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千切りキャベツを愛してる

千切りキャベツというのは凄まじく役にたつ野菜なのだと最近つくづく思う。皆んなもっと千切りキャベツを讃えるべきだとすら思う。

世の中の千切りキャベツへの評価は概ね、というかほとんどが「付け合わせですよね」だろう。

付け合わせというのは、主役がいて初めて成り立つ言葉で、例えばうどんのつけ合わせとしてはネギの細かく切ったものや揚げ玉があるし、ローストビーフの付け合わせにはマッシュポテトとかがついてくる。ハンバーガーのつけ合わせとしてはフライドポテトあたりがつけ合わせ代表として名乗りを挙げるだろう。

そんな中、トンカツやコロッケあたりの付け合わせとして、千切りキャベツはでてくる。
そこには明確な主従関係がある。キャベツを従えて出てくるキングたる揚げ物。そういう明確なビジュアルがありますね。

でも、逆に考えていただきたいのです。
アッツアツのトンカツの付け合わせに、千切りキャベツがついてこなかったら・・・と。

ここからキャベツがきえたら…

トンカツを食べようと意気揚々とトンカツ屋さんにあなたは入る。この時点で頭の中にあるのはほぼ十中八九トンカツのことだけで、残りの1割にかろうじて「白いご飯もモリモリ食べるぞー!」ということが(あるいはビール飲むぞー!ということが)あるだけだ。

しばらくすると、頼んでいたロースカツ定食が届く。

けれども、ない。

キャベツが。千切りキャベツがお皿に乗ってない。
「野菜、高くってねぇ」と申し訳なさそうに店員さん(店主の奥さん)が言う。
代わりに添えられているのはマカロニサラダ。
つまり卓上にあるのは、シュウシュウとまだ音を立てているトンカツと、湯気の上る味噌汁とごはん、そしてマカロニサラダだけなわけですね。

さぁ、ここであなたはどう思うか。

それでもいい、という人ももちろんいるかもしれないけれど、いなくなって初めてキャベツの愛おしさに気づく人も多いのではないか。なんだったら「キャベツがないなんて・・・」と空を仰ぎ見る人、涙を流す人もいるのではないか。

トンカツにおけるキャベツは、さっぱりとした箸休め的な存在にもなれば、トンカツソースやドレッシングなんかをかけることで、トンカツ定食における第二の矢として戦うことも可能な万能選手だ。トンカツ終盤戦における、トンカツの衣や、ソース、カラシなんかがワーっと混ざって少しヘタっとなったキャベツなんかは、見てくれこそ悪いものの、実はトンカツ定食における最強のおかずなのではないかとすら思ってしまう。

やはりこう考えると、千切りキャベツはトンカツに必ず必要な、主従関係でありながら「従」必須の存在なわけでありますね。

そして今千切りキャベツはつけ合わせとしてではなく、主食的な立場も担うことだってできるのですね。過去に書いたこともあるのでまたかと思う人もいるかもしれないけれど、カレーにおいて、ライスの代わりにキャベツの千切りを使う、これが猛烈に美味い。

カレールーをうけて少しシナッとした千切りキャベツがカレールーとまざりあって、軽くシャキシャキとした食感を楽しめつつも、まとまった旨みが一気に口の中で広がる。これで飲むビールがまた美味いのなんのって。しかもライスじゃないから、たくさん食べても(白米を大量に食べるよりかは)健康に良いというおまけ付き。最高。

これは自分のアイデアではなく、金沢カレーにおいては当たり前とされている付け合わせなのですね。

金沢カレー。めちゃうま。


僕は初めて食べた時から「今後はカレーにはキャベツである。カレーはハウス、カレーにはキャベツ」と口走りながら家まで帰った(気がする)

それ以来千切りキャベツはカレーにはなくてはならない存在として自分の中で確固たるとなっているのでした。

試してはいないけれど、カレーでいけると言うことは、ハヤシライスでもいけるかもしれないし、中華料理のエビチリとか、麻婆豆腐の付け合わせにあっても美味しそうな気がする。麻婆豆腐のひき肉たっぷりの辛い餡を纏ったキャベツなんて、もうどう考えても最強レベルのおつまみだ。

丼に乗せたってきっと美味い。麻婆麺をご飯の上にのっけて食べたら一部の人からひんしゅくを買うことがあるけれど、それが千切りキャベツなら何も言われまい。炭水化物オンザライスの救世主としても千切りキャベツは有効なのだ。

付け合わせの域を超えて、あらゆる面で優秀な千切りキャベツ。僕はこれからも愛していきたい。

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