カレーパン丼は再構築されたカツカレーだ。
そもそもおかずパン(お総菜パンとも言う)とは不思議な存在だと思う。
最初の一文を見て、不思議と思わない人もいるのかもしれない。
「え、おかずが乗っかってるパンのことでしょ?」
とサラリと言ってしまうのかもしれない。
けれど一度考えてください。
おかずパンははたしてパンなのだろうか?おかずなのだろうか?
例えば、クリームパンなどのクリームがごったごたに乗ったパン、フルーツが山ほど盛り付けられた、スイーツ系のパンがあるじゃないですか。
あれを食べると、やっぱり必然と、じゃあ飲み物はコーヒーか紅茶になりますよね、って話になる。これは、クリームパンやフルーツ盛り盛りパンの上位互換ともいえる、クリームやフルーツが盛り付けられたケーキを食べた時と同じ行動だ。
けれど一方で、カレーパンやフランクフルトがドーンと乗っかったおかずパンに、コーヒーや紅茶を合わせようとはなかなかならない。
口の中に広がる塩気。こってり感。脂感。
これを一番受け止めてくれるのは…
そう、ご飯だ。
つまりおかずパンは「おかずとして成り立つパン」なのかもしれないのだ。
そもそも僕がこの決意を固めたのは、家の近くにあるパン屋が原因だった。
ここはカレーパンが美味しい。お店の方もそれを自覚していて、いつも店の目立つところにカレーパンが置いてあり、揚げたてのカレーパンが随時補給されていく。
カレーパンの中にはカレーがずっしり入っており、お肉もゴロゴロと入っている。それを食べると、口の中は塩気、こってりかん、スパイシー感、脂感、様々なうま味に満ちていく。
幸せだ。けれど、この幸せをもっと確実にする手段を俺は知っている気がする。
これ、ご飯に合うんじゃない?
そう思ってしまった。そう思ってしまったのだ。(強調のための繰り返し)
というわけで試してみました。
白いご飯に。
カレーパン。
カレーパン丼の誕生である。
中々人生でお目にかかることのできないビジュアル。過去にカラムーチョ丼などの丼を作っている僕ですら、中々「これは…」となるビジュアル。でも調理時間はたったの一分。温かいご飯にカレーパンをのせるだけ。
温かいうちに実食。
ザクリという食感とともにカレーパンが口の中で分断され、中からスパイシーなカレーと肉がゴロゴロと現れる。
そこに追いかけるように白いご飯をかきこむ。
これは…これは…!
うまい!
そしてあれだ!
カツカレーだ!
考えてみればそうだ。その通りだ。下の図をご覧いただきたい。
(今回一番頑張ったともいえる図)
カレーパンは「揚げてあるパン」「カレー」「肉」でできている。ご飯はご飯だ。
その分解された「揚げてあるパン」と「肉」は、組み合わせれば「カツ」になる。
そしてのこったカレーとご飯、これはまさしく「カレーライス」であり、
「カツ」と「カレーライス」が組み合わさると出来上がるものは「カツカレー」だ。
つまり、カレーパン丼はカツカレーなのだ。
(カツカレーです)
料理の分野で今もてはやされている方法の一つに「再構築」というものがある。
これは、ある料理の素材や調理法を一度バラバラにし、別の調理過程などを組み合わせることで、同じ材料を使っていながらも全く新しい一皿にする、ビストロと名の付きそうなところがやっている料理表現の一つだ。
図らずも僕はそれをカレーパンを白いご飯の上に乗せるということで作り上げてしまった。これぞまさに現代におけるカツカレーの再構築。
カレーパン丼とか言わずに、「白と茶のドーム~カツカレーの再構築~」とか言ってしまえばもっとかっこいいのかもしれない。
(白と茶のドーム~カツカレーの再構築~です)
僕は大満足の気分でカレーパン丼、いや、再構築されたカツカレーを食べ終えた。おかずパンはおかずである、という確かな確信も得た。
ご飯とおかずパンの出会いで、再構築された料理を見つける。
ここにもしかしたらライフワークが一つ生まれたのかもしれない。
となると次はとりあえずピロシキ辺りを狙ってみたい。
あれ、絶対丼にしたら美味しいと思うんだよなぁ…
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