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娘にとって親以外の第三者の存在の大切さ。

ぴぃは少し前に、理科の授業で久しぶりに強い強迫症状に襲われた。

生花の解剖中に触れたくない部分に触れ、菌まみれになったと手洗いが止まらなくなってしまった。

その時は理解ある先生の対応でなんとか落ち着きを取り戻した。

そしてその後、担任と生徒指導の先生との話し合いで、生花を取り扱う授業が続く間は、相談室という小部屋で1人で自習をすることになった。

ぴぃはその小部屋を「ぴぃだけの秘密基地」と言っていた。

時々自習、ほとんどの時間を絵を描いて過ごしていたらしい。

それが最近、その秘密基地には行かず、クラスメイトが理科室に移動した後の誰もいなくなった教室にとどまっているという。

ある日、みんなが移動したあとの教室で1人絵を描いて過ごしていると、数学の先生が教室の前を通りがかった。

その先生は、ぴぃのクラスの数学を担当している若い男性教師で、話がおもしろいから授業も楽しいとぴぃから聞いていた。

教室に1人ポツンと過ごすぴぃを見つけ、「あれ?ぴぃさん何してるの?」と声をかけてきた先生。

入学前の面談で、ぴぃの持病と学習遅れについては、教科担任になる全ての先生にあらかじめ周知しておいてくれるとのことだった。

そのことをぴぃにも伝えてあったので、ぴぃは理科の授業で何があったかを正直に話したという。

ぴぃ「花を解剖するのが怖くて、授業を受けられないんです。」

数学の先生「え?じゃあ授業受けないでテストの時どうするの??」

ぴぃ「あぁ、まぁ…なんとかなるっしょ!」

数学の先生「あっはっはっは!!そっかそっか!」

そんなやりとりがあったらしい。

『え?そんなダイレクトに煽る??』と一瞬モヤっとした思いが、ぴぃの切り返しから先生の爆笑という流れで、またしても一瞬にして晴れた。

そのまま先生とたわいもない会話をしていたという。

そして昨日の理科の時間も、ぴぃは教室にとどまった。

するとまた数学の先生がぴぃを見つける。

そして、「またいるな〜」と言って教室に入り、ぴぃの席から2つ隣の席に腰を下ろし、自分のクラスの連絡帳の束を机に起き、そのまま作業し始めた。

ぴぃは自習という名のお絵描きをしながら、先生と横並びでたくさんの話をしたという。

話の内容はいつも話してくれないけど、楽しい会話であったろうことは伝わる。

生徒指導の先生、担任の先生、そしてまた1人、数学の先生という味方をつけ、ぴぃがありのままの姿を認めてもらっていること。

本当に感謝がつきないし、本当に心強い。


小学校の時は、「これは我が家の問題だから」と、学校側に頼ることも、甘えることも、どこかで遠慮していた。

我が家の問題を持ち込んではいけない、学校側に期待してもいけない、そんなふうに思い込んでいた。

実際担任の先生は1人だし、クラスの子たちだけで必死な状態も伝わっていた。

『申し訳ないのですが、特別扱いはできません』

できる範囲で私がサポートするつもりでいたから、特別扱いをしてほしいという思いはそもそもなかった。

先生が伝えたい思いは伝わるのだけど、言い方なのか、ニュアンスなのか、ずっと引っかかっていた言葉。

信頼できる先生だっただけに、少しだけ、寂しさに近い気持ちがあった。

当然、中学校でも同じであろうと思っていた。

引っかかっていた言葉だからって「特別扱いをして下さい」と言うつもりはなかったけど、「ご理解ください」ということは伝えようと、ダメもとの気持ちで中学校へ入学前に足を運んでいたのだ。

それが、ぴぃが中学校に入学して、私が求めていた親以外の第三者の存在がすでに3人も。

私まで心強い気持ちになれると思ってなくて怖いくらい。

ぴぃは家以外の場所でどんなふうに成長するのだろう。

今まで、ぴぃの成長を感じて喜びや幸せを感じることはたくさんあった。

今ようやく、この先の成長が「楽しみ」と思えている。


それにしても、

「なんとかなるっしょ」

先生にそう言えたぴぃの成長がたまらなくうれしい。

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