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土の上にも三年


<土の上にも三年>

自然農の成功条件の一つに「人間が手を入れること」というのがある。
一体何をどう手を入れるのか、人の数だけ、畑の数だけ、千差万別だ。
自然農の世界にもちょっとオカルトぽいやつもあれば、がっつり科学的なやつもある。新しい資材や道具が出てきて、一時的に流行ることはよくある。

よく講座に来る人にはその流行や王道の栽培方法について質問されることがあるが、どれが良いとか悪いとかは三年後に判断しようといつも思う。
いろんな業界でもあるように最初だけ効果覿面でも、その後どんどん悪くなることはある。最初は全然だったのに、3年後には驚くような違いを生むこともある。私たちはついつい、目先の結果だけで判断しがちだ。

これは師匠や先生のもとに弟子入りした時に
「なんでこんなことやらなきゃいけないんだ」と思うようなときにも当てはまる。師匠から弟子へ、と受け継がれてきた伝統的な文化にはどれにも当てはまる。

そして、自然界ではこの3年というスパンはことさら大事だ。3年もあれば、荒地は畑になるし、畑は林になり、林は森になる。同じように、初心者は半人前になり、半人前は1人前になる。タネは、3年後にその土地に適し始め、6年目以降に最適なタネになる。どうやら自然界には三年間の律動があるようだ。

石の上にいる必要はないけども、土の上にいる必要はある。日々変化する自然に身を置き、観察し、働きかけることを続けていけば、どんなオカルトのようなものでも、どんな最新科学のものでも関係なく野菜を作れるようになれる。そこに存在するパターンに気がつく、それに調和することができる。どんな最先端の道具にも、どんな改良品種のタネにも頼ることなく野菜を作れるようになれる。いや、勝手に育ってくれるようになる。

自然に寄り添って生きるということは、三年以上の長いスパンで関わる覚悟を持ちながら柔軟に対応できる心を持つことだ。これは都会の文明の中で生きていると身につかない。現代教育では中間や期末テストで結果を出さなくてはいけないし、現代ビジネスでは1年、ときには四半期で結果を出さなくてはいけない環境だからだ。

20世紀の文明とは土から離れていく文明だった。それこそが進歩であり、発展のポイントだった。土に縛られる暮らし、教育、経済、エネルギー、政治からの解放こそ、自由であり豊かさの象徴だった。しかし、根をはることができなくなった文明は今まさに土を大雨で流されてしまった樹木のように倒れようとしている。

ラピュタの名言「土から離れては生きられない」という言葉が日本人ばかりか世界中の人々の胸に響いたのは、土こそ私たち陸上生物にとって切っても切り離せない存在だからだろう。それは裸足で土の上に立ち、素手で土を触れば、すぐに分かる。土から私たちは食料やエネルギーを得ているばかりか、喜びや安心、美しさまで恵んでもらっているのだから。そして土の中にこそ、カミを感じる。

~今後のスケジュール~

<自然農とパーマカルチャーデザイン 連続講座>
・沖縄県本部町 2月11日~12月1日
https://fb.me/e/4ZoQTy8Qd
・沖縄県豊見城市 2月10日~11月30日
https://fb.me/e/1vqPRSvCw

・京都府南丹市 3月16日~11月16日
https://fb.me/e/1GDPiBzoQ
・京都会場 無料説明会 2月17日
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<自然農とパーマカルチャー1日講座>
・岐阜県岐阜市 4月21日

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