【具体⇔抽象】AI時代に求められる能力とは?「抽象化」「具体化」とは?"「具体⇔抽象」トレーニング"を要約して考察してみた
こんにちは。
ノーコードを使用してプロダクト開発をさせていただいている蒼士(@Soushi_nocode)と申します。
さて、ここからが本題です。
普段はノーコード関連のことやプロダクト開発の記事を書いていますが、今回は、本の要約、考察記事を書いてみたいと思います。
扱う本は、細谷 功さんが書かれた "「具体⇄抽象」トレーニング"です。
これからのAI時代に必要な能力として"「具体⇔抽象」間を移動する能力”があるのではないかと思い、記事にしてみました。
そのように考える理由は、最後の「まとめ&考察」で書いています。
参考程度にご覧いただければ幸いです。
☑️抽象化とは?
抽象化とは、「目的に応じてまとめること」ということです。
抽象化の定義が抽象的で、なんだかわかりいづらいですよね、、
なので、「抽象化」をよりわかりやすく具体的にするために、下記3人の人物(具体)を抽象化してみます。
そもそも、具体、抽象という概念が相対的な概念であるのですが、ここでは上記のAさん、Bさん、Cさんそれぞれの情報を「具体」として扱います。
性別という切り口で抽象化すると
男性:Aさん、Bさん
女性:Cさん
生物という切り口で抽象化すると
動物:Aさん、Bさん、 Cさん
植物:
…
年齢という切り口で抽象化すると
20代:Aさん、Cさん
30代:Bさん
40代:
….
このように、ある具体(的な個々の事象)を特定の切り口で、目的でまとめることを「抽象化」というということです。
ここで特に重要なのが、「目的に応じて縦にまとめる切り取る」ということです。
またまた抽象的ですね、、、
「目的に応じて」ということはおわかりいただけるかと思うので、「縦にまとめる切り取る」ということに関して、補足をさせていただきます。
図解すると下記のようなイメージです。
「縦に切り取る」とは、「目的に合わせて都合のいいように特定の属性を切り取る」ということです。
反対に「横に切り取る」とは、よく聞く「話を切り取る」の意味合いであります。
すなわち、下記のような要約記事は「縦に切り取っている」ということになります。
政治家さんの演説で、この「縦の切り取り」をうまく使う方もいらっしゃるかと思います。
例えば、演説にて「若者への投資に力を入れていくこと」を謳い、そのメリットを熱く語っていれば、賛同者は増え、反対する人はそこまで出てこないことが予測できます。
ただ、それを実現していくための具体的な施策として、「市民への税の負担を引き上げること」が主張された途端、反対する人が一気に増えるということになりかねないということです。
これは少し極端な例ですが、このように具体と抽象の縦の切り取りの粒度をうまく調整することでメリットを享受するということもできるということです。
また、「よりシンプルに表現する」ということも抽象化の重要な側面になります。
もちろん、人に何かを伝えるという場合において、抽象度の粒度や抽象と具体のバランス等は、その状況によって考慮をしなければなりません。
ただ、難しいことの本質、より多くの具体事象の本質を見抜き法則性を見つけてシンプルに分かりやすく表現するということができる人は数%であり、それによって得られる便益は計り知れません。だからこそ、それをできる人が評価されるということもあります。
神殿を散策していたときに地面のタイルを見て「三平方の定理」を導き出したピタゴラスや、りんごが木から落ちるのを見てそれが万物にも当てはまるという「万有引力の法則」を発見したニュートンなどが、現在でも偉人と評価されているということは言うまでもないかと思います。
また、パスカルが残した有名な言葉として
ということがあります。
これはまさに目的に応じて抽象化をし、シンプルに表現をすることの重要性を物語っているかと思います。
つまり、パスカルは「具体的でわかりくくなっている」という捉え方をしているということであり、この捉え方は面白いですよね。
「具体的でわかりにくい」ということがまたまた分かりにくいので、その具体例を挙げさせていただきます。
わかりにくいですよね、、、
これらは、「片付けろ」という一言で表すことができます。
つまり、「片付ける」という抽象概念を知っている人にとって上記は、「同じ話を何度もしているように聞こえる」という意味で「わかりにくい」とうことです。
このことからも、抽象化の威力、また、抽象化によって得られる便益を理解することができるかと思います。
☑️具体化とは?
具体化とは、「抽象化で得られた法則や概念を特定の事象に適応し、それをより明確にしていく」ということです。
またまた定義が抽象的で、わかりいづらいですよね、、、
抽象化と同様に、「具体化」という概念をより具体的にするために、まずは「目標」を例に具体化を進めてみます。
目標として「自社のリソースを最適化する」ということを設定するとします。
「目標」を具体化していくにあたって、その定義の具体化とその手段の具体化があります。
その定義の具体化とは
・「自社のリソース」とは何を表しているのか。
・「最適化」とは、どのような状態のことなのか。
その手段の具体化とは
・それをどうやって達成するのか。
これらを考えていくということです。
このような目標設定の場合における具体化とは、簡単に言えば、「固有名詞」と「数字」に落とし込むということになります。
「自社の売り上げを前年比50%増にする」みたいな感じですね。
具体化をしていくことによって、解釈の自由度を下げることができ(逃げ道をなくすことができ)、目標の実現性を上げることができるということになります。
「自社のリソースを最適化する」という目標の場合、極端に言えば、数万円の予算をA部署からB部署に移すことだけでも、ストーリーによっては「達成をできた」という解釈もできますもんね、、、
一方で、「自社の売り上げを前年比50%増にする」という目標の場合は、そのようにはいかないということです。
また、「手段の具体化」ということがあるように、具体化とは、「How(手段)を問うこと」でもあるということです。
よくあるのは、「目標」を因数に分解してKPIツリーを作り、何層にも枝分かれをさせて定量化した数字を、それぞれ最適化していくための施策を考え、PDCAサイクルを回しながら進めていくということがありますよね。
さらに「生物」の具体化を例に挙げてみます。
生物を具体化していくと、下記のようになります。
具体化を進めていくということは、このように階層的に分解をしていき、ツリー状にしていくことです。
「生物には、例えば植物と動物が挙げられます。動物には、例えば、魚と虫が挙げられます。」みたいな感じですね
すなわち、コミュニケーションにてよく使われる「例えば」という接続詞は、事前に述べた抽象的な概念を具体化していくフラグであるということです。
ここで、「喩え」と「例え」の違いを紹介したいと思います。
何気なく使っている両者ですが、実は共通点と相違点があります。
共通点としては、ともに「具体」と「抽象」を移動する概念であるということです。
一方で、相違点としては「喩え」は、具体化と抽象化の両方を対象とする「具体⇔抽象」間の移動であり、「例え」は、具体化のみを対象とする「具体⇔抽象」間の移動であるということです。
「喩え」を使った会話の文章の具体例を挙げると
みたいなことです。
このように、「ある具体事象を抽象化して、別の領域で具体化をする」いわゆる「意訳をする」ということです。
「たとえ話がうまい人」というのは、おそらくこちらの意味で使われている方が多いのではないでしょうか。
一方、「例え」を使った会話の文章の具体例を挙げると
みたいなことです。
こちらの方が使用頻度としては多そうですね。
ここの具体化と抽象化の両方を対象とする「具体⇔抽象」間の移動である「喩え」に関しては、下記の記事でも扱っているので、よければ下記の記事もご覧いただければと思います。
☑️まとめ&考察
今回は、 "「具体⇄抽象」トレーニング"を要約して「具体化」と「抽象化」についてまとめてみました。
ここまで、具体化と抽象化についての定義を中心に述べてきましたが、ここからは「具体⇔抽象」間を移動することがこれからのAI時代を生きていくにあたって重要であると考える理由を自分なりに述べてみたいと思います。
「具体⇔抽象」間を移動する能力がなぜ重要なのか?
(ここの移動の幅は大きければ、大きいほど価値のあることだと思います。この「移動の幅の価値」に関してだけで、記事が書けそうですが、、、)
それは、アナロジー的に物事を捉えることができるからであると思います。
アナロジーとは、日本語訳をすると「類推」であり、つまり、「関係性や構造が類似しているものから物事の推論をすること、抽象度の高い真似をすること」ということです。
これは、上記の「喩え」と「例え」で言えば、「喩え」の方の考え方にあたります。
これはいわゆる「規則や公式の発見、適用」のことであり、この思考は人間の知恵の発展に大変寄与してきた考え方でもあります。
アナロジー的に物事を捉えることのメリットを一つ挙げさせていただくと、それは、斬新かつ有効な考え、アイディアを生み出すことができるということです。
例えば、回転寿司が工場のラインの仕組みから生まれたアイディアというお話は有名ですよね。
生産設備としての提供者側(店舗側)に工場のラインの仕組みを導入したことで、「寿司」という性質を扱う提供者側(店舗側)が大きな便益を得られるようになり、かつ、顧客側にも新たな価値を生み出せるようになった、ということからここまで広く普及することになったのだと思います。
アナロジー的な思考をするにあたり「では、寿司の他にどんな食べ物を回すのが適切なのか?」という問いについて考えてみるのは面白いかと思います。
(ここで、何でもかんでも回しまくるという思考は、アナロジー的な思考ではないということは言うまでもありませんが、、、)
それを考えていく方向性としては、寿司の特徴を洗い出し、「なぜ工場のラインの仕組みにそれがマッチするのか?」などということを提供者側(店舗側)と顧客側の両方の観点から考えいく、つまり、成功要因の抽象化を行い、他にそれが当てはまる食べ物を探していくいうことが考えれるかと思います。
同様の考え方を適用し、食べ物以外にも、他の物理的なものやソフトウェアなどの領域でも「回転させる」ということで価値を生み出せないか、ということも考えられそうですよね。
ちょうど今、AIの進化によって、テクノロジーの大きな転換点を迎える時になっているかと思います。
(2023/03/20現在)タイムリーで特に話題になっているのは、GPT-4ですよね。
AIは、囲碁やプログラムなど「定まった範囲(問題やルールなど)」の中では、確実に人間の能力を上回ります。
今現在、どんどん知識自体への価値が薄れてきてる社会になっています、、、
このように、いわゆる「Howの部分」に関しては、これからもどんどんAI等の技術の発展によって効率化、代替されていき、また、「既に存在するものをまとめて形にする」ということも人間の仕事ではなくなっていくと思います。
そこで、人間がAIに「まだ」勝てる、そして、人間に求められることとは
・イノベーション
・ホスピタリティ
・マネジメント…
この辺りなのかと思います。
いわゆる「抽象度を1段階上げたレベルでの勝負」
具体的には
・「未来への仮説構築力での勝負」
・「人間心理に寄り添う力での勝負」です。
「未来への仮説構築力」というのは、上記、斬新かつ有効な考え、アイディアを生み出すということも含まれており、だからこそ、「具体」⇔「抽象」間を移動できる能力が重要でもあるということです。
「未来への仮説構築力」とは具体的に、上記で挙げた「囲碁」と「プログラム」で言えば
「人間は、囲碁というゲームの勝負の中ではAIに負けるが、そもそもの人間にとって面白いゲームを生み出すという勝負の中ではAIに勝てる。」
「人間は、特定の実装を作るためにプログラムをかくという中ではAIに負けるが、そもそもの課題を解くプロダクトを生み出すという勝負の中ではAIに勝てる。」
簡単に言えば、こんな感じです。
以上、長々と書いてきましたが今回はこんなところで「まとめ&考察」としたいと思います。
最後の最後に、個人的に最近「美しいなー」と感じた「喩え」を紹介させてください。笑
落合陽一さんがおっしゃっていた「喩え」です。(一部文章を最低限整えるために修正しています。)
(ChatGPTの誕生など、AI技術が急激に進化してきている社会に対して)
こちらの解釈は、あえてみなさんにお任せいたします。
当記事では、今回紹介した「具体⇔抽象トレーニング」の具体化と抽象化の定義をメインに要約しただけなので、もしご興味を感じられましたら、是非一度、手にとって読んでいただければと思います。
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