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2021年に見つけたセカイ系の創痕

先日、電車の中でひたすら胸がざわつく出来事がありました。電車広告に「セカイ系」の痕跡を見つけてしまったのです。「そんな馬鹿な」と思う人はいるかもしれませんが、割と本気です。「セカイ系」という単語は、もはや日常的に使われません。それにもかかわらず、その概念だけ、すっかり日常の風景に溶け込んでいました。いくら時代が変わると言っても、歴史と地続きの社会を生きていることから逃れられない。この感覚を、誰かと共有したくて、この記事を書いています。

まず、次の文章を読んでいただけるでしょうか。

ワタシが好き。セカイが好き。

スマホの向こうのいろんな世界。
ひとつひとつのリアル。
でも、
いいねだけが価値じゃない。
結局、
さいごはジブン次第。
このセカイに、
ジブンらしく踏み出していこう。

この文章は、この10月からアリシアクリニックという脱毛サロンの広告に使われています。広告のキャッチコピーとボディーコピーです。

電車のドア横やトレインチャンネルなどで見かけた人もいるかもしれません。グラフィカルな要素とあわせて見てもらいたいので、YouTubeの動画も引用します。


緑黄色社会が手がけた楽曲にあわせて、モデルの見上愛が軽やかな笑顔を見せる。なるほど「【2021年】に【何か】をやりたかった」ということは伝わってきます。元からこの会社を知らなければ、何のCMなのか見当がつかないのですが、まぁそれは良くも悪くも捉え方次第です。

ただし頻繁に出てくる「セカイ」というワードは見逃せません。漢字の「世界」と対比されており、単にカタカナにしてみたというレベルではないことは明らかです。

違和感の正体をたどるにつれ「セカイ系」というワードが浮かび上がりました。

「セカイ系」とは一般的に、主人公と好意を寄せる相手との小さな人間関係が、社会を介することなく世界の終末などの大きな問題と直接つながる構造を持つ物語を指します。いろいろな定義がありますが、「セカイ系」と分類される作品群は、2000年代を代表するユースカルチャーの一角でした。

読めば読むほど「セカイ系」とのつながりが見えてきます。

※この記事は100円で販売していますが、月額300円のマガジンに含まれています。仕事中のランチから広告関連のレビューまで、広告業界の辺境地から見える風景を更新します。

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