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荀子 巻第四儒效篇第八 2 その2
前回は、荀子が秦の昭王の「儒者は人・国に役立たない者か?」という問いへの答えを途中まで読みました。続きを見ていきます。
仲尼の將に魯の司寇たらんとするや、沈猶氏は敢えて朝に其の羊に飲わず、公慎氏は其の妻を出し、慎潰氏は境を踰えて徙り、魯の牛馬を粥ぐ者は賈(価)を豫(誑)らず。[是れ仲尼が]必ず蚤に正しくして以てこれを待てばなり。
仲尼→孔子。春秋時代の中国の思想家、哲学者。儒家の始祖。
魯→春秋時代、戦国時代に亘って中国に存在した国。
司寇→古代中国の官名。 秋官の長。 刑罰および警察をつかさどった。
みずかう→牛や馬に水を飲ませる。
ひさぐ→売る。商いをする。
つとに→ずっと以前から。早くから。
調べた意味を元にまずは訳してみます。
『孔子が魯国の司法・警察業務に就こうとしたとき、沈猶氏は飼っている羊に朝無理に水を飲ませず、公慎氏は妻を出し、慎潰氏は境を越えて移り、魯国で牛馬を商うものはその価格を偽らなくなりました。これは孔子がずっと以前より必ず正しく、(皆がそんな彼を)待つためであります。』
この訳では、沈猶氏・公慎氏・慎潰氏らの行動の意味が分かりません。ちゃんと注釈がありましたので転記します。
「孔子家語」相魯篇に、羊商売の沈猶氏が羊に水を飲ませて重さを増し、公慎氏が淫乱の妻を禁止せず、慎潰氏の奢侈が法規を乱しており、六畜の商売人がいつも価格をいつわったが、孔子が政治を行うようになると、それらはすべて治まったとして、ここにのべるのと同じ事どもをしるしている。
なるほど~です。もう一度意味を取り直します。
『孔子が司法・警察業務に就こうとすると、朝羊に水を無理に飲ませて重くして見かけより高く売っていた沈猶氏はその行為を止め、淫乱な妻をほったらかしていた公慎氏は離婚をして身を正し、奢侈で法規を乱していた慎潰氏は国境を越えて逃げ出し、価格をごまかすことが多かった商売人たちはごまかさなくなりました。これは孔子がずっと以前より必ず正しく、(皆がそんな彼を)待つために(準備を)したのです。』
砕けて言うと、『「やばい、孔子が来るぞっ。」てな感じで準備をした。』ということでしょう(笑)。
荀子はさらに、孔子が闕党(孔子の旧里)にいた時は年若の者が収穫物を分けるのに親がある者に多く配るようにしていたが、これも孔子の教導によると回答しています。
儒者は本朝に存りては則ち政を美にし下位に存りては則ち俗を美にす。儒の人の下と為るや是くの如しと。
拙訳です。
『儒者が国政をあずかれば政を美しくし、在野にあれば世間を美しくする。儒者が臣下となればこのようであります。』
秦の昭王に対する荀子の回答は以上です。この回答を受けて昭王はさらに質問を重ねます。が、この続きは次回にします。
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