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好きって言えますか

いきなりこんなタイトルだと、恋愛をテーマにした文章に思えるかもしれませんが、なんてことはない日々の仕事の話である。

いましている自分の仕事が好きかどうか、わからなくなることってありませんか。

成果に自信があり、内容に誇りがあっても、いざ仕事が好き・嫌いで問われると、私は答えに窮してしまう。

20代ならそんなものだろうが、私はすでに学校をでて15年以上たつアラフォーなので、こういう問い自体がちょっと恥ずかしいものだ。揺らいでいる証左だから。

そりゃ確かに、わりと向いていることをそのまま仕事に選んだとは思っているのだ。職務中に好奇心を刺激されている。得意な分野と言っていい。

ただ日々、数字や成果物に追われていると、そうかんたんには好きとか嫌いとか楽しいとか楽しくないとか、自分に合っている・合っていないとは判断できないものだ。たとえば無給でも、今の仕事に時間をつかえるか。ありえないだろう。かくして、人生とは険しい。

そう考えだすと、小さな不安は次第に大きくなっていく。無駄なことではないのか。好きでもないことを一日の大半を費やし、一体オレはここで何をやっているのだろうか。

さいきんはコロナの影響で景気が悪いニュースが多いこともあり、仕事のあとでモヤモヤと考えていた。そんな中で、先日小さな発見があった。

先週の金曜日、仕事帰りに同僚に飲みに誘われた。

この同僚とは仲がいいが、私と違って身重の家族がおり時間がとりづらく、仕事後に飲みに行く機会は多くない。ちょうどお互い仕事の峠を超えたところだったので、ぜひ一杯行こう、ということになった。

というのもその日まで、私は外注先のミスのフォローで疲労困憊していた。ハッキリ言って私の管理ミスであるとも考えられ、自分の仕事の成果に自信を持てなくなっていた。

こういうときは仕事とは無関係な、いろいろな世間話をして気分をスッキリさせて、週末までに仕事を忘れてしましたい、と思った。そんで、気持ちよく週末に突入したい。

幸いなことにその同僚は業務内容は違うが年齢が近く、忌憚なくいろいろ話せる中である。我々は上司と部下の関係ではなく、気を遣わない。シェアしたい共通のトピックもたくさんある。

私は普段から社会人はさまざまなトピックについて話せるネタを持っているべきだと考えており、こういった場の話題にはこと欠くことはない。むしろプライベートな場でも仕事の話をすることは、野暮だと考えている。

夕食をとりながら、同僚とは最近の時事ネタ(コロナや都知事選)や少し背伸びした世界のトピック(BLMや、米国大統領選挙)をとりとめなく話した。次第に月曜からの疲れもリラックスしてきて、そのまま話題は移り変わりゆく。この国のこと、街のトレンド、最近の発見。そうなると、だんだんと話題は今の自分たちの仕事の話になっていた。ところで、この前の案件のことなんだけどさ。

世界では様々な話題に溢れ、語られるべきトピックはハッシュタグ付きでSNSに溢れている。個人の関係しているビジネスになんて関係なく、世界は動いている。ただし、2時間ほどたってみて、2人の話題は仕事の話ばかりだった。

そんなの、ある意味でつまらない人間とも言えるだろう。仕事帰りに、さらに仕事の話題で飲む金曜日の夜。社会人に、推奨される行為ではない。

なんだかなぁ。ただ、店を出て、思った。私は、なんやかんやいって今の仕事が好きなんだろうな、と。

もちろんお酒を飲みながらなので、「あーしたほうがいい」「こーしたほうがいい」というようなとりとめのない内容である。ブレストともいえない、サイゴンビール片手の意見交換である。戯言と言ってもいい。

ただそれで気がつくこともあるのだと、半ば自分で呆れながら、酔った頭で帰路についた。