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映画「死霊館のシスター」を見た話。

!この記事にはネタバレが含まれています!

どうも、この自粛期間中、これでもかと映画を見まくっている私です。
特に深夜にホラーを見るのがもはや日課となっている。
「死霊館のシスター(原題:The Nun)」は一度見たのだが正直イマイチだった。
あとこの映画に限ったことではないけど、映画の邦題ってなんでダサいの?

さて、この映画、死霊館のシリーズゆえに期待が大き過ぎたのかもしれないと思い、この自粛期間中に必殺Netflixでもう一度見ることにした。

結論から言おう。

そこそこ怖いけど、やっぱなんかイマイチ。


■ポスターはかなりセンスある

正直日本の映画のポスターって無意味に文字入れ過ぎ、構図や色合いもオリジナルと違うということが多く、デザイナーとしては全く納得いかないものが多い。
「これどうせセンスないどこぞの企業が口出ししてこうなったんだろうな、デザイナー可哀想」と正直思うことが多い。デザイナーがセンスない可能性もあるけど。

が、この死霊館のシスターの日本版ポスターは悪魔ヴァラクの「呪え」と、主人公アイリーンの「祈れ」の対比が素晴らしい
コピーライターが考えたのか、配給会社が考えたのか知らんがセンスいい。
ただ、「『死霊館』『アナベル』シリーズの元凶現る。」の一文は完全に不必要。


■可憐で可愛い修道女見習い、アイリーン

本作の主人公、可憐な修道女見習いのアイリーン。
単純にかわいい。
彼女、序盤から特殊な能力を持っているであろうことを匂わせており、ヴァチカンはそれを知っていて彼女を派遣したのだろうが、特に深堀りはないのが残念。
ただ、映画の長さを考えれば仕方ないのかも。


■ビジュアルが強すぎる悪魔、ヴァラク

この悪魔のビジュアル、私だけでなく多くの人がこう思ったに違いない。

「マリリン・マンソンに似すぎじゃね?」

この悪魔ヴァラクのビジュアルを見て、マリリン・マンソンの「Long Hard Road Out Of Hell」のM Vを思い出したのは私だけではないだろう

そして何故シスターの格好をしているのか。
この映画の舞台となる修道院のシスター達が次々に犠牲になったというのはわかるが、悪魔がシスターのコスプレして登場する意味ある?
いや、アイリーン達を騙すためにシスターに擬態してるならまだわかるが、そもそも全く擬態できていない。

登場した時には既に禍々しい雰囲気てんこ盛り、どう考えても人間ではないビジュアルで初っ端から登場しているんだから、その後もずっとシスターの格好である必要なくない?

趣味なの??


■微妙な活躍のバーク神父

「過去に行った悪魔払いで少年を犠牲にしてしまったことを引きずっている」という人物設定は良かったのだが、これが物語で全然活きていない
悪魔の幻覚を見せる能力の描写でちょこっとその要素が出るが、なんかパッとしない
修道院の書物を読み漁り、ヴァラクの存在に辿りついたものの、ヴァラクに関しての深掘りもなかったので「この怪現象はヴァラクが起こしたものですよ」という説明のためだけに挿入されたシーンという印象。
そしてこの神父、特に活躍しない。


■「死霊館」と繋げるために無理矢理作った感のあるキャラ、フレンチことモーリス

この「死霊館のシスター」のエンディングと「死霊館」が繋がっているのだが、正直ここの繋がりを演出するために無理矢理ぶっ込んだキャラという感じがする。
あと、「とりあえず筋肉あるセクシーな俳優出しとけ」感がすごい。


■個人的に色々と納得いかない

まず、このヴァラク、一度は封印されている。
それが大戦によって修道院がダメージを受けたために解放されて再降臨したという設定なのだが、これが納得いかない。
この修道院という建物が封印の役割を担っているというならわかるが、悪魔にジーザスの血をぶっかけて地獄に送り返したのだから、「建物がダメージを受けたので悪魔が再び舞い降りた」というのは納得できない

また、最後のシーンも納得いかないというか、ちょっと無理矢理すぎる
なんとかして「死霊館」に繋げようとして無理矢理そういう流れにした感が強すぎる。
最後、ヴァラクは断末魔の叫びと共に再び地獄へ送り返されるが、いつの間にやらフレンチに取り憑いていたということなのだろうが、この展開は正直苦しいと思った。

ちなみにこのヴァラク、オカルト好きならご存知であろう「ソロモン72柱の悪魔」のうちの一人。
「二つ首のドラゴンにまたがった、天使の翼をもつ子供の姿で現れ、召喚者に財宝のありかを教えたり、爬虫類を統率する事ができるので蛇の現れる場所を教えてくれるとされる。さらに召喚者の力が弱くても比較的制御しやすい。」
と言われているが、この映画に関してはどれにも全く当てはまっていない。
むしろ真逆。


■最大の残念ポイント、「恐怖」と「びっくり」の混同

もうね、ホラー作品において絶対やっちゃいけないことをやりまくってますね、本作。
「残穢」の記事でも書いたが、「恐怖」と「びっくり」を混同している制作者は非常に多い

大音量でビビらせるとか、そういうやつ。

それはただのチートで、本当の「怖い」という感情を揺さぶるものではない。

それをめちゃくちゃやっている。残念かよ。

あと終盤、フレンチがズタ袋被った亡霊みたいなのに取り囲まれるシーンなど、とにかく過剰演出過ぎて逆に冷める


と、やはりかなり辛口の批評になってしまった。
雰囲気はいいし、ヴァラクのビジュアルはインパクト強いので、ホラー好きだけどまだ見たことない人は見てみてもいいかも。


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