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「ワイドショー的な大人にはわからない、手に汗握るおもしろさ~『ハリー・ポッターと謎のプリンス』~」⑦ 

                          2006.5.19読了                                 
「ハリポタ」最新刊の第六巻を読みました。その簡単なあらすじと読後感想を書きます。

六年生になったハリー。第五巻でヴォルデモートとハリーとの深い秘密がわかり、前にも増して魔法界にも危機がせまり、マグル世界にも影響が出るほどの状態になっていました。
 
そんな中、暗い人気のない路地にある1軒の家に、ふたりの女性がある男性を訪ねていました。その男性はヴォルデモートの目的を果たすためのある計画のために、「破れぬ誓い」を一人の女性と結びます。
 
新学期が始まったホグワーツでも、不穏な雰囲気は広がっていました。
ハリーは魔法薬の授業を取らないつもりだったのに取らざるを得なくなり、準備してなかった新しい教科書の代わりに、ずっと長い間教室にあった古い教科書を貸してもらうことになりました。
 
ハリーが借りたその古い教科書には魔法薬の授業にとても役立つ、前の持ち主の落書きだと思われるいろんなヒントになるものが走り書きされていました。
その教科書の持ち主…最後の署名は、「半純血のプリンス」と書かれていました。
はたしてこの「半純血のプリンス」とはいったい何者なのでしょうか?
ハリーたちにはこの先どんな試練が待ち受けているのでしょうか?


つい先ほど読んでしまったばかりですが(2006年当時です、念のため)、相当なショックを受けています。
そんなばかな…という思いです。
物語の展開でこんなに気持ちが沈んだのは珍しいことです。
でも私は翻訳者があとがきに書くように、もしかしたら“彼”がまたよみがえってきてくれるんじゃないかと信じています。読み終える直前にもこの巻の最後のほうには奇跡が起きて、「ゼッタイ死んでいない!実は生きていました…」と、ずっとどんでん返しを期待していました。
(それは結局は裏切られてしまいましたが)
 
それにしても、この巻でも先の読めない展開でとても楽しませてもらいました。
練りに練ったつじつまあわせ、まさかと思う読者への挑戦的とも思える裏切り、ダークな雰囲気が漂う中にもこの作品が青春小説でもあるところのロマンスをも盛り込んであります。ロンとハーマイオニーはどうしてこうも強情なのか…。本の中の出来事なのに、イライラしてしまいます。やれやれ…。
 


とあるワイドショーでキャスターが「ハリポタ」本購入のため本屋に並ぶ人たちを取材して、
「へえ…まだそんなに人気があったんですねえ」と言っていたのです!
翻訳者の松岡さんへのインタビューでは、「ずいぶん儲かってよかったでしょう?」というような意味に取れることを尋ねていました。
ちょっと憤懣やるかたないですね!
聞けばこれまで一~三巻くらいしか、そのときの出演者は読んでないと言っていたし、子どもが読んでいたとも言っていました。
確かに、その書籍の卸の規定とかに苦情があるとかのニュースも以前からあっていたし、いろいろ非難はあったでしょうが。そんな大人事情のつまらないことに、本の内容のおもしろさは全く関係ないのです。
 
「ハリポタ解禁」のニュースを商業的な現象、利益を伴う素材としか見ていないのがありありで、ちゃんと読み込んでいれば前述のような小ばかにしたようなコメントにはなりえなかったでしょう。
ともするとヘタな大人向け小説よりもおもしろいこの子ども向けの本を、まず読んでみてください、それからコメントしてください!と言いたかった私でした。

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