュージシャンからもリアクションを得ています。

今年2月にシングルリリースされ、12月7日に配信開始されたばかりの1stミニアルバム『M3MI』にも収録されている「Guitar Pick」は、彼女の代表曲の一つ。ヘヴィーさとファンキーさをあわせ持つリフの連打のみならず、「ピックはどこ?」というギタリストなら共感必至のリリックにも、彼女のギター愛が滲み出るダンサブルなキラーチューンです。楽曲後半の高速ラップも聴き逃せません。

冒頭で紹介した各国の新世代ギタリストと一線を画すMEMIの独自性とは、誤解を恐れずにいえば「テクニカルじゃないこと」でしょう。技術に偏重せず衝動に身を任せるような彼女のプレイスタイルには、多くのキッズに、あるいはかつてキッズだったリスナーたちに、(再び)ギターを握らせる推進力が漲ります。

パンク、メタル、ガレージ・ロックからジャズまで多彩なサウンドを詰め込んだ『M3MI』を引っ提げ、12月22日には韓国にて初のソロライブを開催するMEMI。アジアから羽ばたく新たなロックスターの誕生に期待が膨らみます。


buncho「Ensemble Cast (rework)」

bunchoは、サウンドクリエイター/イラストレーターとして活動するTakaaki Izumiによるブレイクビーツに焦点を当てた別名義。大阪を拠点に、音源制作のみならずライブでも活躍しています。

彼が掲げる「アンビエントの文脈に暴力性 / 身体性を持たせる」という命題は、一見するとパラドキシカル。しかし、11月10日にリリースされた1stアルバム『Souls』にて、多様な音楽経験とアンビエント・テクノへの愛着のもと、そのミッションは見事に達成されています。

今回naresomeがピックアップした「Ensemble Cast (rework)」は、かつて"(null_)名義で発表した同名の楽曲を再構築したもの。IDM然とした理性的なサウンドと穏やかに揺らぐメロディの頭上をどこか平和ではない電子音が飛び交い、インダストリアルなビートがアンビエンスとバイオレンスの境界線を切り刻んでいく様は圧巻です。

するりとリスナーの脳に侵入し、鮮やかにその内部を破壊していくbuncho。ポストロック的楽曲展開やアグレッシブなナンバーも聴きどころの『Souls』を通じて、彼の創り上げる世界観に飛び込んでみてください。


Khaki「萌芽」

2021年の本格始動以来、東京を拠点としてロックシーンにざわめきを生んできたKhakiが、12月13日に3rdシングル「お祝い / 萌芽」をリリースしました。

これまでもフォーキーで耳馴染みの良いメロディをフィーチャーしながら、一ひねりも二ひねりも加えたアレンジにただならぬ気配を漂わせていた彼ら。本作では、編曲に阿南智史(ex. never young beach)とbisshi(ex. PAELLAS、SOSITE)による制作チーム・Soft Biasが参加し、エレクトロな要素も交えながらさらに楽曲の自由度を高めています。

naresomeが取り上げたのは2曲目の「萌芽」。イントロのギターアルペジオと性急で複雑なドラミングが空気を張り詰めさせ、変拍子を交えながらスリリングに進行する一曲です。コーラス部分で束の間の凪を挟みつつ、バンドは徐々に暴走寸前状態に。とりわけ下河辺太一(Ba)の妖しいプレイには驚かされました。

呼吸も忘れるほどの緊張感をひたすらに高め続け、大きなカタルシスを迎えることもなく事切れるように終わってしまう本楽曲。そこには、安易な回答や筋書きを拒む、本来的な意味での「オルタナティブ」が宿っている気がしてなりません。


プレイリスト『naresome』には、本記事では紹介しきれなかったおすすめ楽曲が盛りだくさん。これからも毎週木曜日の更新をお楽しみに!

Text :サイトウマサヒロ
Edit :sprayer note 編集部

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?