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10人聞いたら、10人が反対する。そんな道を歩んできたからこそ、「M&A」という天職に出会えた。ーー 佐山展生さんのキャリアを紐解く【Pickers Lounge Vol.3レポート】

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先日、3/15(月)に第三回リアルイベントが開催されました。今回、ゲストとして登壇したのはプロピッカーであり、インテグラルの代表を務めている佐山展生さん。NewsPicksのユーザーで、その名前を知らない人はいないでしょう。

阪急・阪神の統合、スカイマーク再建の「立役者」であり、これまで数々の企業買収、M&Aを手がけてきた佐山さん。これまで、どのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?イベントで語られた、佐山さんの半生を紐解いていきます。

「野球しかやってこなかった」佐山さんが振り返る、中高生時代

「中学・高校時代、野球しかやってきませんでした」

自分自身の半生を語るにあたって、このように切り出した佐山さん。進学校に通っていたことから、勉強漬けの日々を送っていたかと思いきや、実は中学1年生の頃から6年間、野球漬けの毎日を送っていたそう。

練習量は想像以上で、「朝7時から朝練をし、昼はグラウンド整備。そして、夕方は日が暮れるまで練習をする。そんな毎日でした」と、当時を振り返る佐山さん。

ハードな生活を送っていたからか、グラウンドから家までの距離は「6分」という近さだったにも関わらず、夜ご飯も口にすることなく、家に着いた途端、すぐ寝てしまっていたとのこと。その生活を高校3年生の夏まで、ずっと続けていたというから驚きです。

そんな野球漬けの日々を送っていた佐山さんですが、今でも人生の支えになっている出来事が高校3年生の夏にあったと言います。その出来事とは、最後の大会「夏の全国高等学校野球選手権大会」で優勝候補の大谷高校に3回戦で勝利したこと。

その理由は、野球推薦で大学に入学したり、「野球を自分の仕事にしよう」と志たり、自分たちとは全く違うレベルのチームに勝てたから。

この経験を通し、佐山さんは「人間の力の差は、自分たちが思っているほど大したものではない。何より大切なのは”気持ち”であることを学んだ」と言います。

「やったら出来るんじゃないか?」そんな思いで始めた受験勉強も、全く続かず……

高校の部活動を引退し、大学受験の勉強へ。これまで野球漬けの日々を送り、勉強とは無縁の生活を送っていた佐山さん。最初は「やったら出来るんじゃないか?」と思って受験勉強を始めたものの、集中力が続けず、1ヶ月間で5時間くらいしか勉強しなかったそう。

あっという間に時は過ぎ、11月になったとき、ようやく入試までの時間がないことを悟り、猛勉強を開始したとのこと。当時は京都大学工学部の建築学科を志望していたため、物理・科学・数学の3教科に的を絞り、来る日も来る日も勉強を続けたと言います。

そうして年が明け、1月頃、受験への手応えを感じ始めていたのですが、2月にある事件が発生。その事件とは「浅間山荘事件」。ずーーーっと中継をしていたため、テレビから目が離せず、勉強が少しだけ疎かになってしまった結果(ということにしているのですが)、点数が足らず、第2志望の欄に偶然書いていた京都大学工学部高分子化学科に入学することに。

常に受け身の姿勢でいた。先生の推薦で言われるがまま入社した「帝人」

第2志望だったものの、佐山さんは大学で勉強を続け、就職活動を迎えます。当時は今と違い、研究室の先生が「◯◯を受けろ」と言われたら、それで就職活動が終わっていたとのこと。佐山さんの場合、「帝人を受けなさい」と言われたため、帝人を受け、入社したそう。

当時を振り返り、「何の疑問も持っていなかった。受け身の人生を送っていたなと思います」と語ります。

新卒として入社した帝人では、愛媛の松山工場に配属され、55名のチームリーダーとして「ポリエステル」の開発に携わることに。

当時は三交代制のシフトを敷いており、朝8時〜夕方16時までの勤務を4日間、次に夕方の16時〜深夜0時までを4日間、そして最後に深夜0時〜朝8時までの勤務を4日間。これを繰り返しながら働いていたと言います。

入社3ヶ月ながら、55名のチームリーダーとして働く。これが佐山さんのキャリアの原点になっているそう。「55名のメンバーたちと寝食を共にし、一体となって働く。この経験を通して、チームメンバーが子供のように思えてきたんです」。

これが基となり、現在のNewsPicksの人気コーナーである「ハートのある」キャリア相談が生まれたんだとか。

「日頃立ち入る事の出来ない銀行の中に入ってみたい」興味本位で入社した銀行での業務が自分の天職だった

帝人に入社後、30歳になるまでは言われたことを淡々とこなし続ける”良い子”だったそう。これは野球部としての経験がそうさせていたようで、「野球はチームスポーツ。言われたことをきっちりやることが勝利につながる。その習慣が骨身に染み付いていたので、完璧なサラリーマンだったと思います」と佐山さんは振り返ります。

しかし、30歳になったときに、4歳上の先輩が自殺。追い討ちをかけるかのように、課長への仕事の報告をした際に「それは本当か?」と疑われ……。そこで、「実績を上げたから昇進・昇格をしているのではない」ことが分かったそう。

となると、年齢を重ねていったときに違う会社で働こうと思ってもやることがない。その状況に陥るのはヤバい……と思い、まずはスキルアップのために資格を取ることに。

資格の勉強を続けていたときに、ふと目に写り込んできたのが三井銀行の中途採用募集の新聞広告。高校生の頃、”なりたくない職業”の一つとして銀行員を挙げていたそうですが、「銀行という別世界の人たちが自分のことをどう思うか?」これに興味があり応募してみたそう。

履歴書を送ってみたら、見事通過し、面接に。興味本位だったため、「絶対に入社したい!」という思いのまま、東京の三井銀行本店でM&Aの説明を受けたとのこと。

そのM&A業務に対して、純粋に興味を持ったことに加え、「今後、自分で何かやるにしても、銀行の業務を経験してみることはプラスになるんじゃないか」その思いが芽生え、帰りの飛行機の中で三井銀行への入社を決意。

とはいえ、帝人とは違い、役職も先のことも保証されていない銀行での仕事。もちろん、多少の不安はあったそうですが、「ダメだったら、交通整備の仕事やアルバイトなどもしようと思っていた。上手くいく可能性が低い仕事をするときは、『もしダメだったら、次はこれをしよう』という考えがなければ一歩踏み出せない」と語るように、きちんと次の選択肢も視野に入れた上で働くことにしたそう。

ただ、入社してみたら、その不安はすぐにどこかへ行ったそうで、1週間も経たないうちに新しい会社に慣れたとのこと。そして、2週間後に支店から買収の話が舞い込み、初の買収を成功へと導きます。

その後の活躍は皆さんがご存知の通り。阪急・阪神合併を筆頭に、カネボウ再建、楽天/TBSの提携交渉、そして最近ではスカイマークの再建など、28年間、M&Aの世界に身を投じ、多大な功績を挙げています。

10人聞いたら、10人が反対する。そんな道を歩んでみるのがいいんじゃない

帝人での仕事から一転、銀行へと転職し、その後ファンドを立ち上げる。佐山さんは自身のキャリアについて、「私は10人中10人が反対意見を述べるようなキャリアを歩んできました。多分、誰もが「アホなのか?」と言ったでしょう。でも、私は後悔したことはないし、歩んできた道は正解だと思っている。なぜなら、誰もが反対するような道は競争相手がいない。つまり、成功の可能性が高いということ」と振り返りました。

目の前に2つの道が出てきたとき、多くの人は「こっちなら出来るだろう」という安全な道を選択することでしょう。しかし、その道はライバルも多く、競争が激しい道。一歩踏み出すのが恐いかもしれませんが、先ほど佐山さんが述べたように、次の選択肢を用意しておけば、一歩踏み出すことは難しいことではありません。

自分の”やりたい”と思うことを実現するためにも、あえて周りの人から反対されるような道を選択してみてはいかがでしょうか?きっと、その道の先には思ってもみなかった世界が待っているはずです。

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いかがでしたでしょうか?

会員限定ラウンジ「Pickers Lounge」への入会はこちらからどうぞ。

次回は5月14日(土)の13時~16時。

これまでとはまた違った切り口のワークショップを開催します。

コンセプトは、オトナの自由研究。
Pickers Loungeは価値創発コミュニティへと進化します。
【これまで】
・主役は著名Picker。参加者はリスナー。
・著名Pickerを招いたイベントメイン。
・イベントの内容をレポート×動画で発信
・イベントは単発。連続性は無し。
【これから】
・主役は参加者。著名Pickerはアドバイザー。
・著名Pickerを招いたイベントはあくまで補完的役割
・ワークショップ→研究テーマ決定→チームを組成→NewsPicksを活用して研究活動→研究成果を日々アウトプット→最終発表会で発表

ということで、早速Pickers Workshopを開催します。

ワークショップのプログラムは以下の通り。

0.Introduction(はじめに)
1.Pick Myself(自己紹介)
2.My Pick News(最近注目しているニュース)
3.Dig My News(ニュースを深堀してみる)
4.Discover My Theme(自分のテーマを見つける)
5.Pick My Theme(自分のテーマを発表する)
6.Edit Team by Theme(チームをつくる)

※ご質問などあればお気軽にメッセージ&コメント下さい!

Pickers Loungeからどんな新しい価値が生まれるのか。
コミュニティを起点とした新しい価値創出のあり方にチャレンジしていきます。

乞うご期待ください。

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