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「私を忘れないで…きっと見つけに来てね~『禁じられた約束』~」【YA⑪】

『禁じられた約束』ロバート・ウェストール 作  野沢 佳織 訳  (徳間書店)
                          
                          2005.3.22読了
ロバート・ウェストールの本を読みました。
本国で数々の文学賞を取られているようで、カーネギー賞や児童文学に贈られるガーディアン賞も受賞されている、子どもたちに人気の作家さんです。
ご本人はすでに亡くなられていますが(1993年逝去)、作品でまだ翻訳されてないものもたくさんあるのかもしれません。
宮崎駿監督がかなり影響を受けた作家さんだということでも有名です。
 
 
このお話は、第2次世界大戦中のイギリスのとある海沿いの町が舞台です。
ひとりの少年の初恋の相手である少女は、生まれつき体が弱く短い生涯を閉じてしまいます。
少女が亡くなる前、二人は残された日々を惜しむかのようにこっそりと、秘密の散歩を楽しみます。
 
忘れられない思い出としての日々を過ごした二人は、お互いになくてはならない存在になってしまったかのようでした。そんな時、少女はちょっと謎めいた言葉を少年に残します。
 
「もし私が迷子になったらきっと見つけに来てね」
 
それはしてはならない約束でした。
その約束と甘い思い出のせいで、少年は彼女に身も心も囚われることになってしまうのです……。
 
実は怖いお話はかなり苦手な私です。
しかし本作はちょっぴり怖い物語ですが、ウェストール氏の好きな戦時中の戦闘機などの描写もたくさん出てくるので、初恋物語としても甘すぎず、かといって戦争ものによくある特徴の荒くれたかたいものでもなく、ミステリーやホラーみたいなおどろおどろした怖さもない、ほどよいファンタジー要素の入った切なすぎるヤングアダルトものです。

ちょっとだけ、夏に読むといい本ですね。

 


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