見出し画像

インターンシップ開発体験記 vol.1〜大学生編〜


#初めに

 はじめまして!今回が初めての投稿となります、航空宇宙工学を学んでいる下のイラストのような某大学生です。現在、株式会社SPACE WALKERで約1カ月インターンをしています。この記事では開発業務を行う中での教訓を書き連ねていきます。(本記事は2021年9月上旬に執筆されました)

画像1


#業務について

 主に次のようなことを行なっています。

1. FAAの翻訳  
2. 宇宙法の考察
3. パラシュート・エアバックの試験計画書  
4. パラシュート・エアバック試験のお手伝い(不定期)

※ FAA : Federal Aviation Administration の略

 作業は自宅でリモートワークをしています。実験のお手伝いをするときは、東京理科大学野田キャンパスに伺っています。

#01. WEEK01

8/7 〜 8/13。

 世間はお盆休みに差し掛かる頃。開発チームももれなくお休みでした。私は、有翼機が着陸するために用いられるパラシュート・エアバックを扱っている「機械装備班」に配属されました。
 普段行われている会議はお休みのため、広報の業務と知識のインプットを主に行いました。

具体的には、
1. FAAの商業輸送利用に関する法律の翻訳のため宇宙法のインプット
2. CFR (Code of Federal Regulation) 14 Aeronautics and Space Vol. 4,        Chapter III COMMERCIAL SPACE TRANSPORTATION, Part 417 の翻訳
3. パラシュート試験計画書のため実験の把握

 今週のmemo

全体を把握しよう

 初めてのインターンシップのため、慣れないことが多かったです。リモートワークのため進捗も自分次第。
 そこで全体像を把握しようと努めました。当たり前ですが、やる事を整理して分からなければ質問する。報連相しか勝たん!

#02. WEEK02

8/14~8/20。

 開発チームのお盆休みが明け、本格的に業務が始まりました。同時に会議も再開されました。月曜日に機械装備班の進捗確認ミーティング、水曜日に開発チーム全体の有翼会議が行われます。会議のないときは、減速シュートの強度試験書を作成していました。(減速シュートは#03.WEEK03を参照して下さい。)

 また、FAAの商業輸送利用に関する法律の翻訳文書をもとに、宇宙法の勉強会がスタートしました。この勉強会では翻訳の際に疑問に思った事などを米本先生と議論し理解を深めています。

なぜ翻訳?
 
日本ではサブオービタルロケットの法律がなく、SPACE WALKERの開発しているサブオービタルスペースプレーンを打上げ・運用することができない状況です。現在、2019年より開始したサブオービタル飛行に関する官民協議会で法制化を進めています。そこで、議論を進めるためにFAAの商業輸送利用に関する法律を題材にするために翻訳の業務を行うことになりました。

今週のmemo

 考え方を学ぶ

 まず、マインド面です。会議では全体の進捗を確認し、フォローをしっかりしていました。熱が入り強く言いすぎてしまう部分でさえ、嫌な気持ちで会議が終わらないようにしているように感じました。
 宇宙法の翻訳では、用語の意味を解説するだけでなく、文章をイメージできるくらいまで解像度を高め、文の裏に隠されている情勢や意図を読み取ることを意識していると学びました。

画像3

 余談ですが、作成している強度試験書は工学系の大学で行なっている学生実験のレポートと近いため、大学の授業をきちんと学んでいれば対応することができると思いました。

#03. WEEK03

8/21~8/27。

25日に引張り試験を行いました。

引張り試験
 8/25(水)に東京理科大学野田キャンパスで減速シュートに使用する布の強度を確認するために引張り試験を行いました。減速シュートとは、SPACE WALKERが開発しているサブオービタルスペースプレーンの実証機wires#015が着陸する際に、減速をさせるためのパラシュートです。

画像4

wires#015の着陸シーケンスの画像 

 試験では次のような万能試験機で減速シュートの基布のサンプルを引張り強度を調べます。試験結果より、減速シュートに用いる布の選定を行います。

2021-09-09 15.08のイメージ

 一番右の写真は試験後の基布です。端がビリビリ破れ、チャックの部分で破断していることが分かります。ロードセル (荷重測定器) により、基布の強度が想定より小さいことがわかりました。そのため、基布の再選定を行うことになりました。

 今週のmemo

行う前に予測する

   今回の引張り試験は再試験となりました。実は、この週の有翼会議で試験対象の基布が以前使用していたものと違うのではないかと言う議論が起こりました。原因としては基布のサンプルを頂いた会社に以前しようした基布の確認漏れでした。このことから、予測することで時間と労力の無駄を減らせる教訓を学びました。

#04. WEEK04

8/28~9/4。

インターンも終盤となった4週目、論文を書く機会をいただきました。

心の声 
 業務を頂いたとき、心の中で「なぬっっっっ。」と、雄叫びがあがりました。背景としては、FAAの翻訳を通し宇宙法の勉強をさせていただいているため、アウトプットする機会として業務を頂くことになりました。

とはいえ
 
一般的な論文ではないわけです。宇宙科学技術連合講演会 (通称、宇科連) に投稿するための論文でした。宇宙開発業界で権威ある学会として知られている宇科連に名前が載るとは、とても名誉なことであり恐れ多いことであります。

書いてみて
 
日本の宇宙法の課題について書かせて頂きました。300字程度ではありますが、短い文章でしっかり伝えるのに手こずりました。ですが、米国だけでなく日本の宇宙法を学ぶ機会が得られ、宇宙法に関する解像度を高めることができました。

#05. まとめ

 約一ヶ月間のインターンシップを通して、業務から得られた教訓として書き連ねました。ご覧の通り、当たり前のこと書いていると思われたかもしれません。ですが、当たり前のことを実行し、定着させられている環境であることが一番だと感じました。方向性がブレたとしても修正を促すことができる雰囲気。(株)SPACE WALKERは信念を貫き、米本先生の意志を受け継いでいる会社・研究室ではないかと思いました。