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人の、心の中

どんな高性能な顕微鏡を使っても見えないのが「人の心の中」だよな。
それはどんなに親しい中であってもそう。だからそれを知るために人は話して、伝える。
でも、それを伝えちゃったがために相手を怒らせたりする。人間って面倒臭いよな。
でも、どう考えても人は1人じゃ生きていけない(はずだと思うんだけどな)んで、やっぱり心を知る行動はやめちゃいけない。
とはいえ政治家の心の中なんて知りたくもない。知ったところで、という気持ちがあるのも事実。
そう思うと、こいつの心を知りたい、と思う相手って、俺の心を知ってほしいって相手なのかもしれない。
好きな子や仲間、家族とかね。

そのぶん傷ついたりもするんだけどな。
だから、フラれるのが怖いからコクれないってヤツの気持ちもわかる。

だけど、もし、その子も本当は自分を好きだったらって考えると、
伝えなかったら、後悔してもしきれないと思うけどさ。

つまり「人の心の中」を知るって行動をとるのは、
意外と勇気のいることだったりもするんだろう。


——





息子と大げんかをした。

理由はここに書くほどでもない、超些細な事。

息子も8歳。

一丁前にキレたりする。

目に一杯の涙を浮かべ、俺を睨みつけている。

「言いたい事があれば言えよ!」

という、俺の決まり文句。

息子「言わない!」

「はぁ!?』

息子「言いたくない!」

「なんだよ、おまえ!」

息子「言いたくないし、言わない!!」



このリアクションは初めて。

なんやらかんやら、
言いたい事は言ってくるヤツだったのに。

ちょっと、いやだいぶショックだった。

「おまえ、そんなじゃ、、、」

息子「言わない!」

俺の言葉を遮って、そいつを捨て台詞に、
部屋へいってしまった。


ドアをバンと閉めて出てこない。

はぁ、篭城作戦ですか。

と、まぁ今でこそ冷静にその時を振り返ってる俺だけど、
その時はギンギンにキレてるわけですね。

ドアを力ずくで開けて
「おまえ!何やってんだよ!」

今思えば意味不明な事を怒鳴り散らしていました。

本当にね、ダメですわ。

教育の専門家の先生に言わせれば、
「絶対にしてはいけない子供への叱り方」ベスト3を全てやってる感じね。

でもね、そんな冷静でいるなんて無理です、ごめんなさい。

実際、俺の頭にあったのは
「この野郎!!!」っていう気持ちだけ。


そんな時は、もうママにまかすしかないです。


なので、俺は一旦、その場を去りました。


あいつの心の中がわからない。
これほど、わからないって思ったことはなかったなぁ。




しばらくして、息子も落ち着いたようで、
ポツリポツリと自分の気持ちを話し始めたようです。

で、諸々解決し、
その後は笑顔で友達と遊びに行ったという
ママからの報告。

まぁ一安心したんだけど、
なんで、あんなに俺に言いたくなかったのか。話したくなかったのか。


そこの謎も名探偵ママが解決編で教えてくれました。


ママ「どうもね、パパに言うと、結局否定されちゃうのが嫌みたいだよ」


なに!!!


名探偵の解説はこうです。

パパは「言いたい事を言え」という。
でも、言いたい事を言うと、
「そうか、でもな、それはな、、、」みたいな感じで
結局パパの言いたい事の方が正しいとなる。
それがわかってるから言いたくなくなる。

と。


そんな!はず、、、は、、、ある、、か。。。。。。


んー思い返してみたら、そうだったのかなぁ。
いや、そうだったんだろうな。

俺は無意識のうちに、
あいつの「言いたい事」を聞いたという事実を使って、
こっちの言いたい事を最後に押し付けるという
終わり方をしていたんだろうな。

一度でも、
「そうか、わかった。じゃ、それでやってみな」
と言えてたかな、と。

いや!こっちだって、良かれと思って!と思っちゃうんだけど、
そんな相手に「言いたい事」なんて言う気なくなるよなぁ。

これって大人でもありますわね。

例えば、「言いたい事があれば、屈託ない意見を」なんて上司に言われて、
勇気を出して、手をあげて、
「あの〜これおかしいと思うんで、こうしたらいいと思うんですけど〜」
なんて言ってみたら、
「うるさい!おまえは何もわかってないクセに!」
なんて言われた日には、こう思いますね。

もう二度と、この人に意見するのはやめよう。

と。


俺もそんな経験が無いわけでも無いので、
反省した次第です。

「言いたい事を言え」というからには、
こちらにもそれ相応の器の大きさが必要
なんですね。

言わすだけ言わせて、
ちゃぶ台ひっくり返すのは、「言いたい事言え詐欺」で逮捕ですわ。

言いたい事言え、のセットとして、
「それを受け入れる気持ちも」無いといけない。

それを受け入れた上で、
一緒に結論へと向かわない限り、相手はこう思いますね。

「結局、おまえの答えがあるんじゃんかよ」と。
「結局、否定されるだけじゃんかよ」と。


今までは小さかったから、わからなかったけど、
もう8歳にもなれば、それこそ自分の意見が少しずつ出てきて、
結局言っても、聞いてくれないじゃん、という事に気づいてしまったのか。

なにやら息子の心の中がわかったのはよかったけど、
ちょっとショック。


「そっかぁ。わかった」

そうママに伝え、それからの息子への対応を考え直したのでした。




数日後。
すっかり仲直りした俺たち。

「おまえ、いつまでYouTube見てんだよ、宿題やれよ!」

息子「今、やるよ!」

「は!?やってねーからいってんだろ!」

息子「・・・・・・・・」

「あ?なんだよ!言いたい事あんなら言えよ!」

息子「俺は、、これを見たらやろうって決めてたのにさ」

「へ?それは今、思っただけだろ!?だいたいさぁ・・・」



まずい。



全集中。



水の呼吸。




「・・わかったよ、そうだな、じゃそれ見終わったらやれよ」

息子「はーい」



鬼殺隊への道は遠い。





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