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終焉の日

明日が来ないとしても、あなたはいつも通りですか?
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朝。

たいちゃん「どうしようどうしようどうしようどうしよう!!」

バハマが縁側で支度をしていると、たいちゃんが大慌てで詰め寄ってきた。

バハマ  「どうしたんだよ」
たいちゃん「今日は終焉の日だよ!」
バハマ  「終焉の日?」
たいちゃん「マヤの予言だよ!世界が終わる日が今日なんだよ!」

バハマの息が荒くなっていく。

バハマ  「、、、まじかぁぁ!!!!!!」
      ちょ、、どうしようどうしよう!」
たいちゃん「どうしようどうしよーう!」

ひたすらに慌てふためくたいちゃんとバハマ。

バハマ  「そうだ!まずは会社に連絡だ!、、もしもし!バハマです!
      今日はさすがに休みますね。、、終焉の日ですよ?、、、
      何言ってんだって?、、
      地球最後の日に会社になんかいくかぁてめぇこら調子に乗りや
      がってぶっ飛ばすぞ!!!」

バハマが携帯を投げ捨てた。


              ~終焉の日~


縁側でたいちゃんとバハマが慌てふためいている。

たいちゃん「あぁ〜クソ!何したらいいんだよ!」
バハマ  「やり残したことでもあればよ!」
たいちゃん「それよ!さっきから考えてるんだけど出てこないんだ、きっと
      ありすぎるんだよ、、、お前はねぇのか?」
バハマ  「何もねぇな!」
たいちゃん「寂しっ!!」
バハマ  「、、、あ!」
たいちゃん「どうした?」
バハマ  「あったわ」
たいちゃん「おお!よかったじゃん!なになに?」

騒がしい声に引き寄せられたのか、浴衣を着たハルがたいちゃんとバハマの後ろから、縁側にやってきた。


バハマ  「女の子と、手を繋いでみたかったなぁ」


 静寂があたりを包んだ。

たいちゃん「、、、ぇ、ないの?手繋いだこと」
バハマ  「、、うん」


たいちゃんとバハマは後ろのハルに気づかないまま、会話を続けた。


たいちゃん「ぇ、じゃあ、キスは、、」
バハマ  「、、あるわけねぇだろ、手も繋いだことないのによ」
たいちゃん「ぇ、じゃあエッチは?」
バハマ  「あるわけねぇだろ💢!!」

 居心地の悪い沈黙が流れた。


行為をしたことがない。程度のことなら、たいちゃんは笑い飛ばしていただろう。しかし手も繋いだことがないときた。たいちゃんは困っていた。ここは笑ってやるべきなのか、そうではないのか。そうではない場合、一体どんな言葉をかけるべきなのか。人生の9割をふざけて過ごしたたいちゃんにはあまりに難しい局面だった。

バハマ  「、、惨めだろ?なんか泣けてきたわ。俺なんかいつ終わったっ
      ていいのさ。どんな風に終わってもな。望んだって叶わないん
      だよ。
      、、、まぁ、叶いそうな願いもあるけどな。」

 おもむろに縁側に座るバハマ。

たいちゃん「、、、なんだよ」
バハマ  「タバコが欲しいって願い。一本くれねぇか?相棒」


たいちゃんは不思議と冗談が言えなくなっていた。


たいちゃん「、、当たり前だろ」

たいちゃんがバハマの横に座り、タバコを二本取り出した。

たいちゃん「、、最後の日にタバコ切らすなよ」
バハマ  「、、わりぃ」

たいちゃんは自分の煙草に火を着けようとして止まった。
明日でこの世が終わるのに、バハマは女の子と手すら繋いだことがない。
親友とも呼べるこの男が最後の日に暴露した願いが女の子と手をつなぐ事。
心から叶えてあげたいと思った。

バハマ  「え?!」


たいちゃんはバハマの手を握った。わかっている。たいちゃんは男だ。
しかし、どうしても最後の願いをかなえてあげたいという気持ちが、いろいろと策を練ることを超えた結果だった。たいちゃん自身も驚いていた。
日常的に考えてから行動することが当たり前だった自分が、感情に任せた行動にでるなんて初めてなんじゃないか。恥ずかしさが一気にこみあげてきたたいちゃんだが、その手を離すことはなかった。



たいちゃんが自分の煙草に火を着けた。


一体どうなってるんだ!バハマは考えていた。
仮に、バハマがたいちゃんの手を握ったとする。結果は
やめろよ!きもい!
とか
ふざけんな!意味わかんねぇよ!
とか
そうなるはずだ。長い付き合いだ。それくらいのことは分かる。
なのにどうだ?
たいちゃんから握ってきたではないか。しかも恥ずかしそうに。
離さないし。
確かに、言った。女の子と手を繋いでみたかった。と。
でもたいちゃんは男だぞ!
お互いストレートなことももちろん知っている。
バハマ自身も普段、たいちゃんに手を繋がれたら、拒むだろう。
しかし、今は拒まなかった。
もらった煙草を口にくわえたまま、
なんとなく、涙腺が緩んだ気がした。


その時


たいちゃんがシガーキスでバハマの煙草に火を着けた。


たいちゃんはパニックだった。
なんでこんなことをするんだろう。今日の自分は何かおかしい。
恥ずかしさからか、バハマの方を見れなくなり
ただひたすら、遠くを見つめていた。


バハマはパニックだった。
さっき話していた内容を思い返していたからだ。
手を繋ぐ、キス、エッチ。
そう、この流れだった。
今、キスの段階が終わったところか?ってことは次は!!
バハマはパニックだった。
しかし、たいちゃんは自分のことを思ってくれている。
たいちゃんだって本当はこんなことしたくないだろう。
それでも、俺が望んでいたことを自分なりに叶えてあげたいと
いう思いでしている事なんだろう。
頭の中はぐちゃぐちゃだが、さっきのシガーキス。
そう、キスとシガーキスは違う。
きっとたいちゃんは形をかえてエッチを仕掛けてくるんだろう。
多少のことは許そう。受け入れよう。
バハマは覚悟をきめた。


ハル   「、、、終わり?」


すぐ後ろから聞こえるハルの声。

たいちゃんとバハマが煙草の煙でむせ返った。

たいちゃん「いつからいたんだ!!!!!??」
ハル   「多分、最初からよ」
バハマ  「まじかよ、、」

死ぬほど恥ずかしい二人だった。


ハル   「、、なんだか、2人を好きになったわ」

ハルがたいちゃんとバハマの間に入り、二人を抱き寄せた。

バハマの手を、ハルが握った。




       ハルがバハマに何か、耳打ちをした。


       立ち去るハル。息が荒くなるバハマ。

バハマ 「お風呂入らなきゃ!!!」


バハマはそう言って、たいちゃんに吸いかけの煙草を強引に渡し、縁側から立ち去った。


たいちゃん「え?!どゆこと?!!」


              【次の日】


3人で縁側に座っている。

たいちゃん「、、、滅亡しなかったなぁ〜」
バハマ  「それなぁ〜」
ハル   「そんなもの信じるなんて、おバカさんね、あんたたち」
バハマ  「お?知らなかったのか?」


たいちゃんには昨日のもやもやが残っていた。


たいちゃん「、、、結局、何だったんだ?」
バハマ  「何が?」
たいちゃん「耳打ちしてただろ?あれ、なんだったんだ?」
ハル   「さぁね〜」
バハマ  「さぁ〜ねぇ〜」


たいちゃんはため息をつき、呆れた顔で、遠くを見つめた。


水本 「まぁ、いいか」

          いつもの三人である。

END
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