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もつカレー

まだコロナ禍前の時、ランチでよくお世話になっていたのは会社の近くのもつ焼き屋さんが提供するランチだった。
そこのランチはカレー。メニューは1つしかない。
選択肢といえばご飯の量とトッピングの唐揚げなどのみ。

だがそれがいい。

そこにいる全員がカレーを目当てに来店しているわけで、どんなに混雑しようとも仲間意識が芽生えてしまう。お店は地下にあり、お店に降りる階段まで行列ができてしまうことは日常茶飯事だったが譲り合い精神で混乱もなくランチタイムを過ごすことができた。

行列待ちから自分の番になり注文し、支払いを済ませると厨房には「まお💗」と居酒屋のネームプレートをつけた若い女子がご飯をもり、カレーをよそってくれる。

まおちゃんのスピードが、実にゆっくりなのだ。

だがそれがいい。

店内のイートスペースには限りがある。カレーの提供は基本的にご飯とカレー、トッピングだけなので、ファストフード店のように素早く提供できるのだが、それをしてしまうとイートインスペースが溢れかえってしまう。
それを上手にコントロールしているのが先ほどの若い女子、まおちゃんである。

彼女のペースは乱れない。お客さんがカレーを食べ終わり、次の空席ができる速度をBPMとして彼女はすでに体得しているかのように。。。

カレーはよく煮込んで溶けた玉ねぎ、いろいろな部位のもつ、ルーは市販のを2つくらい混ぜて使ったであろう家庭的なものだ。特別感の演出もないところがいい。週に何度も食べられる。
らっきょう漬けと激辛の青唐辛子はセルフで調整できる。僕は青唐辛子のトッピングが好きだった。

好きだった。。。と過去形で書いたのは理由がある。
お店は地下にあり、換気があまり良い環境ではなかった。
そんな中、コロナ禍となりやがてお店は閉店してしまった。

また、あのもつカレーが食べたい。
そして、まおちゃんにカレーをよそってもらいたい。
食事そのものじゃなくて、平和なランチタイムという時間をくれた彼女に感謝。


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