【提案】『2084年』という小説。

 今朝、ぼんやりとした意識の中で、ベーシックインカムと刑法を融合するアイディアを練っていました。

 こういうのは大抵、起きてから振り返ると、なんだ、面白くもないアイディアだな、となるのですが、今日は、そうなりませんでした。

 なので、ちょっと、紹介します。 








 最初に、前提知識としてですが。

 ベーシックインカムというのは、日本維新の会が掲げてるやつで、全国民に定期的に一定額を支給する制度のことです。

 たとえば、国民ひとり、毎月、5万円、みたいな感じ。

 もっとお金が欲しい人は働けばいいし、それで十分な人は働かなくていい。という、アイディア。

 財源のためには、現在の社会保障制度をそのまま維持することはできません。もしも実現したら、社会保障政策の大転換になります。


 






 僕の持ってる経済学の知識で考えると、確実に働く人は減るので、全体としての所得も低下し、税収も減り、支給額も減り、経済規模が縮小しそうですが、それは一時的な現象でしょうか……。

 ともかく、世界中の経済学者が支持してるみたいで、もしかしたら上手くいくのかもしれません。実験的にやってるところもあります。







 一方、刑法というのは、犯罪に及んだ人に刑罰を加えることで、犯罪を抑制しようとする制度です。

 たとえば、人を殺したら、死刑とか、懲役刑とかになったりしますから、それが嫌な人は人を殺すことを躊躇う、というわけです。








 以上の前提知識をもとに、考えていくのですが。

 まず、刑法というのが処罰的な発想であることについて、時代との齟齬を感じてるんですね、僕は。







 いまの世の中、悪いことをした人を叱るんじゃなくて、優しくフォーローしながら、改善へと促す、っていう時代じゃないですか?

 だったら、人を殺した人を処罰するのではなくて、人を殺さなかった人を褒めたほうが筋が通るのではないか、と思ったのです。







 もちろん、このアイディアは、すぐに壁にぶつかります。

 だって、人を殺さない人なんて、膨大にいるわけですから、人を殺さなかった人を褒めようとすると、莫大なコストがかかります。

 そんな制度、運用できるわけがない。







 しかし、僕は、そこで、ベーシックインカムがあるじゃないか、と思ったのです。

 ベーシックインカムというのは、お金を支給する制度ですから、支給できる条件を設定することにより、特定の行動をするインセンティブを与えることができます。







 たとえば、こうするのです。

 犯罪に及ばなかった人は支給金を満額受け取れるが、犯罪に及んだ人には減額する、あるいは、一定期間、支給を停止する、と。







 ここで、頭の鋭い人は、それって、ただの罰金刑なんじゃないか、と思うかもしれません。

 しかし、厳密には違います。犯罪に及んだ人の所有するお金を奪ったのではなく、国が管理するお金を犯罪に及んだ人には与えていないだけです。









 国にはもともとお金があり、犯罪に及ぶ人がいると、そのお金が国の手元に残ります。

 犯罪が増えれば増えるほど国にはお金が残り、犯罪対策にお金を回せます。

 しかも、犯罪者を収容する必要もなく、刑務所を運営するお金もかかりません。







 より重い罪に及ばなかったほうが支給金は増えます。

 たとえば、窃盗罪に及ばなかったときよりも、殺人罪に及ばなかったときのほうが、多額のお金を与えるように制度設計します。








 また、この制度の良いところとしては、犯罪に及んだとしても、更生することに金銭的なインセンティブを与えられるところです。

 人を殺したことによって支給金が停止したとしても、その後、人を殺さなければ、徐々に支給金を戻していきます。人を殺さなければ殺さないほどお金がもらえる、という仕組みを理解させれば、お金のために我慢するだろうし、人を殺さない自分のことを肯定できるようになり、社会に認められたような感覚になります。

 しかも、国としては、もともと支給する予定だったお金を回すだけなので、財源的な負担はなく、むしろ、犯人がちゃんと更生するまで余剰金が出ます。








 この制度の弱点としては、死刑や懲役刑ほどのインパクトがないということでしょうか。

 しかし、まあ、僕が思うに、刑法は補充的な役割でいいのだから、これで十分ではないか、と。








 刑法でカバーできないところは、恐ろしい道徳が対応しているのであって、

 実際、日本の犯罪件数が少ないのは、刑法が機能しているからというよりは、世間が厳しすぎて、その圧倒的な道徳が犯罪を威圧しているからといったほうが実態に近いと思います。








 さらにデメリットとしては、被害者や被害者遺族にとっては酷、という重大な問題もありますが、

 どうせ刑務所に入れたとしても反省する人はそれほどいないと思う(『死刑絶対肯定論』を参照)ので、無理なお願いをするよりは、もっと合理的に考えてもいいのでは、と。

 犯罪者に回さずに国に残ったお金で、被害者遺族の方のカウンセリング料金を負担するなどの対策もできます。








 という、ご提案なのですが……。

 以上のようなアイディアは、どうでしょうか。








 僕はかなり気に入ってまして、『2084年』っていうタイトルでSF小説を書きたいな、とも思ってるのですが😅

 でも、いま、僕は『拷問投票』にかかりっきりなので、誰か、共感してくださった方がいたら、この『2084年』という作品を書いてみてください。








 新人賞などに応募する場合は、「着想、山本清流」と明記し、

 僕の株が上がるように十分に注意していただければ、構いませんので。