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コスプレイヤーから写真家に。海外での個展も成功させたmitの”理想”を貫く姿勢/スペースマーケットGuest Story

チャレンジを応援するスペースマーケットのGuestStory。本日のゲストは、キャラクターの世界観を1枚の写真にギュッと詰め込み見る人を魅了する、写真家のmitさんです。台湾での個展では入場規制をかける程の人気ぶり。理想の作品づくりのために妥協は許さない、mitさんのこだわりや想いを伺いました。

異質なスタイルを受け入れてもらうため、まずは信頼が必要だった

元々は、私自身も撮影メインではなくコスプレイヤーでした。やっていてすごく楽しいなと思う一方で、頭の中にあるキャラクター像や作品像を、もっともっと理想の形で表現したいという欲が湧いて来たんです。でもどんなに頑張っても、身長や雰囲気など自分の素体では表現しきれないキャラクターもいます。撮影はレイヤー同士で撮り合いをしていましたが、こんな風に撮って欲しいとお願いをしても相手の目を通す限り100%の希望の撮り方にはどうしてもならなくて。

「じゃあ、自分が撮ればいいじゃん。」って思ったんですよね。理想の人を集めて、理想の衣装を着てもらって、理想のキャラクターがそこにいる状態で自分が撮れば、理想の作品が創れるんじゃないかと。そこからカメラをもっと勉強するようになり、今ではモデルの選定から、ヘアメイク、衣装づくり、アートディレクションに撮影、レタッチまで。コスプレ写真のトータルプロデュースを行う写真家として、活動をしています。

活動を始めた当初は、実績と信頼づくりからのスタートでした。コスプレって、決して安くないお金をみんなで出し合って、現場でお互いにああしたいこうしたいと言い合いながら撮ることが一般的です。特に初対面のモデルさんと私の理想の世界観、構図、衣装など全ての主導権を自分に握らせてもらう撮影は、こちらに実績がないとハードルが高いんですよね。

そのため、まずは友人のモデルさん達と、とにかく作品を撮り続ける。また、まめな連絡など相手を不安にさせないコミュニケーションを心がけています。ごく当たり前のことなんですけど、たくさんの人数をまとめたり、信頼を得るには大切なことです。私の理想の絵を撮らせて欲しい、というスタイルを貫くために、mitさんの作品になら出てもいいな、出たいなと思ってもらえるように、じわじわと実績を積み重ねました。

武器はカメラ一つ、単独で海外へ

初めて作品を展示したのが、2010年のデザインフェスタ。2011年からは2017年までほぼ毎年個展を開催。そして大きな転機となったのが、2015年にやったハンター×ハンターの個展でした。まずは東京で開催し、そのまま台湾にも持っていったんです。自分は海外にも出ていけるんだというところを示したくて、ポケットマネーで乗り込んでの個展開催でした。それがきっかけで、ベトナムから声がかかり、ベトナムでの写真展が実現して。そこからは、海外からも声をかけてもらうことが増えました。

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もっと展示ができる国を増やしたいと思い、2018年には世界一周の旅に出ました。身一つでカメラだけ持って、世界中の人たちを撮影して人脈をつくっていこうという作戦です。知り合いがいない状態からのスタートなので、FacebookやInstagramで写真をポストしながら、一緒に撮影したい人はいませんか?おすすめのモデルさんはいませんか?と募集を続けました。この人と撮りたいという人が見つかったら連絡を取り合ってその国へ行く交通チケットを取る、と言う行き当たりばったりな旅で。最終的には世界一周してたんですよね。

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この旅を通して、モデルさんはもちろん、様々な出会いがありました。海外には、日本のコミケなどよりもコスプレイヤーと企業が垣根なく集まるコンベンションと呼ばれるイベントがあるんですが、そのスタッフさんとも知り合えたり。これからの可能性を広げられた貴重な旅でした。

撮影は戦い、妥協は一切許さない

スペースマーケットは、2017年頃から使っています。当時と比べるとかなりスペース数が増えましたよね。私は、The撮影スタジオではないスペースをあえて選んで、ここでどんな撮影ができるんだろうと想像を膨らませるのが好きです。以前撮影したお花屋さんのスペースのホストさんは、「うちのスペースがコスプレ撮影に使えるなんて思わなかったー!」っておっしゃっていましたね。

今でこそコスプレも世の中に認知されて来ていますが、昔は「コスプレって何?」「怪しく無い?」と言われてしまい、場所を借りるために撮影内容を丁寧に説明したり、特殊な衣装ゆえに必要な申請手続きが多く大変でした。その点、スペースマーケットはコスプレ撮影OKスペースの絞り込みもあって、手間が一気に省けて本当に助かっています。世界観づくりに、撮影場所は重要ですからね。

もちろん、こだわるのは場所だけではありません。衣装を自分で作る場合は、モデルさんが着やすく、でも限りなく本物の再現を追求します。原作のファンは見てるんですよね。2次元だから当然ですが、キャラクターはどんなポーズでも着崩れないし、ベルトはこっちの向きに見えているとか、ここで裏地が見えたりしないとか。その期待を裏切らないように、作る時から細かい部分まで作り込みますし、現場でも徹底的に細部まで調整します。

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「mitの撮影はブートキャンプだ。」とか、言われるんです。二次元のキャラクターのポーズを再現しようとすると、大抵辛いんですよ。無理な姿勢だったり、相当身体に力を入れ続ける必要があったり。でも私は、これだ、というものが撮れるまで撮影します。腕、もうすこし右、1cm下…とか、細かな指示を永遠に出しながら。「きつい、もうこの体勢保てないっ!」と言われたら、「今10秒頑張るのと、一生いまいちな表情の写真が公開され続けるのとどっちがいい?」って聞くんです。そしたら、10秒頑張る、って思いますよね。

撮影が終わった後にみんなでご飯にいくと、本人を目の前にして大愚痴大会です(笑)でも、それでも一緒にやってくれる人がいる。私の独壇場の場でも一緒にいい作品を創ろうと言ってくれるような環境をつくれるように、ずっと頑張ってきたんですよね。

理想を求めて「好き」なことを続けていく

私が撮りたいのは笑顔で和やかなキャラクターの日常よりも、彼らの精神的な葛藤やバックグラウンドと、そこから派生する自分の解釈です。それらを抽象的・視覚的に表現したいと考えています。

コロナで一度ストップしてしまいましたが、今後も写真展を色々な国で意欲的にやっていきたいです。世界中の方々と作品づくりをしたいですね。好きなものをみんなで共有してる人たちと、好きなものを撮れるっていいんですよ。また、自分のオリジナルストーリーを書いて、その撮影をしたいとも思っています。二次創作は、あくまでも原作を皆さんが知っているので、写真を見た時にそこに写るキャラクターからストーリーが浮かぶんです。でもオリジナルの一次創作は、この物語は何?テーマは何?というところから入るので、また違った難しさや面白さがあるんです。

二次創作の作品づくりはあくまでも趣味です。とにかく好きな作品があって、その作品の世界観を表現したい。根本の原動力は作品が好きという気持ちです。なので作品集などの販売はしていますが、あえてビジネスは持ち込んでいません。例えば私の作風とズレるようなご依頼や、企画段階から入れないようなご依頼はお断りしています。時間もお金もたくさんかかりますが、今後も理想の作品づくりを続けるために、一歩一歩、進んでいきたいと思っています。

mitさんをもっと知りたい方はこちらからhttps://lit.link/mit02bk
twitter:https://twitter.com/mit02bk
Instagram:https://www.instagram.com/mit02bk/

mitさんの作品を生で観れます!
「コスナビ写真展 Legacy 2022」
2022 5/3-5/4 at Theater1010
https://cosnavi.biz/exhibition/legacy_2022/













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