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「神楽舞が日常で体験できるってすごいよね?」

かれこれ十五年ほど前、地元神社の秋祭があった時のこと。
例年地域に住んでいる小学生が境内で神楽舞を奉納することになっているらしく、引っ越した翌年から息子たちにも声がかかったのだった。

なんでも同じ校区内でも、我が家が住む地域一帯の子どもしか出られないそうで、誰でも経験できることではないらしい。男の子の神楽舞と女の子の巫女の舞。

すでに何度か練習があったらしいのだが、私は全く聞かされておらず、神社側から直接お電話をいただき
「どうして来ないのかなあって思ってね」だそうで…。

長男に
「ちょっと!お友だちみんな練習に行っているらしいじゃないの!お母さん、なにも聞いてなかったよ!」
と問いただすと、どうやら夏休みのラジオ体操のときに話が整っていたらしいことが判明。

「なんで言わなかったの?」と聞くと、
「だって、俺、嫌だもん」とのこと。
「出たくねえ…」という長男に
「でもさ、なかなかこういう経験できないよ。なんでもやってみなきゃ。同級生のYくんたちも出るんでしょ?」とこっちも必死に説き伏せる。

「う~ん…でも、いいよ。俺、いい、いい」と全くやる気ナシ。

なんかね、人前に出るのが恥ずかしいらしい。
気持ちはわからなくもない。でも同じ地域の同級生も他の学年の子もいっしょに出るのだ。
できればこんな貴重な経験、やってみて損はないし、せっかくの機会を逃すのはもったいないでしょ。

でも神社には
「できないかもしれないけど、とりあえず息子たち二人とも連れて見にいきますから」と返事しておいた。

最後の練習日、二人を連れて行ったら宮司さんが出迎えてくれ、
「おお!来たか!もう来ないかと思っていたぞ」
と言いつつ、いきなり舞の練習に入ったのだった。

なんかもう有無を言わせず、正しい姿勢から立ち方・座り方の練習から入り、息子たちもそのままの流れで練習に参加。

そして神楽舞の練習までやってとりあえず終わると、宮司さんの奥さまがご褒美のお菓子の詰め合わせをくださり、それに大喜びの二人。
全く…、やれやれだな。

帰って感想を聞いてみると、案外おもしろかったらしく、忘れないように練習を促すと素直にやっていた。
そんなもんだよね。なんだかんだと嫌がっていても、友だちといっしょにやるんだから。

本番。
隣町から本格的な神楽舞をされる年配の男性が、長めの神楽舞を披露されすごく感心した。

それに引き換え、息子たち。子どもの神楽舞はそれはもうごく簡単なもので、1回の練習で覚えられるくらいだからね。

お宮の境内で高学年の“まあまあな神楽舞”、低学年の“ダメダメ神楽舞”、女の子たちの“それなりの巫女の舞”を奉納した。

めったに着ることもない狩衣装束に、浮かれ気味の次男。
意外とみんなと踊れて楽しかった長男。

いい経験したね。

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