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越橋が作ったコーヒーの巨人

今日はベトナムの代表的な企業を紹介する。

https://www.highlandscoffee.com.vn

1975年のサイゴン陥落以降、ベトナム人は世界中に散らばり米国やカナダ、欧州などに渡り、コミニティを形成した。彼・彼女らは越橋(えっきょう)と呼ばれ、その人口は約200万人にも渡ると言われている。

こんにち、海外で教育を受けて育った越橋はベトナムの経済に大きな影響をもたらしている。国内ナンバーワンコーヒーチェーン企業である、Highlands Coffeeも、その代表的な存在である。コーヒー製品の生産および販売、カフェ店舗の運営を行っている企業だ。1998年、ベトナム系米国人デビッド・タイによって、首都ハノイで設立された。

1972年、タイはベトナムで生まれ、1979年に家族全員で米国シアトルに移住した。名門ワシントン大学で経営学を学び、米国人として英語を使って生活していたが、その暮らしの中でアジア人としてのアイデンティティに気づいたそうだ。

タイは、1996年に奨学金を得てハノイに戻り、まずはベトナム語の勉強を始めた。その後カフェを経営し始めたタイは2002年に、自社(ベトタイグループ)を設立し店舗拡大を始めた。当初はハノイと南部ホーチミンの2店舗だけだったが、7年後に店舗数80を超え、いまでは300店舗を超えている。

2018年には売上高が1兆6280億ベトナムドン(約7,000万ドル)を超えた。フィリピンの大手ファーストフードチェーンであるJOLLIBEEの資本が入り、合弁企業SUPERFOODSによって運営されている。

ベトナムのコーヒー市場は、ハイランズコーヒーに続き、米国系スターバックスや地場大手コーヒーハウスと老舗チュングエンコーヒーなど、しのぎを削っている。

2005年から2015年の間にベトナム国内のコーヒーの平均消費量(ひとりあたり/年)は国民の生活スタイルの西洋化に伴って、0.43kgから1.38kgに増加し、2021年までに2.6kgにまで達すると予想されている。コーヒーチェーンのトップを走るHighlands Coffeeの躍進は順調に進むだろう。

また日本にも販売代理店がある。店舗出店は今後もないと私は思うが、製品を購入することはすでに可能である。

創業者タイはスターバックスを生んだシアトルで育ち、コーヒーチェーンの可能性に気がついたとされる。そして、1996年にベトナムに帰国後、外国投資を奨励する法律を調べてベトナムで会社を設立した。ベトナムでいまでも続く、1986年に打ち出されたドイモイ政策のよる経済の自由化の時流に乗った、先駆けと言えるだろう。

Highlands Coffeeは、越橋によるベトナム国内の民間企業の登録第一号と言われている。