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Vol.4_Jリーグサポーター生活

SOW EXPERIENCE社内にはJリーグクラブのいわゆる「サポーター」をやっている人間が3名ほどおります。応援するクラブの勝敗に一喜一憂し、負けた試合の翌週は覇気を失い、勝ったら勝ったで必要以上にテンションが上がり、平日少し早い時間にそそくさと退社すれば「ああ、試合か…」と思われる。そんな喜怒哀楽に溢れた日常を彩る「Jリーグサポーターエクスペリエンス」の魅力をお伝えしたく、3人であれこれ語り合ってみました。

・楠大介(CFO / 川崎フロンターレ サポーター)
・本間大海(ロジスティクスチーム / ジェフユナイテッド市原・千葉 サポーター)
・高橋弓子(システムチーム / 川崎フロンターレ サポーター)

「サポーター」とは

高橋:私たち、ごく自然に「サポーター」を名乗っていますが、そもそもサポーターってなんなんですかね。一般的には「サッカー好きな人がファン、熱狂的なサッカーファンや特定のクラブチームを応援している人がサポーター」みたいに言いますね。

本間:「応援するクラブの理念を知ってるかどうか」みたいなのもサポーターの定義になりそうです。

楠:「サポーター」は「支持者」って意味ですしね。

高橋:クラブの理念みたいなものは、意識して知ろうとしなくても、応援していると徐々に分かってくる気がする。確かに私もフロンターレというクラブがどんなあり方を目指しているか、みたいな話を知って、さらに好きになったタイミングがありました。それがファンからサポーターへの変遷なのかな…。最初からサポーター!なんてことはないですもんね。

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(ジェフサポーター・本間)

そもそも何をきっかけにJリーグを観るのか

高橋:テレビ中継もありニュースに取り上げられる機会も多いサッカー日本代表の試合と比べて、Jリーグは「そもそも観るきっかけがない」なんてこともよく聞きますが、みなさん何をきっかけで応援し始めたんですか?

楠:僕は、もともと川崎市の市民でスタジアムの近くに住んでいた関係でフロンターレの試合の無料の招待チケットをよくもらっていたことをきっかけに、2001年から年に1度程度、観に行ってました。2005年にJ1に昇格して春先に行ってみたら、思いのほか若手が上手くて(中村憲剛と谷口博之)、「これは面白いぞ!」と感じて通い始めました。

高橋:「市民だったから」は地域密着をテーマに掲げるフロンターレらしいですね〜。

本間:僕は初めて試合に行ったときのこと自体は全然覚えていないのですが、複合的な理由で、かつ時間を掛けて「サッカー観に行きたい」となったのは覚えています。1番大きかったのは2002年の日韓ワールドカップでしたね。小学校5年生でした。

高橋:幼いころから!

本間:その頃は別にサッカー自体に興味はなくて、「日本で大きな大会があるなあ」くらいのテンションだったんですけど、「観てみたいな」と友達と話していたら、担任の先生が「ワールドカップ 期間中、日本代表の試合の時に教室に残ってみんなでテレビ観戦で応援して良いよ!」って言われたんです。これ、かなり良い仕事(先生に対して失礼)しましたよね、先生。

楠:理想的な先生!(笑)

本間:今となっては、スタジアムで知らない人とハイタッチしたり、知り合いを連れて行ったりって何気なくやってるんですけど、スポーツを誰かと観たり、喜びを共有したりという快感は、あの時の体験から始まっている気がします。

で、もちろんそのおかげでサッカーも凄く好きになって、その2年後、2004年の中学1年生の時から本格的にサッカーを始めるんですけど、ちょうどジェフはフクダ電子アリーナ(ジェフのホームスタジアム / 球技専用で観戦しやすい)ができたばかりというのと、オシムブースト(当時ジェフの監督は日本代表監督も務めたイビチャ・オシム氏)がかかっていた時期でしたね。
それに加えて、ジェフもフロンターレ同様に「地域密着型クラブ」を目指しているので、自然と生活の中にクラブがありました。学校でジェフの文房具や無料招待券が配られたり、ちばぎんの通帳がジェフデザインだったり。あと、家を片付けていたら、胸に「SEGA」って書いてあるジェフのユニフォームが発掘された時は驚きました。この街にジェフがあるのを実感した瞬間でした。

高橋:本当にじわじわとサポーターとして熟成していったんだ(笑)。

私は2009年の8月がフロンターレの試合の初観戦でした。ちょっと特殊なんですが、フロンターレサポーターの上司2人が結婚して、しかもフロンターレの試合前に試合会場である等々力陸上競技場のピッチで結婚式ができるスタジアムウェディングの抽選に当たって。それにお客さんとして呼ばれて行ったのが最初でした。

2万人のサポーターの前で行われる結婚式を見届けて、その後は普通に試合があるんですが、選手はひとりも知りませんでした。もともと日本代表は観ていたり、小さい頃は川口能活が好きで1回だけ横浜Fマリノスの試合を観に行った事はありましたが、この頃はJリーグは全然分からなかったです。というか上司の結婚式で負けたら困ると思って、必死で応援して。試合の終盤まで1点リードされてたんですが、最後の最後で追いついた展開にあまりに興奮したというのが始まりです。みんなが日本代表戦で盛り上がれるのと同じで、どちらを応援するかが明確に決まっていると、夢中になるのも早いです。

住んでいる家も等々力のスタジアムから近くて。チャリで行けるわ!っていうのも大きかったかも。チケットも意外と安いし。

本間:入りは三者三様ですね〜。

楠:やっぱり誰かに何かしら誘われて、にはなるのかな。招待券もある意味お誘いだし。

高橋:それ以外だと特定の選手が気になって行く、とかもあるかも。イケメンが多いのは女子的には引きが強いです(笑)。試合に行ったら、結構近くで見られるわけで。写真も撮り放題だし!

楠:選手個人から入ると定着率も高そうですよね。

高橋:移籍しちゃうと動揺するけど(笑)!私も最初は川島永嗣選手(2010年までフロンターレ所属)を応援していたので海外移籍してしまったときは頭を抱えました。でもその頃にはすっかりフロンターレの勝敗に一喜一憂するのが日常だったので、そんなフロンターレの勝利のために闘う、今いる選手たちを心から応援しようと素直に思いました。

応援スタイルは個々人の自由で

高橋:サポーターというと、ゴール裏で飛び跳ねながら応援歌を歌うイメージもあるかもしれませんが、皆さんの観戦スタイルは?

楠:以前はゴール裏で飛び跳ねていたり、試合全体が見やすい席で真剣に見ていたり、その時々でしたが、子どもが産まれて一緒に連れていくようになってからは指定席でのんびり応援しています。最近はテーブル付きの席がお気に入り。

高橋:私はじわじわと応援のコアゾーン寄りに移動していきました(笑)。コアゾーンの近くでも、応援歌は歌詞カードをくれたりするし、なんとなく周りに合わせていれば大丈夫なので、初めてのころでもあえてその辺りに行って一緒に盛り上がるのもまた楽しかったり。初心者でもコールリーダー(応援を先導するサポーター団体の人)の目の前とか行かなければ意外と平気。

本間:琉球のクラブが三味線使っていたり、応援も地域性があって面白いですよね。フロンターレは川崎市民の歌を歌うんでしたっけ?

高橋:歌います。川崎市内ではゴミ収集車から流れる音楽として認知されているので結構みんな知ってる曲(笑)。

楠:選手ごとの応援歌は、ヒットソングとかの元歌があるから、すぐ歌えたりしますね。実際に声を出して応援するとまた満足感も違う。


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(フロンターレのホームスタジアムは等々力陸上競技場)

クラブの垣根を超えた「Jリーグ」という繋がりの面白さ

本間:高橋さん。そういえば2009年はジェフ戦にも行ったって話してましたよね。

高橋:うん。結婚式の後、2009年11月のジェフとの試合が、自分でチケットを買って等々力に行った初めての試合。その試合でジェフのJ2降格が決まってしまって。試合後に反対側のゴール裏がものすごい雰囲気だったのが衝撃でした。

降格しちゃった試合だからアレだけど、でもそんな話をこうして本間さんとできるのもまたJリーグの面白さだよね。

本間:確かに。元フロンターレの選手がジェフに来たりして、それで楠さんや高橋さんと盛り上がったりもする。それに、大分との試合の後、電車の中で大分のサポーターさんに為田(大分トリニータの下部組織出身でジェフに移籍してきた選手)をよろしくお願いしますって話しかけられたりもしたなあ。

災害があると、被災した地域のクラブを応援する横断幕を試合で掲げたり等、大きな一体感も感じます。

高橋:同じJリーグを応援してる、って思うと全くの他人でも不思議な仲間意識が生まれるよね。そうなってくると本当に試合だけじゃなくて、日常で出会う人とか出かける先とか、至るところに存在していることこそが「Jリーグ」という体験の醍醐味な気もする。

楠:サポーター生活を続けていくと生活全般に染み渡ってくるしね。年間通したスケジュールも持ち物も…。

高橋:そうそう。最初は非日常として楽しんでいたサッカーがいつの間にか日常の土台になっていることもまた幸せだったりします。

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(千葉県の台風被害直後にジェフは水戸ホーリーホックと対決 相手サポーターからは横断幕での温かいメッセージが)

待っているのは最高の週末だ!

高橋:とはいえ、サポーター生活のハイライトはやっぱり週末スタジアムに試合を観に行くことだと思うのですが、早起きしたり(いい席を取るために早朝からスタジアムに行きたくなる場合も)、平日の試合だったら会社を早退してまで、勝つとは限らない試合に足を運ぶのはなんのためなんですかね〜。

本間:質問が哲学的(笑)。

楠:僕はフロンターレというストーリーを追っていて、その目撃者になるべく追ってる!もしかしたら、すごい歴史に残る1日になるかもしれない!という感じです。

本間:負けるとドっと疲れて、帰りの電車とか、とっても憂鬱です。
でも、「来なきゃよかった」と思うことは絶対にないのに、「行けばよかった」はいっぱいあるから、僕は出来る限りスタジアムに向かうのかな…。

高橋:分かります!私は行けなかった試合で憲剛さん(フロンターレの中村憲剛選手)がものすごいゴールを決めたことがあって、それを目撃できなかったのが今でも悔しい。

楠:スポーツ全般共通で言えることですが、1試合単体での楽しさもまぁあると思いますが、実際には1シーズン(≒1年)だったり、中村憲剛のような象徴的な選手の一生だったり、結構長いスパンで楽しむものだからこそ、勝とうが負けようが行く気がします。

と言いつつ、僕は、遠方のアウェイに行って負けて帰ってくると、「なんで来ちゃったんだろう・・・」と帰り道に後悔することもしばしば(笑)。

高橋:そりゃあ負けたら気分も落ちますしね!でも私も、負け試合だって歴史の一部という感覚が強いかもしれません。

真冬に(佐賀県の)鳥栖まで行って負けて、しかもその試合で引退する選手がいたことがあって、それを見届けたとき、「勝っても負けてもクラブとともにあって、一緒にクラブの歴史を築きながら、いつかのタイトルを目指すのがサポーターなんだな」と思ったのをおぼえてます。

本間:もはや長編ドラマですね。長くひとつのチームにいる選手もいるけれど、移籍で選手はいなくなっちゃうもんだし、「◯年前の悔しさを知っている選手は1人もいなくなっちゃったね」なんてことはよくある話ですよね。

僕らサポーターはクラブで1番在籍年数の長い12番目の選手だから、って考えられるくらいの気持ちになってくると「勝つか負けるか分からない試合に行く」なんて、当たり前になっちゃいますよね。

高橋:そうそう。嘘じゃなく、「一緒に闘う」わけだし。「サポーター」という呼び名は、まさにその通りだと思う。

それにどんな試合でもどんな勝敗でも、リーグだってカップ戦だって絶対に何かしら意味があるので、目撃して無駄にはならない。

楠:たまたま誘われて観に行った初めてのJリーグが、歴史的な名勝負になる、なんて可能性も充分にある。

本間:このトークセッションでの結論を標語にするなら「誘われたなら!迷わず行こう!Jリーグ!」ですかね!

高橋:マスコットが可愛かったり、スタジアムグルメが美味しかったり、たとえ試合に負けても楽しめるポイントはいっぱいありますしね。行って損はしないはず。

楠:うちの会社っぽくていい結論(笑)!

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(サポーター社員の呼びかけで会社のみんなで試合を観に行ったりも)


というわけで、「誘われたなら!迷わず行こう!Jリーグ!」精神の弊社メンバーは新たな体験の「きっかけ」づくりにものすごく貪欲に日々を過ごしている次第です。誰かに体験のきっかけを贈ることは、めぐりめぐって自分の真新しい体験に繋がったりもするもの。そんなソウ・エクスペリエンスの体験ギフト、ぜひ一度チェックしてみてください(時期によってスポーツ観戦体験も収録されています!)。