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古いPR、新しいPR

スポーツPRでは伝統的に、メディアとの関係づくりが重要視されてきました。昔は、SNSやインターネットがなかったわけですから、スポーツ観戦に訪れるくらいの人数に伝える手段としては、新聞、雑誌、テレビなどの記者に取材してもらって、掲載や放送をしてもらうことが最も有効な方法だったわけです。むしろ、何万にもの相手に伝えるには、それしか方法がなかった、と言ってもいいでしょう。
そういう時代のスポーツチームの広報担当者の主な仕事は、正確な記録を保存して提供すること、プレスリリースを書くこと、報道陣向けのガイドブックや資料を作成すること、記者会見やインタビューの調整などが主でした。今日でも、これらの仕事は続けられています。

では、そんな時に何がベストな手法なのでしょうか?

PRのプロが集まる世界最大の組織と言われるパブリックリレーションズ・ソサエティ・オブ・アメリカによると、物語を伝えることが、PRにおいては最も有効な方法だとされています。例えば、2017年7月11日のFacebookの投稿にも 

For thousands of years, stories have been the driving force behind mass movements, new ideas, and – now – growing businesses.

(何千年もの間、ストーリーは、大衆の動きや新しいアイデア、そして現在では、成長するビジネスの原動力となっています)

と書いています。

事実を伝えるだけではなく、ストーリーから想像して共感したり、感情が揺さぶられるからだと考えられています。このあたりは、古いPRから今も変わってはいません。


しかし、時を経て、スポーツに関わる組織にも様々な変化が起きました。ビジネスとして大きくなったこと、テクノロジーの進化で情報をいつでもどこでも得られるようになったこと。これらに対応して、スポーツPRも変わっていかざるを得ません。

ビジネスとして大きくなることは、単純に相手の数が増えるということだけでなく、関わる相手が多様になることです。そのような多彩な相手に、自分たちの組織をどのように伝えるのかは、昔よりもはるかに難しくなっています。例えば、そのチームが好きだという人たちへの伝え方と、社会貢献活動の一環としてチームのスポンサーをしたい組織に対する伝え方は、変えなければ通じません。
テクノロジーの変化で伝え方が変わったのは、SNSなど手段が変わったことももちろんありますし、そのメディアに適した言葉や映像などの表現にも変化は起きています。例えば、動画にテロップを沢山入れる伝え方は、わりと歴史が浅いですよね。

時代が変わっても、スポーツPR担当者の重要な仕事は、その組織の周りにいる人、携わる人の関心や期待が何かを捉えること、そして、それらを組織内の人間に伝えることです。なぜなら、そのスポーツ組織に対する人々のイメージは、商品やサービスを買うことにも、チケットセールスにも、メディアの報道にも、組織の方針を決めることにも影響を及ぼすからです。スポーツ組織の大きさや範疇が変わったとしても、関わる人たちにどのように思われているのかを評価し、それに基づいてPRの打ち手を実行していくことが、組織にとって最重要であることは変わりありません。


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