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小さな訪問者

 裏庭の夏野菜の収穫の終わった野菜ばたけに珍しいお客様を見つけました。くさむらの葉っぱがガサガサ揺れてて見つけたのです。

我が家のお客様、
まだそれほど大きくない若いハリネズミ

 ハリネズミは以前住んでいた家ではよく見かけたのですが、今住んでいる家のある地域では滅多に見かけず、5年目にして初めてでした。

 背中にトゲトゲのスパイクがなければ、ほんとに可愛いくて丸いネズミそのもの。葉っぱの上の昆虫や土の中の芋虫やミミズなんかを食べたりくらいにしか、特に悪さはしません。畑で穴掘りされるとあまり嬉しくないですが。

 昔イヌを飼っていたときには、ハリネズミが庭に現れると大変でした。自分の縄張りへの侵入者ですからね。我が愛犬は吠えまくり、出てゆかないとついには格闘して丸くなって防御の姿勢を取るハリネズミに攻撃を繰り返して口の周りを傷つけて血塗れになりながらも、ひっくり返して無防備な腹部に噛み付いて殺してしまったこともありました。
 可哀想な侵入者の亡骸は庭の隅に埋めてやりましたが、やはり人に飼われる可愛い家犬も、もとを辿れば野生動物なのだなあと思い知らされました。

 ハリネズミは丸くて愛嬌のある顔をしていて憎めないですね。ネズミは生ゴミ食べたりパイプ齧ったりといろいろ悪さしますが。こちらは日本ではない外国です。道で車に轢かれたりしていることもよくあります。

 最近見たアニメ映画Sing2でも、前作同様にハリネズミのティーンエージャーの女の子のアッシュは良い役をしていました。声優はスカーレット・ヨハンソン。

スカヨハとアッシュ

前作のクリップはこんなのです。日本語版は長澤まさみが歌ったそうですね。でも、わたしはやはり英語版の方が好き。

 この愛らしいハリネズミ。

 でも抱きしめられると抱きしめた相手を知らずに傷つけてしまう。愛されると愛した相手を傷つけてしまう。アッシュも歌うと知らずに棘を辺り中にまき散らかしてしまう。

 ティム・バートン監督のエドワード・シザーハンズという映画のことも思い出します。手の先に指の代わりに鋭利な刃物を持つエドワードは我が身のシザーハンズ=鋏の手ゆえに人から距離を置いている孤独な人。

エドワードを演じるのは若き日のジョニー・デップ

 愛する人を気付かずに傷つけてしまう、自閉症的なバートン監督の自画像のようで、そうした成分を多分に持っている自分自身もエドワードの姿にどこか自分を重ね合わせてしまう。
 初めて見た時はわかりませんでした。でも自分もそんな風な一人だと思えるようになると、心からこの映画は名作なのだと思います。

 ハリネズミってどこかそんな発達凸凹な人を擬人化したような生き物ではないかな、なんて最近思っています。親しくなってくれた人に思わずトゲのある言葉をぶつけてしまったとき、そんなことを思い出してしまいます。そしてエドワードのように悲しみに耐えられなくなります。

 庭でおもわずハリネズミに出会い、こんなことをしばし考えていました。


ほんの小さなサポートでも、とても嬉しいです。わたしにとって遠い異国からの励ましほどに嬉しいものはないのですから。