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【SDGs週間】 SDGsに対する取り組み  ~組織体制からECO ROCKETまで~

今回の記事は、SPACE WALKER でインターン中、都内の大学で機械工学専攻中の女子大生のケーンが担当しました。

#はじめに

皆さんはSDGs週間、あるいはSDGsをご存知でしょうか?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の頭文字をとった言葉で、日本では「持続可能な開発目標」と訳されます。
SDGs週間は、世界的にはGlobal Goals Weekと呼ばれ、SDGsが採択された9月25日を含む約1週間がその期間とされます。SDGsへの意識を高め、具体的に行動をおこすきっかけを作ろうと、世界中でイベントが開かれます。ということで、この投稿をしている今現在がSDGs週間真っ只中です。

実は、SPACE WALKERもSDGsについて様々な取り組みをしています。

宇宙ベンチャーがSDGs?と思ったそこのあなたへ。
今回はSPACE WALKERのSDGsへの取り組みや、将来の宇宙輸送システム「ECO ROCKET(エコロケット)」の未来構想についての紹介、私なりの考察を書いていきたいと思います。

以下、(→)以降が学生なりの考察です。

#SPACE WALKERの組織としての取組み

SPACE WALKERは設立からの経営理念を、2020年7月に「SDGsへの取り組み」として整理し、「チーム」「環境対策」「教育」3つの重要課題を発表しました。

SDGsの取り組み

(1) チーム

a) オープンイノベーション
b) 3つのダイバーシティ
c) エコシステム

(→)目的を達成するためには、立場にとらわれずに仲間として協力していこうということ。年齢・性別・国籍などに捉われず、意欲ある人をどんどん巻き込んでいくということ。SPACE WALKERが高校生、大学生もインターン生として受け入れてくださるのも、この理念が基となっているのかもしれません。

(2) 環境対策

a) 再使用ロケット
b)カーボンニュートラル燃料

(→)これは私が一番SPACE WALKERに惹かれたポイントでもあります。将来的にロケットの打ち上げ回数が増えていくことが予想されていますが、需要を満たし、宇宙開発を持続可能にしていくためには、地球環境にも宇宙環境にも優しい開発が必要なのです。

(3) 教育

a) 産学連携
b) 実験機会の提供

(→)SPACE WALKERでは研究室の学生以外に、インターン生も開発まで経験させていただける環境があります。「将来にわたって産業を担うエンジニアを育成」するために、どんな学生に対しても学びの機会を提供してくださる場だと感じています。

#ECO ROCKET(エコロケット)について

ロケット市場の需要予測と課題

この10年で、世界のロケット打ち上げ回数は約4.5倍にもなっています。

ロケット打ち上げ回数

出典:1) 宇宙技術開発株式会社ロケット打ち上げ情報(https://www.sed.co.jp/tokusyu/rocket.html)より集計
2) 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
打上実績(https://www.jaxa.jp/projects/result_j.html)
3) BRYCE (2012 Commercial Space Transportation Forecasts)
4) 宇宙技術開発株式会社(https://www.sed.co.jp/tokusyu/rocket_2010.html)

地上の通信環境の発展、小型通信衛星の打ち上げ計画数、今後の有人宇宙飛行の需要拡大予測などを考慮すると、将来ますますロケットの打ち上げが増加していくことが見込まれています。

ところで、世界全体のロケット打ち上げのほとんどが、まだまだ使い捨てに頼っているのが現状です。一般的には、使い捨てロケットには次のような二つの課題があると言われています。

(1) 毎回製造コストがかかることから、打ち上げコストを下げることができない
(2) 製造工程に着手してから完成するまでの期間の制約があるため、年間の打ち上げ頻度が低い

これらの課題は、もし作業効率を上げて大量生産が可能になればコストダウンできるので、一見解決できるように思われるかもしれません。しかしながら、

海洋投棄の問題だけは、ロケットの大量生産・大量消費では解決できません。毎回海に捨てるような宇宙開発が進んでしまうと、地球上の環境問題がより一層深刻化してしまうのです。

サステナブル宇宙開発宣言と「ECO ROCKET」

先述した課題を懸念し、SPACE WALKERはSDGsへの取り組みの一環として、2021年3月にサステナブル宇宙開発宣言をリリースしました。さらに、2021年6月5日の世界環境デーには、その具体案として「ECO ROCKET」を発表しました。

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「ECO ROCKET」は大きく二つの要素から構成されます。

(1) 再使用型宇宙輸送による脱海洋投棄
(2) 液化バイオメタン推進薬の採用

さらにSPACE WALKERの開発するサブオービタルスペースプレーンは、他にも以下のような特徴を持っています。

(a) レンジ能力:垂直離着陸式の再使用ロケットに比べ、揚力を利用した滑空性能により、飛行能力に優れている。
(b) 自律航行:人が指令を出さなくても機体のおかれている状況を検知し、自動で航行してくれる。
(c) 複合材タンク:機体構造の大半を占める推進薬タンクを複合材化することにより、軽量化を可能に。

(→)ECO ROCKETの二大要素とはつまり、「海にロケットの部品を何一つ捨てない」「温室効果ガスの排出量と吸収量をプラマイゼロにするような燃料を使う」ということですね。「(b)自律航行」のシステムは、有人ミッションでも、基本的には完全自立航行。専門的なパイロット育成の莫大なコストと時間の課題に対する解決方法と考えています。なんて優秀な子なんだ…!✨

「ECO ROCKET」は地上の問題まで解決!

世界的に地球温暖化対策が急がれている今日。環境への負荷が大きいとされている畜産業において、温室効果ガスの削減は最も重要な課題です。その課題の一つとして、家畜排せつ物の処理の問題があります。
家畜排せつ物から出るメタンを有効活用する手段は「バイオガス発電プラントで発電した電気を売ること」しかなく、売電以外の解決策や地域主体の持続可能な事業のモデルが必要とされています。

そこで、SPACE WALKERはバイオガスの新たな利用手段として、バイオ液化メタンをロケット燃料に使用するための協力体制を大手産業ガスメーカーのエア・ウォーター株式会社およびエア・ウォーター北海道株式会社に提案し、2020年9月に3社間で基本合意を締結しました。

(→)ECO ROCKETは「環境を汚さないロケット」なだけでなく、「地上の環境問題まで解決できるロケット」だということが分かります🚀

#おわりに

いかがでしたでしょうか?
「ECO ROCKET」は、地球のことも宇宙のことも考えた優しいロケットだということがお伝えできていたら嬉しいです。

宇宙開発が今後ますます加速していく今だからこそ、地球の環境を守ることも含め、持続可能な宇宙開発を常に念頭におかなければならないことが分かりました。将来エコな宇宙開発を実現できるよう、私も学生のうちから積極的に考えて行動していきたいと思います!