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星座解説第1回 ケンタウルス座編

どうもyoutubeチャンネル「宇宙冒険隊」のHommaです!

今回はこちらの動画でも紹介したケンタウルス座の天体について解説していきたいと思います。


ケンタウルス座の探し方

ケンタウルス座は日本からだと低い位置にあり、全体像を見るには西表島までいく必要があります。ですが、上半身であれば南の地平線近くに見えるので、探すときはさそり座といて座を目印に探しましょう。

さそり座はいて座とケンタウルス座という二つのケンタウルスを由来とする星座に挟まれています。さそり座を挟んで、いて座の反対側を見るとケンタウルス座の上半身を見つけることができます。

ケンタウルス座の見つけ方

さそりがケンタウルスに挟まれている理由は、砂漠に住む古代メソポタミアの人々が騎馬民族に襲われたことを表している(さそりは砂漠の象徴、ケンタウルスは騎馬民族の象徴)と考える人もいますが、本当のところはよく分かっていません。

一等星を2つ持つ星座

ケンタウルス座は全天21個しかない一等星を2つ持つ数少ない星座(他にはオリオン座とみなみじゅうじ座のみ)です。

α星、β星はともに一等星であり、それぞれ、リギル・ケンタウルスハダルと言います。リギルは足という意味でオリオン座のリゲルと同じ由来です。

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リギル・ケンタウルスは非常に明るく見える恒星で、全天で3番目の明るさを持ちます。とはいえ、実際はそこまで大きくもなく、太陽と同じぐらいの質量・大きさをしています。

それにも関わらず明るく見える理由はずばり太陽系に最も近いためです。

ケンタウルス座α星「リギル・ケンタウルス」

リギル・ケンタウルスは私たちに最も近い星で、距離は4.4光年ほどで、しかも私たちの太陽に接近しつつあります(約2万8000年後には3.1光年まで近づくと考えられており、その時にはマイナス1等星として見えます)。

また、リギル・ケンタウルスは肉眼では一つの星に見えますが、実は3つの星からなる重星です。

それぞれ、リギルケンタウルスA、リギルケンタウルスB、プロキシマ・ケンタウリと呼ばれており、AとBは比較的近いところでお互いを回っているのですが、プロキシマケンタウリは0.29光年と非常に遠いところを約100万年かけて回っています。

そしてプロキシマ・ケンタウリは現在、他2つの星よりも太陽系に近いところにいるので、プロキシマ(最も近いという意味)と呼ばれているのです。

約2万5000年前から約3万2000年後まで太陽に最も近い恒星であり、それ以降、以前はリギル・ケンタウルスAやリギル・ケンタウルスBの方が近くなります。

リギルケンタウルス

また、プロキシマ・ケンタウリは、非常に小さな恒星であり、直径は太陽の約7分の1、質量は8分の1しかありません。このような小さな恒星を赤色矮星と言います。そのため、非常に暗く地球からでは肉眼では見えません。

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2016年8月24日にヨーロッパ南天天文台 (ESO)は、プロキシマ・ケンタウリを公転する惑星プロキシマ・ケンタウリbを発見したと発表しました。プロキシマ・ケンタウリbはプロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーン内を公転していて、表面に液体の水があると考えられています。

もしかしたら、地球外生命がいるかもしれません。とてもワクワクする話ですね。

全天で最大の球状星団「オメガ星団」

次に注目したい天体はケンタウルス座のお腹の辺りにある、ボヤッとした天体です。これは望遠鏡で覗いてみるとたくさんの星々がギュッと集まっているように見えます。

これは球状星団と言います。

球状星団とは数万から数10万個の星がほぼ球状に密集する星団であり、寿命が長い質量が比較的小さい星によって構成されています。

星団の星々のスペクトル解析から、重元素の少なかった、銀河形成の初期段階にできたと考えられています。

また、球状星団は、星の材料となる星間物質の少ない銀河系のハロー(銀河の円盤を包みこむように丸く分布している星の成分)に見られており、このことはかつてはハローでも星形成が起こったことを示しています。そのため、球状星団を調べることによって我々の銀河がどのように作られたかを知ることができます。

そして、ケンタウルス座にあるオメガ星団は1000万個もの恒星から構成される全天最大の球状星団で、最も明るく輝いて見えます。

オメガ星団

望遠鏡が発明される以前には星と間違われていたため星の明るさを示すバイエル符号としてオメガ星と呼ばれていました。望遠鏡による観測で、球状星団だと分かりましたが、今でもその名残でオメガ星団と言う名で呼ばれています。

亀裂の入った銀河「ケンタウルス座A」

ケンタウルス座の背中に望遠鏡を向けると、楕円銀河の中に亀裂の入った異様な銀河が見えます。これは中央部を暗黒帯と呼ばれるガスや塵が横切っており、可視光が遮られているためです。

この銀河はNGC5128といい、強烈な電波を放っていることからケンタウルス座Aとも呼ばれます。巨大楕円銀河としてはもっとも近い約1200万光年の距離にあります。

ケンタウルス座A

この銀河は赤外線やX線によって観察されており、渦巻き銀河のような円盤が内部に存在することから2~4億年ほど前、巨大な楕円銀河と小型の渦巻銀河が衝突してできたと考えられています。

また、銀河核から噴き出す2本のジェットがとらえられており、銀河の中心に太陽の1000万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールがあることが示されています。

ケンタウルス座A赤外X


ケンタウルス座の天体についての解説は以上になります。このようにケンタウルス座は、系外惑星、銀河形成、ブラックホールに銀河の衝突と言った非常にたくさんの宇宙のドラマがつまった星座となっています。

このような宇宙のドラマに思いを馳せながら見てみると面白いですね!

次回はみなみじゅうじ座について解説します。星の誕生についてもお話します!

画像クレジット:
・Stellarium(https://stellarium.org/ja/)
・ESA/MacMaster University
・ECXO/NASA




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