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「タイトルに騙されないで純粋に読んだら心をふるわせた~『君の膵臓をたべたい』~」

『君の膵臓をたべたい』住野よる 著 (双葉社)2015.7読了

今ではすっかり泣ける恋愛小説のド定番として有名になった本作。
最初の印象は、タイトルがちょっとキワモノ過ぎて一旦手が出ませんでした。
しかしタイトルのインパクトとは裏腹に表紙絵はとてもやわらかなので、これはいったい…?と思わせるところがミソ。

周囲(当時の職場)が「まずあなたが読んでみて!おもしろかったら次に読むわ」と、なかば押し付けられた感じで読む羽目になりました。
タイトルを見た瞬間「これはグロ系か!?」と引いてしまったけど、つけてある帯には何やら感動モノのコメントが…。
 
「泣いた!」とか、「切ない」とか…。
 
あ~…まさかのケータイ小説っぽいものなのかな…?
そっち系はあまり読まないんだけどな。ていうか、全く寄せ付けないんですけど。
 
でもまあ読むものが今のところ手持ちでなかったので「ま、いいか!」と読むことにしました。
 
主人公の男の子は読書好きな、でも外界とほとんど接触しない、周りからは根暗と思われている、友達もいっさい作らないというけっこう今どきにいそうなタイプ。
で、この男の子に急接近してくる女の子は真逆で、学校の人気者で、誰からも好かれ、主人公の彼から言わせると「自分とは反対側の人間」ということになるのです。
 
なぜこの正反対の二人が出会い交流していくことになるのかはベストセラーですし映画化もされてご存じの方も多いかと思いますが、関わりあう過程はそれなりに面白かったです。
 
しかし…帯にある「泣ける」「号泣」なんていう言葉は要らないなと思いました。
ていうか、このコメントがあるばかりに妙にハードルが上がり(作品にとって)、かえって冷めてしまったのは私だけなのかなあ?
私のような人もおそらく、多少は存在するんじゃないかなと思うけど、「泣ける」と言われた本を読んで泣いた試しがないのです。
「一杯のかけそば」しかり、「マディソン郡の橋」しかり…。(←知っていますか?古すぎですね)
 
ラスト40ページを読了後、ページをめくり返してみたけどやはり泣けませんでした。
あ~あ…帯のコメントを読まなければよかったのかしら?
それとも、というか、たぶん読まなくても泣かなかったとは思いますが…。
 
感想は人それぞれなので、泣いた人の方が感受性が強くて、私がヘンなのかはまた別の話でしょうが。へへへ。

涙までは出なくとも、いいお話でしたし登場人物たちにも共感できました。
高校生の感想文コンクールの課題図書にも選ばれているし、がん協会のような団体がコラボもしたほどの良作です。
がんへの関心を高めるのにも一役買っている作品です。
ぜひまだ未読のみなさんも読まれてみてはいかがでしょうか。
 


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