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「何者かになりたい」そう思っていたんだな私

「何者かになりたい、ならねばならない」「今こそそのチャンスだ」
そう思った矢先、大きくつまずいた。
人生ってむごい。神も仏もいないのか。
確かにそのきっかけをつくったのはまぎれもなく自分自身ではあるが、こんな仕打ちを受けないといけないぐらい悪いことをしてきただろうか。いや、むしろ売上を上げるべく、一心不乱にベストを尽くしてきたではないか。

私の事情を知ってから知らずか、ある年下の女性が、「人生は平等にできてるから大丈夫。プラマイゼロだから」と力説してくれた。
エッセイスト?インフルエンサー?として独立しようとしているあの人も、一見すると運のいい人生に見えるが、早くに家族を亡くしているし、恨みに思っている人も多い。

たいして大きくもない会社、そこで何者かになれたとしても、所詮はただの人だ。

そういえばフリーランスになったときのこと。
会社に所属していたときは名刺一枚で世間をいくらでも渡り歩けたが、フリーになった途端、自分にはなんの後ろ盾もないという事実に気づいた。会社員というのは、会社という信用の元に成り立っている存在にすぎなかった。どこそこに勤めているというプライドが悪いとは言わないが、肩書きを着ていつまでも生きているわけではない。

あ〜、もう何者になんかならなくてもいい。心穏やかに、笑って、与えられた一生を生きるだけでいいではないか。
こうやって書いている私に体を少しくっつけ、眠りに落ちようとしている犬がいる。その体感を感じる瞬間こそ、かけがいがないのかもしれない。

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