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非認知能力特集その1 粘り強く物事に取り組み続ける力「グリット」

この、グリットとは表題の通り、困難な目標に立ち向かい続ける情熱と粘り強さについての心理特性です。

ご自身やお子様、あなたが関わる児童・生徒の状況はいかがでしょうか。

ここでは、この力を育むために周囲の大人がどんな関わり方(以降、介入と呼びます)をすればよいのかという視点でまとめていきます。

関わる方に何かひとつのことにじっくりと向き合い、継続して取り組む力を身に付けてほしいと思っている方のヒントになれば幸いです。

グリットとは何か

グリットの定義

困難や失敗、競合する目標にもかかわらず、長期の目標に対して示される情熱と粘り強さのこと。

グリットの2つの側面

①興味の一貫性因子
自身の興味が、あちらこちらに分散されるのではなく、数か月あるいは数年にわたって自分にとっての重要目標から関心がブレない傾向のこと。興味をひとつにギュっと絞れている状況。

②努力の粘り強さ因子
目標追求の中で困難や挫折に直面しても、あきらめず粘り強く努力し続ける傾向のこと。目標を諦めにくい傾向とも。

グリットが高いと良い成果につながりやすい

特徴として、「目標を諦めにくい」・「どんな困難に直面しても歩みを止めない」・「弱いということは強くなる可能性の証」・「くやしさも収穫である」といった行動や思考の癖があるようです。
失敗も学びであるという考え方は、神経症傾向が少ないことにもつながっており、日々をポジティブに捉えることもできているため頑張っていることがつらいとか苦しいという認識にはならず、むしろ困難や壁の存在が自分を奮い立たせるというような捉え方をします。

グリット提唱の第一人者であるダックワースらの研究によると、グリットの高い人ほど自分が関係する分野への勉強時間が長いことがわかり、結果として良い成果につながっていると指摘されました。また、「入念な修練」と呼ばれる、地味で孤独な作業(たとえば単語の暗記など)でも黙々と取り組むことができ、試行錯誤の中で努力の質も向上していくことが明らかになりました。

自己調整学習

そのような中で、自分自身の意欲を高め、継続していくための工夫を重ねて、学習を進めることを自己調整学習と呼びます。学習自体に価値を見出し、独力で学びを進められるという効力感をもつことがカギとなります。
「成長マインドセット」という考え方も大切にしたい。成長マインドセットとは、生まれながらにして自分の能力が決まるのではなく、努力や工夫しだいで開発されていくものだ、という信念のことです。この認識が、意欲を支えているのだといいます。

自己制御

価値ある目標のために競合する衝動や誘惑を自ら抑止・制御すること。グリットとよく似ているところがあり、目先の誘惑に流されず、長期的に好ましい目標のために努力ができるという心理特性を指す。この自己制御が優れているほど、学業成績が良く、精神疾患や過食、アルコール依存症になることが少なく幸せで、対人関係も良好であるという研究結果がある。
※自己制御自体を非認知能力のひとつとして分類されるため、ここではこれ以上深入りしません。あくまでもグリットと近いものとしての紹介にとどめます。

グリットを伸ばすために必要なこと

これは、現状有力な説として扱われていることの紹介となりますが、2つのアプローチがあります。

1 結果に基づくアプローチ

困難な目標に粘り強く取り組むためには、「強い動機」が役に立つ。目標多成によって得られる結果が自分にとって価値があると思うほど、目標達成への動機づけは高まる。また、達成見込みが高いと「期待」できるほど、動機づけは高まる。人は、目標達成の価値と期待によって動機づけられ、その目標への関与が高まり、努力が増加し、質が向上し、目標の達成に至りやすくなる。よって、他者が介入することによってグリットを伸ばすためには、価値か期待のいずれかを高める必要がある。
【結果に対するアプローチ 介入の事例】
①成長マインドセット教育
 脳には可変性があり、努力や工夫しだいで自分の力を伸ばせることを伝え続け、ワークを積み重ねる。
②再帰属訓練
 学習性無力感に陥った子どもに難しい問題を含む課題を解かせ、結果を返す際に「成果を左右するのは努力である」という」ことを伝える。
③今学んでいることが将来につながっていることを教える。(現在の弱みに着目して、具体的な目標を立て、粘り強く取り組む。)

2 自分らしさに基づくアプローチ

「本人にとっての核となる人生の役割や価値からなる自分らしさ」を強く意識させることで、自分らしくあろうとする心から、物事に取り組む粘り強さが発揮されるようになる。
【自分らしさに基づくアプローチ 介入に関するダックワースの提案】
「頑張り屋」という自分の一側面を強く意識させる。勉強でも部活でも趣味でもよいので、頑張ること、粘り強く取り組むことが自分らしい生き方なのだという気持ちを育んでいくことが大切なのではないか。

教育の可能性

1 指導者のグリットに対する理解を深める
2 子どもの「達成したい」・「達成できる」という気持ちを育む
3 個性や願いを育む 自分は何者かを知ることで献身的な取り組みが可能になる
4 学校や家庭の目標構造の設定を成果から習得や成長へ
5 数年にわたる超長期プロジェクトへの参画

以上、また2000文字を超えてしまいましたが、今回は第一回として【粘り強く物事に取り組み続ける力「グリット」】についての学びをまとめてみました。

Supportiaでの学びは、こうした非認知能力に関する最新の知見をもとに、教育の責任者と環境設計責任者とが議論を重ねながら学びの環境を整えています。体験イベントも月に2回程度実施していますので、ご参加をお待ちしています。下記フォームからご参加いただくことができます。

https://docs.google.com/forms/d/1_qHGcyQbvZ0dWVjZn7xSClh9egprun34p5J8mTHOCPk/edit

また、HPもマインクラフト教室を中心にリニューアルしましたのでぜひ参考となれば幸いです。

次回もどうぞお楽しみに!