【マネジメントの名著】ドラッカーの「マネジメント」を読み返したので、要約&解説記事にしてみた
こんにちは。
ノーコードを使用してプロダクト開発をさせていただいている蒼士(@Soushi_nocode)と申します。
さて、ここからが本題です。
普段はノーコード関連のことやプロダクト開発の記事を書いていますが、今回は、本の内容をかいつまんで記事を書いてみたいと思います。
扱う本は、ドラッカーの名著である「マネジメント 基本と原則」です。
「マネジメントを勉強するならこれ」という認識を持たれている方も多いのではないのでしょうか。
では、早速いきたいと思います。
☑️「仕事」と「労働」は根本的に違う
仕事をするのは人であり、仕事は常に人が働くことによって行われます。
しかし
①仕事の生産性を上げるうえで必要とされること
②人がいきいきと働くうえで必要とされること
は違うということです。
よって、「仕事を効率化するための思考」と「人にコミットしてもらうための思考」の両方の観点かマネジメントをしなければならないということです。
働く人がいきいきと働いていても仕事が生産的に行われていければ失敗であり、また、仕事が生産的に行われていても働く人がいきいきと働いていていなければ失敗ということです。
①仕事の生産性を上げるうえで必要とされること
20世紀初頭にテイラーが「科学的管理法」を提唱しました。
これは、先進国の近代化を推し進めた手法の一つであり、現代の「スケール拡大」の考え方の基礎になっています。
この本では、仕事の生産性を上げるうえで4つのことが必要であるとされています。
それは下記の5つです。
1. 分析
2. 総合
3. 管理
4. 道具、情報の設計
ただ、4つそれぞれが抽象的であるため、より解像度を上げて理解するために、「自分の仕事ではどのように言い換えられるのか」ということを考えてみるのもいいかもしれません。
今回は、あんぱん販売をするにあたっての「あんぱんの製造」を例に考えてみたいと思います。(筆者はあんぱん販売をしておりませんが、今ふと頭に浮かんだので笑)
1. 分析
仕事に必要な作業と手順と条件を知ること。
つまり、「あんぱんの製造」でいえば、あんこの種類や量、生地の材料、また、温度や時間、調合方法や手順などを分析し、製造に必要な作業や手順、条件を把握する必要があるということです。
2. 総合
作業を集め、プロセスとして総合すること。
つまり、「あんぱんの製造」でいえば、生地作り、あんこの作成、包装などの作業フローを工程ごとに明確にしたうえで統合をし、効率的な一連の製造プロセスを確立するということです。
3. 管理
仕事のプロセスの中に、方向づけ、質と量、基準と例外についての管理基準を組み込むこと。
つまり、「あんぱんの製造」でいえば、あんぱんの外観や味の基準を明確に定め、生産ライン上での品質チェックやサンプリングテスト等を実施することで、品質管理、生産数量管理をし、あんぱんの品質の一貫性と安定した出荷数量を確保するということです。
4. 道具、情報の設計
つまり、「あんぱんの製造」でいえば、生地を均一に混ぜるためのミキサーや、包装ラインの自動化システムを導入するなどをして、製造ラインに適切な機械や道具を配置することで、作業効率と品質管理の向上を図ることができるということです。
また、仕事の生産性を上げるうえで、「成果を中心に考える」ということを徹底しなければなりません。
道具、情報のインプットベースで始めてはいけません。
・どのような道具、情報をいつどのように使うか
・作業の組み立て、管理手段をどう設計するか
は、成果、アウトプットによって規定されなければならないということです。
当たり前ですが、実際、仕事においていくら血の滲む努力をして「自力で全て筆算で計算をしてきました」なんてあまり関係ないですもんね。
「適切なツールを使い、速くて素晴らしいアウトプットを出しました」に確実に優位性があるよねということです。
発明家で有名なエジソンも常に「欲する製品を定義すること」から始めたとのことです。
その後、発明のプロセスをいくつかに分解し、相互関係、また、順序を明らかにし、管理手段、基準を定めたということです。
②人がいきいきと働くうえで必要とされること
これに関しては、「マクレガーのX理論とY理論」や「IBMの成功事例」、また、「働きがいを与える3つの条件」など、さまざまな内容が書かれていましたが、一部を解説させていただきます。
前提、人がいきいきと働くための「唯一絶対の方法はない」ということです。
では、どうすればいいのか。
それは、「人や状況に応じてマネジメントの仕方を変える」ということです。
つまり、マネジメントをする側が相手のことを理解することに努め、それぞれに合ったマネジメントをするということです。
これは、マーケティングに似ています。
・相手が何を望むのか
・相手の目的は何か
・相手にとっての価値は何か
これらを考えマネジメントをしていくということです。
また、ビジネスなどにおいて仕組み化をする際もこの考え方が基本になります。
「相手の働く動機、また、状況はどのようになっているのか」ということを理解した上で仕組みを設計していかなければなりません。
それを考えることなく「とりあえずだまってやれ」などと「圧」だけで乗り切ろうとすると、決して長期的にうまくいくことはありません。
なので、「相手の働く動機、また、状況はどのようになっているのか」を理解した上で
・相手にとって何が一番メリットになるのか
・どこまでの業務を担当してもらうのか
・どのような給与体系が適切なのか
などを考え、利益相反を起こさない設計が必須になります。
少し話がそれましたが、重要なことは、「組織が何を望むのか」ではなく
・相手の目指しているゴールは何なのか
・相手にどんなバックグラウンドがあるのか
・相手がどんな時にうまくいくのか
・相手がどんな時に失敗してしまうのか
など、その人についてやその人の状況を理解することであるということです。
☑️マネジメントとは
マネジメントとは、「人の強みを発揮させること」である。
つまり、「人の強みを生産的なものに繋げること」であるということです。
これは、この本の結論として位置付けられていることでもあります。
組織とは、個としての人間一人に対して、また、社会を構成する人間一人に対して、何らかの貢献を行わせ、自己実現をするための手段であります。
また、組織の目的とは「人の強みを生産に結びつけ、人のを弱みを中和すること」にあるということであるので、そもそも、「人が雇われる」ということは、その人の強みや能力を求められているからということです。
☑️マネージャーとは
マネージャーとは、「組織の成果に責任をもつ者」と定義されています。
つまり、それぞれの強み、専門性を理解して、チームとして成果を最大化していくために尽力をする者ということです。
専門家にはマネージャーが必要です。
「専門家のアウトプットをどうすれば成果に結びつけることができるのか」
これについてマネージャーが考えなければならないということです。
いくらプログラミングを極めたとしても、それを成果、目標に結びつけることができなければ、なんの価値も見出せないということです。
・プログラミングをして顧客の課題を解けるユーザー体験を作る
・プログラミングをして社内の生産性を向上させるシステムを作る
などをして、初めて価値を見出せるということになります。
つまり、専門家の「How」を「What」に翻訳をする、また、組織の言葉を専門家の用語に翻訳をするのがマネージャーの仕事ということです。
なので、マネージャーは専門家の専門性によって
「何ができるのか」
を知っておき
「どうすれば成果に結びつけるのか」
を考える必要があるということです。
マネージャーは自らプログラマーである必要はないが
・プログラミングとは何なのか
・プログラミングに何を期待できるのか
・プログラミングによって何を成しうるのか
・プログラミングをいかにそれを使いこなすことができるのか
を理解しておかなければならないということです。
このことは、「具体⇔抽象を往復する能力」にも繋がってくるかと思うので、よければ下記の記事もご覧いただければと思います。
また、現在、世間的に「マネージャーの方が立場が上、偉い、
絶対」みたいなイメージがありますが、そんなことはありません。
むしろ、パートナーであります。
つまり、知的労働が中心になりつつある現在においては、命令と服従の関係ではなく、ただの役割分担、責任を持つ範囲、追うべき指標の違いに過ぎないということです。
なので、お互いがお互いの上司であり、また、お互いがお互いの教育者でなければなりません。
わかりやすところであれば、野球選手と監督、楽器演奏の指揮者と演奏者の関係と似ています。
指揮者がトランペットを演奏できない、できなくてもいいのと同じように、自ら部下の仕事を肩代わりすることはできないし、また逆も然りということです。
なので、お互いがお互いへの敬意が必要であると思います。
実際に、成功している経営者さんは、このような敬意を忘れることなく経営をされているからこそ、うまく経営をできているのではないでしょうか。
このことを思った時、下記、サーバーエージェント社長の藤田さんのツイートがパッと思いついたため、引用をさせていただきます。
☑️マネージャーの役割と仕事
マネージャーの役割
マネージャーの役割は2つあります。
1つ目は「部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を創造すること」です。
これは上記、「マネジメントとは」で書いた「人の強みを生産的なものに繋げること」にも繋がります。
サッカーの監督が自らの指導力や経験、ビジョンなどを通じて、選手それぞれ強みを活かし、チーム全体としての成果を最大化するように、マネージャは自らの資源、特に人的資源のあらゆる強みを発揮させて弱みを中和し、いかに全体としての成果を最大化していくかを考えていかなければならないということです。
2つ目は「あらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものを調和させていくこと」です。
マネージャーは、「目の前のタスクに日々追われてしまって、ただひたすら疲弊だけしてしまう」という状態になってはいけません。
このことに関しては下記の要約記事で詳しく書いているので、よければご覧いただければと思います。
要するに、「今すぐ緊急で行う必要がある業務」と「将来のためにやるべき業務」のバランスを適切に取るべきであるということです。
よくいわれる「緊急ではないが重要な仕事」についても日頃から考え、しっかり取り組むべきであるということです。
マネージャーの仕事
マネージャーの仕事には5つの共通の仕事があるとされています。
それは下記の5つです。
1. 目標を設定する
2. 組織する
3. 動機づけとコミュニケーションを図る
4. 評価測定する
5. 人材を開発する
また、上記の「仕事の生産性を上げるうえで必要とされること」と同様に、それぞれが抽象的であるため、より解像度を上げて理解するために、「自分の仕事ではどのように言い換えられるのか」ということを考えてみるのもいいかもしれません。
1. 目標を設定する
チームや部署の目標を設定するということです。
この目標は具体的、かつ定量的に示される成果である必要があります。
例えば、営業チームの場合、年間の売上目標を設定することがあります。
また、その年間の売上目標を達成するために、架電数やアポ数などをさらにKPIとして設定することが多いと思います。
つまり、大きな(抽象的な)目標を設定するだけでなく、その目標をさらに具体的に落とし込んでいくことも必要です。
2. 組織する
目標を設定した後、マネージャーは、チームの組織を行うということです。
目標達成に必要なスキルを持った人、つまりはその人の強みを発揮できる人を集めてそれぞれに役割を与えるということです。
これは上記の「マネジメントとは」で書いたこととも繋がります。
例えば、プロジェクトマネージャーの場合、プロジェクトメンバーそれぞれの特性や強みに応じて役割と責任を明確に定め、タスクを適切に割り当てます。
これにより、各メンバーが自身の役割を理解し、効率的に作業を進めることができるということです。
3. 動機づけとコミュニケーションを図る
チームの組織を行った後、マネージャーは、チームメンバーを動機づけ、コミュニケーションを円滑に行うということです。
こちらからプッシュばかりをして、強制して、無理やり業務に取り組ませるというような組織はいい組織とはいえません。
メンバーそれぞれのコミットメントを引き出し、モチベーションの維持に努めようということです。
これはまた、上記「人がいきいきと働くうえで必要とされること」で書いた「人をマーケティングする」ということにつながります。
その、人のマーケティングの方法が、金銭的な報酬になるかもしれないし、組織内の表彰かもしれないし、組織内の昇進になるかもしれないとうことです。
極端に言えば、宗教的な組織が最強ということですね。
つまりそれは、組織が目指す方向にチームの全員が「勝手に全力で」走っている状況ということです。
4. 評価測定する
マネージャーは、チームメンバーのパフォーマンスを評価測定するということです。
この本で挙げられている「働きがいを与える3つの条件」ということでも
・生産的な仕事
・フォードバック情報
・継続学習
が挙げられていますが、後ろの2つがこの「評価測定する」ということにあたります。
つまり、自己管理ができる状態が必要であり、自らの成果についての情報が不可欠であるということです。
例えば、会社でよくある上司との1on1制度などはこのための制度にあたるかと思います。
定期的なパフォーマンスレビューや目標達成度の評価を行い、フィードバックや改善点を伝え、この評価測定によって、メンバーの成長やスキルの向上を促し、それが、組織のパフォーマンス向上に寄与するということです。
頑張ったことを正しく評価される組織体制が整っていれば、チームメンバーのモチベーションやエンゲージメントが高まるので、結果的に組織の生産性向上していくということが期待できます。
5. 人材を開発する
マネージャーは、チームメンバーの能力開発を支援するということです。
新人や専門家への教育はもちろんですが、イメージとしては、自分のマネジメント業務を自分以外の方に引き継げるよう、もう1人の自分を開発していき、属人的な組織から脱するという感じかと思います。
そうすることで、自分は別の新しい事業や学習などに手掛けることができるようになり、より組織としての成果を生み出してくことができるようになります。
このことも、上記の「人がいきいきと働くうえで必要とされること」に繋がってきます。
つまり、一元的な人材開発のシステムではなく、個別にカスタマイズをし、それぞれの強みを活かすことができる教育を提供できれば、組織にとってもWIN、個別にとってもWINであるということです。
☑️まとめ
今回は、マネジメントの名著である「マネジメント 基本と原則」の要約をしてみました。
いい感じに本の内容が「How to 過ぎない」というか、カッコよくいえば、「問いを与える本」というんですかね。
このような本は内容が抽象的なので、読んでいるときにさまざまなこと、場面に思いを馳せることができます。
個人的にはこのような古典的名著には興味があり、特にこの本はこれからも読み返していきたい本です。
よく、「昔から人間の本質は変わっていない」といったことを聞きますが、改めて本当なんだなと実感します。
現在はAI関連がすごく流行っているように、時代によって流行り廃りはあると思いますが、結局最強なのは、ダーウィンがいうように
かなと思っています。
なので、「人間や社会に共通する抽象的な概念を、時代や人、状況に合わせて具体に落としこめていくことができる」
そんな人が最強というか、いい感じに生きていくことができるのではないでしょうか。(ここはあえて抽象的にしておきます笑)
長々と書いてきましたが、当記事では、一部を自分なりにまとめてみているだけなので、もしご興味を感じられましたら、是非一度、手にとって読んでいただければと思います。
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