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curry menu archive 14 フィリピンカレー

14皿目はフィリピンカレーです。

国名をテーマに、週替わりでカレーを創作する世界一周カレーはここからスタートしました。
試作禁止。ぶっつけ本番。
誰に言われた訳でもないのに、ヨシフジは自ら石を背負い、足枷をつけました。
控えめに言って地獄です。

フィリピンカレーの構成はバナナを使うことから決まったそうです。

現地では、タイ料理の青パパイヤのように未熟のバナナが野菜っぽく使われることもあるようですが、日本ではその状態のバナナは手に入らないので、完熟バナナを揚げてみるかあ、というのが出発点でした。

完成図です。

左上の揚げパンようなのがバナナのフリットです。
このおまけみたいなバナナからどうしてこのワンプレートになるのでしょうか。
少し掘り下げてみます。

『豚バラのカレカレ
(ピーナッツバター煮オキアミペースト付き。)
鳥もものアドボ
(こしょうのすっぱ煮)
トマトとスナップえんどうとヤングコーンのアチャール
バナナフリット
焼き茄子のオムレツ。』

と当時のインスタに書いてありました。

カレカレはその名前からカレーの一種のような感じがしますが、さにあらず、シチューに似たフィリピン料理ということです。
肉を煮込んでピーナッツバターともち米でとろみをつけて、塩味のエビペーストと一緒に食べる、これがなきゃお祭りが終わらない、という情熱飯らしい。
はっぴに鉢巻、団扇を持って踊りながらちらし寿司を作る北島三郎を思い出しました。

カレカレに和名をつけるなら「暴力お粥」という感じでしょうか。
馴染みがなさ過ぎて味の想像がつきません。

鳥もものアドボはフィリピンの家庭料理です。
カレカレと違って日本でもよく作られる「鳥のさっぱり煮」です。
お酢ですっぱく爽やかに煮るあれです。
日本と違う点は、酢でマリネする、もしくは漬け込んでから煮るという点くらいで、味も似ているのではないでしょうか。

トマトとスナップえんどうとヤングコーンのアチャールはどこがフィリピンなのかと調べてみたら、フィリピン産のものが日本に輸入されているようです。
フィリピンといえば、バナナとパイナップルとオクラというイメージでしたが、スナップえんどうとヤングコーンの国でもあったようです。
アチャールはこちらを参照してください。

焼き茄子のオムレツにはケチャップがかかっています。
バナナと共に、甘味のバランスのために採用されたのかもしれません。
フィリピンでは茄子がよく食べられているようです。
海の向こうのキッズたちはこんなオムレツを食べているのでしょうか。

文章にすると、フィリピン料理の盛り合わせのようですが、これらにアドリブでスパイスを調合しオリジナルのカレーに仕上げています。

一般的に、クミン、コリアンダー、ターメリック、チリパウダー、くらいがあればカレー味になるといわれますが、
ホールのまま使うのかパウダーを使うのか、乾燥か生か、という状態の要素を4種のスパイスに追加しただけでも4の4乗ということになりますので、256通り、そこに分量という要素が加わると、すでに∞の予感がします。

当然スパイスは他にも信じられないくらいの種類が存在しますので、マジで∞です。

初めて作るフィリピン料理をスパイスでアレンジしてカレーにする、ということの難しさがおわかりいただけたでしょうか。

フィリピンですから、パイナップルチーズチキンカレー、でも成立してるはずですが、そういった安易な方向には進まず、現地の人が食べているカレカレやアドボをカレー化するという無謀なチャレンジにこそ、スパイスカレーの地平を切り開いていくフロンティアスピリッツを感じます。

「バナナを、揚げるか」

という発想は、これから挑む遠大なテーマから逃げ出したい気持ちから来る一時的な子供返りだったのかもしれません。

フィリピンカレーを食べた記憶のある方からのコメント、ご連絡をお待ちしております。
リアルな感想が発掘できれば随時追記予定です。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
つづく。

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