見出し画像

好きなだけじゃだめなのか?~趣味と仕事編~


よく胸に刺さったことばを書き留める

あるドラマのワンフレーズでしかないが、就活でのエピソードを書こうと思い立った。


美術大学出身でもない自分が独学でデザイナーになるために本気で、正気で真っ向からデザイナーを目指した、たった一年間の就活奮闘劇があった。

しかも3年間特に将来の夢など持っていなかった奴が。

美術大学卒でも、ダブルスクーリングをしてる訳でも、通信講座もしてこなかった何の実績もない奴がだ。無謀かと思えた奴が、果敢にも一年しっかりとデザイナーを目指したのだ。今となっては本当に何をしていたのだろう。人生のステップを欠いた自分の無知さに呆れたりもする。


―ただ、デザインが、アートが、絵を描くことが大好きだった


大学3年の秋から就職活動のための準備をしようと偉大なる先輩たちに当時の様子を聞いて回る日々を過ごした。ある先輩もデザイナーを目指していたが、自分が就活を始めたときにはもうポートフォリオを制作するための時間はなく、優先したのは自己分析と履歴書作成に時間を割くことだったと聞いた。

こんな話があったため、自分はいち早くポートフォリオさえ作れば夢にたどり着くのではないかと、安易にも思い込んでしまったのだ。まあ人生はそう簡単にいくはずもなく、容量の悪さも相まって一つ落ちたら次の会社をセッティング、また落ちたときに次を用意した。要するに、同時に違う会社を受けるなんてことができなかったのだ。生粋の乙女座(詳細はまた別の記事にでも書くとする)は、好きな人がいるのに平気で別の人を好きなふりをすることができないのだ。

履歴書提出後、一次面接にさえ漕ぎつけられないことも多々。そんな状況が続けば、自然と面接の場数だって少なくなる。どんなに望む会社があっても緊張で言葉が出てこないトラブルを回避できない理由は、圧倒的に場数不足だった。行きたい会社であればあるほど、その事実を見抜かれ、現実を突き付けられた。

それでもただ落ちるまでの時間を無駄に過ごしていたわけではない。今となっては、ある意味で無駄になってしまったポートフォリオを死ぬ気で制作していたのだ。学校の博物館の方々との御縁から、一日8時間はデザイン専用ソフトを借りさせてもらって作業をした。

これだけやっても好きを仕事に結びつけることはできなかった。

そりゃそうだ、ただの趣味が自己満が美大の4年間と肩を並べることなんてできるはずがなかった。就活のエンディングは、ギリギリの大学4年2月末に広告の会社に滑り込みセーフといった感じだった。やっと小さなステップを踏んだところから未来をスタートさせたのだ。


趣味の領域でしか発信したことのない青い果実には、戦える場所と時間と経験と知識がまだまだ必要だった。自分に何が足りないのか、自分を過信せず一歩一歩踏み出せば好きだって仕事にできるかもしれない。今は社会に踏み出して夢を叶えるための材料集めをし、できることからとことんやり尽くしてやるんだ。

ただ無謀かと思えた一つの挑戦は、なりたい自分に近づくために必要なステップがあることを身をもって分からせてくれた小さな前進だった。


※Serious Play: ポートフォリオの表紙を飾った言葉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?