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「ずっと先の未来へ伝えていかなければいけないこと~『八月の光』~」【YA㉒】


『八月の光』 朽木 祥 作 (偕成社)
                          2015.7.30読了
 
タイトルの「八月の光」といえば、いわずもがな原爆のことです。
あの日、愛する人たちを一つの原子爆弾で亡くした若者を3つの短編で描いています。
 
何もできず、ただ呆然とことのなりゆきを見ていることしかできなかった数日間。
人としての尊厳を保つことなく、非常に哀れで凄まじく悲惨な姿で亡くなった人々。
とりあえずその日は生きながらえても、苦しみながら死にゆく人々。
 
あまりに突然のあまりに非現実的な状況に、おそらく頭の中も真っ白になってしまった生き残った人たちの生きていく意味はいったい何なのでしょうか?
 
それは…すべての事実を記憶していくこと。
それを、他のすべての人たちに、語り伝えていくこと。
 
そうして戦争を経験していない私たちも伝え聞き、すべて自分のことと同じように感じ、考え、記憶し、また次の世代に伝えていくこと。
 
それが、せめてもの犠牲者への弔いとなるのでしょう。
 
それが、同じことを繰り返さない知恵となるのでしょう。
 
77年前に思いもよらない恐ろしい兵器で亡くなってしまった全ての方々のご冥福をお祈りします。


 

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