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繁昌亭大賞 特別賞を受賞! 落語家・桂 紋四郎が見出す「配信×落語」の可能性/スペースマーケットGuestStory

今、オンラインでも気軽に落語を楽しめる場所が増えていること、ご存知ですか?
チャレンジする人を応援する、スペースマーケットGuest Story。今回のゲストは、2020年にテレワーク落語を開始、その功績が認められ第15回繁昌亭大賞 特別賞を受賞した、上方落語家の桂 紋四郎(かつら もんしろう)さんです。落語会の会場としてスペースマーケットも活用してくださっているという桂 紋四郎さん。落語×SNSという新たな挑戦、SNSや配信の活用で生まれた変化とは……?

PRのために投稿したYouTubeが、テレワーク落語として大きな話題に

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ーYouTubeを始められたのが2014年ということで、かなり早い時期から新しい試みをされているなと思ったのですが、この辺りの活動を詳しく教えていただけますか?

僕は2010年に入門して2014年9月に年期明けしたんですけど、そのタイミングで上方落語協会の「上方落語イケメンカレンダー」というイケメン選抜12人に選んでもらったんですよ。まあギリギリの繰り上げ当選でしたけど(笑)

せっかくのいいチャンスなので、学生時代にやっていたバンドメンバーを集めてカレンダーボーイズの楽曲を作ったんですよね。それを桂文枝師匠に聞いてもらったら「面白いやないか!」と言ってくださって、PRのためにYouTubeを作ったのが最初です。

ーそれで最初の投稿が音楽だったんですね!

2019年くらいにYouTubeを本格的にやろうと思って、「YouTubeで落語をする」というよりも、いろんな動画のひとつとして落語を上げたら面白いんちゃうかな、とか考えていたタイミングで、コロナが世界的な大流行を見せ始めたんですよね。

講談師の旭堂南龍さんが「僕らもテレワークせなやばい時代に突入するな〜」と言っていて、そこから『テレワーク落語会』というタイトルでYouTubeの生配信を始めたんですよ。

1週間くらい続けていたら、メディアやテレビから取材がきて結構話題になって。上方落語協会会長の笑福亭仁智師匠からも電話がきて、「お前らYouTubeで配信しとるらしいやないか!協会でもやるから手伝ってくれ!」って言われましたね(笑)

配信、投げ銭で地方巡業も!第15回繁昌亭特別賞を受賞

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ーコロナは落語会にも大きな影響があったのでしょうか?

地方の落語会がものすごく減りました。開催しても人数を制限しないといけないので、会場費とか色々難しいんです。逆に、配信込みで会場費をものすごく安く収めれば、なんとかできるんじゃないかと思って。そんな時にスペースマーケットを利用させてもらったんですよ。

YouTubeでおはよう落語っていう全然落語やらない朝の情報番組みたいなのをやっているんですけど、そのリスナーさんがスペースマーケットを教えてくれたんです。

ーそれでスペースマーケットを!Twitterで拝見してびっくりしたんです。

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検索してみたら「ここなら配信もできるやん!」となって。とりあえず人数を10人に制限して、配信と投げ銭の仕組みも作って。そしたら資金面をクリアできたんです。投げ銭を資金にしてまた地方巡業して、リスナーの家で落語をすることもありました。

そういう活動を認めてもらって、上方落語協会から第15回繁昌亭大賞 特別賞をいただくに至りました。いつもは大賞と奨励賞しかないので、特別賞は嬉しかったですね〜。

#clubhouse寄席もスタート!生の落語会に繋げることを忘れずに

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clubhouseでも寄席のルームを作られたりしていますけど、そういった新たな取り組みは、正直逆風はなかったのでしょうか?(Clubhouseで出会ったDJと落語家による「#Clubhouse寄席」を開催。500人以上のリスナーが訪れる日もある)

上方落語協会の特徴かもしれないんですけど、自分の師匠がOKやったら問題ないんですよ。うちの師匠は動いている人間を評価してくれる人で、「生の落語会に繋げることを忘れてはいけないよ」とだけ言ってくださって、あとはどんどん行けよ!って応援してくれました。

ー伝統芸能なのでその辺り厳しそうというイメージがありましたが、協会でもYouTubeをやっていたりと柔軟なんですね。

チャレンジすることを評価してもらえる環境ですね。YouTubeも遅かれ早かれ誰かがやっていたと思いますよ。前の会長だった文枝師匠って、めっちゃアイデアスピードが早いんですよ。あの人より早よ新しいこと考えな!っていう姿勢がみんなあると思いますね。

オンライン発信で得た新たな気付き、これからの可能性

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ーこれまでの取り組みでの新たな気付きや今後していきたい挑戦などはありますか?

YouTubeやclubhouseの他に、バーティカル動画のアプリsmash.でも演芸を楽しめたらいいのになと思っていて。講談師の旭堂南龍さんに協力してもらって、Short Shorts Film Festival & Asia 2021バーティカルシアター部門 supported by smash.に縦型の講談を作って2本投稿しました。演芸は縦型もいけるということを知ってもらえたらいいなと思います。

基本的にはいろんなSNSを活用して、とにかく生の落語会に来てもらえるようにしたいと思っていますが、落語だけじゃなくて霜乃会(そうのかい)というのもやっています。関西の20代~40代の若手による上方伝統文化芸能ユニットです。

能楽、講談、浪曲、文楽、茶道、華道など、いろんな人がいるんですけど、僕自身お能なんて初めて見たし、お茶席のお菓子の美味しさも初めて知って(笑)こんなフランクでいいんだって思ってびっくりしたんです。

ー伝統芸能ってハードルが高いイメージがあって、入り口が分からないんですよね。

本当にその通りで、でも結構ポップなんですよね、お能もお茶も。僕自身それを再発見したというか。皆さんにも知ってもらいたいなと思ってます。

緊急事態宣言中にオンラインでお茶とかの講座もやったんですよ。そういった取り組みをやってみて、例えば今以上に国際社会が進んで「お前の国ってどんな国や」と言われた時に、「すごいトラディショナルでめでたい高砂って曲があるから今から歌うわ」みたいな会話がされるようになったら楽しいなぁなんて思いましたね。

ー今はオンラインでタッチポイントがすごく増えていますよね。場所のハードルも低くなりましたし。

僕は上方落語を全国に広げたい!ってことで東京-大阪を行ったり来たりしているんですけど、上方芸能や上方文化って、ロケーション込みで面白いんですよ。京都のお寺でお茶席したり。ただ、それって全国的に広げるのが難しくて。でも、そこにオンラインを挟むことで全国に発信ができるようになった。上方文化にとってオンラインが進んだことは、とても追い風だと思います。

ー先日の生clubhouse寄席の前口上で「落語は座布団1枚あればどこでもできる」とおっしゃっていましたが、今後こういう場所でやってみたいとかはありますか?

我々ってほんまにいろんなところで落語をするんですよ。お寺や温泉、喫茶店ですることもあるんです。地方でもそういう場所でやれた方が楽しいと思います。でもキャパの問題などがあり、結局文化ホールになっちゃったりするんですけど。

その辺りの課題をクリアできるのであれば、最大でも200人くらい、少ないキャパの場所の方が落語って伝わりやすいなと思うんです。生clubhouse寄席をやったお江戸両国亭なんかがそうですね。落語は同じ息遣いでお客様にも参加して欲しいんですが、ホールになると鑑賞になってしまうんです。

寄席以外で落語をする時って、高座作りや客席作りがその日の出来を大きく左右します。でも噺家っていろんなところで落語やってきてるからその辺の工夫はできるんで、地方でも古民家とか変わった場所でやってみたいですね。

ー古民家やカフェでお茶をしながら落語を聞けるとなると、一気に落語へのハードルが下がって行きやすくなりますね!

場所や体験を総合で楽しんでもらうのはもちろん、お座敷体験もしてほしいですね。僕の師匠の師匠の三代目桂春団治師匠とか、松下幸之助1人の前で落語やったことあるらしいんですよ。八代目文楽師匠は吉田茂さんの首相官邸に呼ばれてたり。厳かなスペースでフランクな体験ができる、そんなのもやってみたいですね。

2021年、全国で落語会をやっていける仕組みを作りたい

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ーいろんな取り組みをされている紋四郎さんですが、2021年の目標を教えてください。

clubhuseで出会ったメンバーで生の落語会をしているんですけど、それを全国でやっていける仕組みを作ろうという話をしていますね。

手ぬぐいとかのグッズも作ろうとしています。その収益で全国を回る費用を作って巡業していきたいですね。全国的に落語会が開催されることが減っていることは、危惧してる部分もありチャンスやとも思ってます。

ー全国いろんな場所で落語会をするなら、空間含め楽しめる落語会もやって欲しいですね。

霜乃会の時に、黒田長政の菩提寺で講談師の南龍さんが黒田長政の噺をするとかはありましたね。僕は「茶の湯」というネタをやって、お客さんにはお茶を楽しんでもらうとか。あれは結構好評でした!

ースペースマーケットのインドア花見スペースで、お花見に関する落語をやる、なんて良さそうですね!落語ってそれだけでも面白いですが、空間や実際の場所で体験することで面白さが何倍にもなりそうです。

それやりたいですね!お花見って今難しいですし、スペースなら配信もできるし。花見のネタなんてたくさんあるし。それこそ貧乏長屋スペースとかでやれたら面白そうです。全国のいろんな場所で落語会できるよう頑張りたいですね!

ーーありがとうございました!スペースマーケットは引き続き桂 紋四郎さんのチャレンジを応援しております!

■イベント情報  
繁昌亭特別賞受賞記念 桂紋四郎独演会
https://www.hanjotei.jp/performances/night/20740/
日時:4月5日 午後7時(6時30分開場)全席指定
場所:繁昌亭
アクセス:大阪メトロ谷町線・堺筋線「南森町駅」4番出口から徒歩3分
出演:桂紋四郎 他
前売2,500円 当日3,000円
<チケットはこちら>
会場:https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2101253&rlsCd=001&lotRlsCd=
配信:https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2102572&rlsCd=001&lotRlsCd=
お問い合わせ:monshiro.k@gmail.com
Guest Profile  桂 紋四郎/上方落語家
1988年(昭和63年)、大阪府吹田市生まれ。
大阪大学大学院工学研究科に在学中の2010年(平成22年)、三代目桂春蝶の落語に出会い、大学院を中退し入門
2014年(平成26年)、Youtube「桂紋四郎」チャンネルを開設。
2018年(平成30年)からは、東京―大阪二拠点体制で「上方伝統文化・芸能、そして上方落語を全国でシェアしたい」をテーマに活動。
2020年(令和2年)12月、第15回繁昌亭大賞 特別賞 受賞

twitter:https://twitter.com/monshirok

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