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なぜ新築ログハウスを選んだのか(工法編)


ログハウスに3つの建築工法があることを知っている人は
少ないかもしれない。

私は、飯綱高原で新築ログハウスを建てて2年になる。
北信移住2年経過ー具体的な移住イメージとしてー

新築にするか中古にするか、ログハウスにするか日本家屋にするかなど、
さまざまな選択肢の中で土地選びと建築工法の選定はものすごく慎重に行ってきた経緯がある。

自分が実際にリサーチしていて、本当に欲しい深い情報がなかなかなかったこともあり、リサーチ方法や、結果的にログハウスを新築で建てることになった理由などをこのブログでは述べていきたい。今後、移住や家を建てようとする人の参考になれば幸いである。


中古にするか、新築にするか


中古住宅や古民家再生についてはかなりたくさんの物件を見学したし、古民家再生の技術も研究した。バブルの頃に潤沢な予算で建てられた立派なログハウスが我が家の近所にあり、この物件がきっかけでログハウスを建てることになったとう経緯がある。実をいうとその素敵なログハウスの価格の交渉まで始めていたのだが、結局のところ古民家再生や中古別荘に○千万円の投資をし、長年付き合える家にするまでの過程をすべて想像すると、中古物件のメリットがだいぶ薄れてきた。また豪雪地帯の中古物件は、サッシや外壁の劣化が激しい。バブルの頃に建てられた住宅は予算的にも余裕があったはずだが、もちろんハズレもあるわけで、私たちのような素人には見分けは付けられない。

結果、私たちにとって住宅の購入はかなり重要な決断であったため、妥協できる箇所が非常に少なく新築を選んだ。やはり他人が、他人の思想で建てた家にぞっこんに惚れることは、少なくとも私たちにとってはないのだなと感じた出来事であった。

資料取り寄せでわかるハウスメーカーの差


建築に関しては、素人な夫婦ながらそれなりにリサーチを行った。まず行ったのは各ハウスメーカーの資料を集めること。その時点で、各ハウスメーカーの大きな違いが見えたので資料取り寄せはぜひお勧めしたい。一旦資料を取り寄せるとしつこく電話をかけてくるメーカーもあれば、最近掲載された雑誌のコピーだけ送ってくるところもあった。反応の速さ、資料パックの内容、資料を送ってきた後の押しの有無など非常に参考になるはずである。


100年使える家を建てる工法

私は、家は100年以上使うのが当たり前という考え方を持っているし、その土地の文化や自然と長年付き合うことになるので、お互いにリスペクトしあった状態がベストだと思っている。(ここについては哲学編で詳しく述べる)これを加味すると、工法として考えられるのは、ログハウス、石積み又は鉄筋コンクリート、日本家屋の3つに絞られた。

ヨーロッパで歴史がある家屋は石積みが多い。暖かいし、よい感じで熟成する家が多い。ただ地震が多い日本では、欧州のような石積みは難しいし、それはそれでカーボンフットプリントも大きい。日本家屋も考えたが、日本家屋は障子があったり、華奢でデリケートな部分が多く、犬やこどもたちがいる私たちのライフスタイルには合わないと感じた。また海外のように家全体が暖かいというようなフィロソフィーは持っていないので、理想の冬の生活ともかけ離れている気がしたため、あまり細かいことに気を使わずに犬と暮らせるのは、ログハウスしかないという結論に至ったのである。


3つあるログハウス工法


次にログハウスの工法について。ログハウスには大きく3種類の工法がある。一つはログハウス風の家。どんなものかというと、ログの使用は所々で、壁の一部にログが積み上げられているだけであったり、無垢の板を貼り付けただけのものなどである。これらは在来工法、またはポストアンドビームに近く、ログハウスの長所も活かせていない上に、飯綱高原のラフな自然の雰囲気にも合わないと判断し取り入れることはしなかった。またログハウスの代表的な長所(夏は涼しく冬は暖かい、木の香り、添加物が少ない等)を活かせないと思い、あまり気は乗らなかったというのもある。


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(画像:ポストアンドビーム工法の例 ー マルアサ工房)

2つ目は代表的と言えるマシンカットログで作られたもの。昔のように太くて長く硬い木材の調達が難しくなったフィンランドで開発された建材らしい。フィンランドの林業業者が、太さや硬さがない木材であっても、加工することでログハウスやその他の建材として使えるように開発してきたのだ。日本ではランタサルミやホンカなどが有名である。間取りもかなり自由度があり、上質な木材に囲まれて暮らせる家でかなり魅力的に思えたのだが、その木材の加工過程が引っかかってしまった。

一般的な材木の製材工程とほぼ同じで、マシンカットログハウス用の素材は、木に蒸気の注入と熱乾燥の繰り返しを行うことで強制乾燥させる。乾燥し切った木材は反ったりねじれたり割れたりしにくいため、建設も維持も比較的楽だけれど、製材の過程で木材が含む天然の樹脂や成分がかなり抽出されてしまう。防腐剤と接着剤も使われるため、無垢の木材に囲まれているというよりも合板で作る在来工法にかなり近い気がしたのである。又、マシンカットの木材は、最低2枚以上の木材を接着して制作され、接着剤の技術の進化により大量生産できるようにしたのである。20−30年もつことは想像できるが、比較的最近の技術であるため、100年以上もつ家ができるかはまだ謎だと思った。

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(画像:ランタサルミの例)

3つ目の工法は、ハンドカットログハウスである。私たちの家(最上部の写真)はこの工法を使って建てた。玄関周りは在来工法での増築だが、家の本体はカナダの職人の手によってカナダで刻まれ、一度組み立てられたものを解体しコンテナに積んで日本に運んだ。それを日本で再度組み立てたものだ。この手法では主にチェンソーなどで、職人の感覚を頼りながら刻まれる。木材は主にシーダーだ。レッドシーダーとイエローシーダーがあり、それぞれ微妙に特徴の違いがある。いずれも防虫効果、防腐効果などは抜群で、北米や欧州には築200年にもおよぶハンドカットログハウスがある。ハンドカットなので、もちろん壁はボコボコしていて、隙間はかなりあるし、木が乾燥して割れる音が3−4年続く。使われている素材の様子は目に見える通りで、年輪を数えたり、割れていく様子を観察したり、もちろん匂いなどを楽しむこともできる。工法だけでなく私たちがハンドカットを選んだのには哲学的な理由があるが、それについては次号の哲学編で述べたいと思う。

中古か新築か、資料取り寄せでわかるハウスメーカーの差、そして、代表的な三つのログハウス工法を私の実体験を通してご紹介した。あなたの価値観や生活スタイルに見合うログハウスは一体どれだろうか?ぜひ次号の哲学編も目を通していただいて、その判断の参考にしていただけたら幸いである。


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