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前橋ポエトリーフェスティバルエッセイ①〜朔太郎ノ蔵編〜


イベントはここから始まった

「俳里さん確か絵も描いてたよね?今年のポエトリーフェスティバルで絵の展示会もやるんだけど良かったら出しませんか?」
「はぁ...(よくわからないけど)やってみます」
群馬の詩人を主に統率する団体『芽部』の代表である新井さんとのやり取りである。詩学校講師1回目を終えたお茶会の場でのオファー。一体この人はいつ休んでいるのだろう。

この時は絵も全く描いていなかったので、具体的なイメージが出来ていなかった。描いていたとしても私の作品は抽象的というか、ジャンルが不明なので説明もホワッとしてしまう。
だからこそ、表に出してみんなに見てもらうのもありかな。そんな動機で受けることにした。(当時、詩学校の講師をやり(2週間後に後編がある)、アートスープで開催される企画展に勢いで参加表明し、さらに今月分の応募用の詩も完成させなければいけないという状況だったが、気がついたら引き受けていた。)

私が今回参加したのは、2014年より毎年開催されている前橋ポエトリーフェスティバル。今年は萩原朔太郎の代表作である詩集「青猫」が発行から百年を迎えるということで、例年より豪華にしようと計画しているらしい。

常連みたいな雰囲気で書いているが、当方ポエフェス歴2年の新参者である。(去年は観客としてすみっこで眺めていただけなので、参加者としてはこれが初)去年noteでフォローしている詩人さんが参加する、ということでちょっとした好奇心で見学に行ったら主催の新井さんに声をかけられ、そこからなんやかんやあって書いたり朗読をしていたら群馬の魔女になっていた。

話を戻そう。展示会である。そんな不思議なめぐり合わせで参加することになった朔太郎記念館・蔵で開催される展示会の概要は下記のとおり。

Kind of Blueフライヤー 作:瀬志海海

Kind Of Blue〜絵と詩によるグループ展〜
前橋市周辺には、詩を書き、絵も描く、多才なクリエイターがたくさんいます。
「Kind Of Blue(なんだかゆううつ)」をテーマに、絵と詩のコラボ作品を、蔵の情緒とともにお楽しみください。

絵と詩の展示会だけでこのボリューム、我々が想像する展示会でもめったにない。グループ展も蔵と、前橋駅の近くにあるギャラリーアートスープというギャラリーの2箇所で行われ、今回参加する創作者本人と話せる機会が多くある。展示期間だけ見ても1ヶ月半あるの、豪華すぎる。

参加者紹介

日隈理遠ひくまりおん:彼の作品と対面した瞬間、この展示会の題が脳内をよぎり、気づいた。「Kind Of Blue」の"Blue"は空でも雲でもない、眼の前を流れる広瀬川のBlueなのだと。忘れていないけど長いこと会っていない記憶と再開するような懐かしさと、慈悲に包まれた作品があなたを迎えてくれます。

anir/あにる:彼女が君主のanir worldへようこそ!自らを題材として写真、コスプレ、舞台、詩に文章...多岐にわたりその時にしか見れない最高な表現をするのが彼女の持ち味。彼女の世界は休むことなく発展している。今回展示されている「少年標本」も、詩とその世界観に寄り添ったポートレートが一緒に展示されているため、少年標本の世界にじっくり浸れます。

瀬志海海せしうみうみ:この季節にぴったり。湿度と温度、鼓動が聞こえてくる。眠っていた感情が静かに波打って、もう少しで触れる事ができるのに、あと少しが怖くて、でも、ずっと見ていたい。心の端っこにいる小さな物憂げに寄り添ってくれる作品を生みます。ボードに飾られている子達もそうだけど、ちょっと視線を外してみて私達をそっと見ている子が、います。

アマニ:ある作品は繊細、ある作品は大胆。色使いも構図も同様。ペン画からマスキングテーブまで、多くの青を操る。少し憂鬱だけど見る日によって異なる印象を抱く。中国伝統秘技「変面」のような変化も楽しめる作品群をご覧あれ。あなたの迷いをはらってくれるかも。

黒崎水華くろさきみずか:青からアンモナイトが出てくるという発想に驚いた。深海に守られてスヤスヤ眠っていた青がゆっくりと目覚める稀有な瞬間を私達は目撃する。散りばめられた夜と美しい手書き文字にも注目。アートスープには姉妹作品となる寡黙なアンモナイトが私達を見守っています。

智乃-chino-:詩と絵を組み合わせた作品を作り出す詩画作家。彼女の一部が、ここに宿っている。命を削ったり犠牲にしているような作品があるけど、智乃さんの作品は「一休み」しているような。疲れたならここにおいで。一部でいいから話してみて。聞いてるふりをして全部忘れるから。そう言ってくれるような作品群。

永沢俳里ながさわはいり:書き手。自分の作品について語るのに慣れていないためアーティストトークで話したことを要約。
絵を書こうとしたら大体抽象的なものになります。模写は出来ますが、頭の中に浮かんだものを紙に移すことがどうしても困難で、たどり着いたのが緻密画とも抽象画とも言い切れないものになりました。これは絵だけど絵と言っていいのか?と考えていたが、創作関連のものは受け取る方も作る方も「普通じゃないもの」を好んでいたので、思うままに描きました。

貴方が見に行ったのはいつでしょう。6月3日に開催されたリーディングの日?それとも日常の合間?まだの方は、慌ただしくすぎる日常の束の間に添えるのにぴったりな非日常をどうぞ。

蔵展は6/11(日)までですが、6/9(金)〜6/25(日)は場所を変えてギャラリーアートスープ2階和室にてKind Of Blue〜絵と詩によるグループ展Part2〜が開催されます。
蔵の展示を見たことがある人、今回が初めての人、どちらも楽しめる回になっています。こちらでは各作家の絵や詩集が購入可能です。

告知だよ

同期間に、ギャラリーアートスープ様にて
私の「あお」展 Vol.3〜梅雨空 晴れ空 初夏の空〜
・六鹿 直 初個展”悪を喰べる鍵”

が開催されています。少しどんよりする季節ですが、足を伸ばしてアートに触れるのもいいかも。

また、6/17㈯にはギャラリーアートスープ様にて
Kind of Blue参加者による朗読会が開催されます。前述に登場した六鹿直さんも参加決定!
見るだけじゃない、聞く芸術もあるんです。


ギャラリーアートスープ公式Twitterより引用
ギャラリーアートスープ公式Twitterより引用
ギャラリーアートスープ公式Twitterより引用


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