キリスト教文化との正面衝突。
ー スペインでの衝撃
スペインに来て一番の衝撃は、2000年以上の歴史をもつキリスト教との初めての正面衝突でした。
キリスト教とそれが生み出した文化については、世界史の授業で習ったり、本を読んだり、ある程度の知識はあったつもりです。しかし、これほど直接的にその文化に触れたことはなかったので、僕の中で大きな衝撃だったのです。
特に敬虔なカトリックの国であるスペインで、息を飲むほどの荘厳な大教会をいくつも見学したことは、それはそれは心が震える体験でした。
今回の記事では、僕がマドリードに来てすぐに訪れた教会をご紹介したいと思います。
ー 日本とキリスト教
と、その前に。
日本とキリスト教との関わりについておさらいしておきましょう。
今から約1900年前、ユダヤ教の教えを基礎としたイエス・キリストの言葉や行動が、彼の弟子たちによってまとめられて発展し、「キリスト教」としての形を成していきました。
その後、古代の大帝国・ローマ帝国で国教化されたことによって爆発的に広まり、ヨーロッパ全土の人々の思想的背景となりました。
キリスト教は絵画や彫刻の題材として使用され、文化の発展に寄与しただけでなく、一人一人の生活の根底にある、ひとつの社会的基盤でした。
そのため、歴史上多くの人々がその解釈を巡って対立し、時には多くの血を流してきたのです。
以上、世界史的な話。笑
そんなキリスト教が初めて日本にやってきたのは、1549年のフランシスコ・ザビエルによる宣教活動です。この時まだ日本は戦国時代。
その後、豊臣秀吉による追放令や禁教令、江戸幕府による迫害など不遇の時代が続くのですが(この辺は複雑なので省略)、明治政府による近代化とともに少しずつ広まっていきました。
キリスト教の教会や学校、福祉施設も多く作られ、日本人の信者も増えていきましたが、現在でもキリスト教徒の割合は日本人全体の1%前後と言われています。
そのため、日本に住んでいるとキリスト教に触れる機会はほとんどなく、その思想や文化の強さについても身をもって体感することはなかったのです。
僕自身、高野山や熊野三山など仏教勢力の強い和歌山で育ったというのもあるかもしれませんね。
ー サン・フランシスコ・エル・グランデ教会
マドリードの旧市街にあるサン・フランシスコ・エル・グランデ教会(Real Basilica de San Francisco el Grande)は、直径32mにも及ぶ巨大なドーム型の天井が特徴的な教会です。グランデはスペイン語で「大きい」という意味で、その名の通りマドリードで最大のドーム型天井となっています。
中に入るとまずその大きさに圧倒されます。僕の想像した「見上げる時の首の角度」よりもう一段階首を上げないと全体を見ることはできませんでした。まるで稗田八方斎かボア・ハンコック。
そしてその超巨大な空間に、これでもかと並びたてられた絵画や彫刻、装飾の数々。ひとつの教会を作るためにここまでするか。そりゃ戦争もするわ。
ー アルムデナ大聖堂
続いては、王宮のすぐ隣にあるアルムデナ大聖堂(Catedral de Nuestra Señora de la Almudena)です。1990年代に建設された新しい大聖堂で、観光客にも人気があり、いつもたくさんの人で賑わっています。
この教会はネオクラシックと呼ばれる様式で造られているそうで、白い壁と堂内各所に造られたアーチ、ステンドグラスが美しかったです。
ー サン・イシドロ教会
最後にご紹介するのはサン・イシドロ教会(Colegiata de San Isidro)です。旧市街を代表する観光地”マヨール広場”のすぐ近くにあり、元々はフランシスコ・ザビエルを祀るスペイン初のイエズス会教会として造られたそうです。
その後、マドリードの守護聖人であるサン・イシドロを祀る教会となりました。
午前中と夜に無料で見学でき、雰囲気もとても良いのでおすすめです。
ー キリスト教のパワー
この他にも、息を呑むような荘厳な教会がマドリードにはたくさんありました。
それぞれの教会では毎週ミサが行われており、多くの信者の方が訪れているほか、キリスト教に関連する行事や祝日もたくさんあります。
特定の宗教を熱心に信仰することが少ない日本人の感覚ではあまり分からないですが、それほどスペイン人にとってキリスト教を求めるパワーというのは強かったんだなあと感じました。