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マウスに触らずにGoogle Chromeを操る(0):Chromeに触る、その前に

脱マウスよりも重要なこと

何よりも、いちばん大事なことは「そもそも、その仕事やる必要あるの?」という意識です。自分で仕事を増やしてませんか。もう既に世界の誰かが同じことを考えていて、その問題は解決済みで、ググってダウンロードすれば終わるんじゃないですか…。

次に、タッチタイピングです。昔はブラインドタッチと呼ばれていました。つまり、手元をまったく見ずに(「まったく」見ずにですよ、ちらっとも見てはいけませんよ)、タイピング(タイポの修正も含む)ができること。

それから、和文タイプで1分間に200文字程度は入力できる速度があること。腱鞘炎になっちゃったとか、身体的な制約がある場合を除き、この速度が出ないのであればChromeに触る前に、まずタッチタイピングの練習をしましょう。1日15分、ホームポジションから。

ここまでの3つの課題がクリアできた人は、一緒にキーボードショートカットについて考えてみましょう。

脱マウスは可能か?

100%脱マウスをすることは不可能ではないでしょう。でも、むしろ逆に非効率なことも多くなるでしょう。逆に、100%マウスだけで操作するのも、考えるだけで嫌ですね。どんな問題を考えるときでも、バランス感覚が重要です。

すべてのマウスは悪なのか?

もちろん違います。「キーボードのホームポジションから手を離すこと」が諸悪の根源なのです。タイピングの姿勢から、肘を浮かせてマウスに手を伸ばす、その動作が無駄なのであって、別のデバイスを使っているのならば、必ずしも効率に問題があるとは言えません。

トラックポイント(Thinkpadで有名になったアレです)、トラックパッド(Macbook、Let's Note等のキーボード一体型のもの)などは、指がホームポジションからずれてしまう時間的空間的非効率を最小限に留めてくれます。何よりも、肘の位置は変わりませんよね。一方、トラックボールはデバイスに手を伸ばす(肘を動かす)必要があり、かつ操作の習得に時間がかかると聞いているので、筆者は試したことがありません。

コンピュータを手足のように操りたい!

これからの議論は、そのトラックポイントやトラックパッドを触る手間と時間でさえ惜しい、というレベルの話です。「この操作、1日に何十回もやってるけど、もっと楽にできないもんかな」という疑問は、コンピュータを使う理由の原点ですよね。すべては楽をするためにあるべきですし、本来そうであったはずです。なぜコンピュータを使っているのに、面倒なことに時間と視力と集中力を費やしているのでしょうか。そもそもキーボードは入力装置であって、問題解決のために、コンピュータに命令するための道具です。あなたが本当にやりたいことは問題解決であって、キーボードやマウスの操作ではありません。コンピュータへの命令は、あなたが頭で「考える」速度に限りなく近づいて欲しいわけです。脳の一瞬のひらめきを、そのまま入力したいのに、えーと、このキーはどこだっけ、と意識を働かせて操作しているようでは到底、自分の思考速度に追いつけません。そうではなくて、「コンピュータを自分の手足のように使いたい」のです。このような目的意識とスピード感こそが、人々をショートカットへと駆り立てるのです。

さあ、あなたもめくるめくキーボードショートカットの世界へ!笑

キーボードショートカットにはレベルがある

例えば、Chromeだけでしか使えないショートカットもあるし、OS全体で共通して(他のアプリでも)使えるショートカットもあります。後者を特にグローバル・ホット・キー等と呼ぶことがあります。要するに、いつどこでも、このキーを押せば機能するという意味です。

グローバルホットキーは左手を前提に作られている

ここで例として、あの超有名なショートカットを考えましょう。z, x, c, vのキーを使ったアンドゥ、カット、コピー、ペーストは、明らかに左手で操作することを前提にキーが割り当てられています。これがいつからなのか、マウスの登場以前からなのかは分かりませんが、結果的に「右手でマウス、左手でキーボード」を操作することが多くなります。どんなにキーボードショートカットを極めても、必ずマウスを使います。その時に右手がマウスだけに集中できるよう、左手だけでできるキーボード操作を充実させるのが鉄則であり、長期的な戦略です。

これは既に決められたショートカットを使うときだけでなく、将来的に自分でショートカットをキーボード上に割り当てる際に非常に重要となる原則ですから、しっかりと覚えておいてください。テストに出ますぜ。

ここから2020.11.24の主な更新部分です

パソコンのキーボードについて知っておくべきこと

日本語話者なら日本語キーボードをお使いの方が多いと思います。一般的な日本語キーボードの問題は、Ctrlキーの位置がとても操作しにくいことです。(もちろん個人差があります)

109キーボードと左Ctrlキー問題

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はい、上図がJIS規格に準拠した日本語109キーボードと呼ばれるものの配列です。Windows用のPCでは一般的に、このような配置のキーボードが採用されていると思います。Ctrlキーが左下と右下の隅にあるのが大きな特徴です。

さて、この109キーボード、左手でCtrl+tって押せますか?どうします?

ひとつ考えられるのは、左肘を浮かし、左手首をひねって親指を下にし、Ctrlキーを押し、人差し指で t キーを押す方法です。これは初心者によく見られるフォームですが、この操作を下を見ずに行うのはかなり難しく、正確性に欠けます。また、既に指摘した通り、大きく肘を動かすのは、そのまま大きな時間のロスになります。まあ、これを体操として考えれば、肩がほぐれてなかなか健康的な運動かもしれません。親指でCtrlキーを押さえる運動〜。左、右、左、右。ご、ろく、しち、はち。

左Ctrl問題、苦肉の策

タイピング速度をできるだけ落とさずにこの配置に順応するためには、かなりフォームを改造しなくてはいけません。他に方法が無くてやむを得ない場合(他人のPCを借りているときなど)、筆者は左手の小指を曲げて、まるめた第2関節あたりで左下のCtrlキーを押します。ただし不自然な動きなので、どうしても速度が犠牲になります。

Mac用キーボードの例

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ではここで、AppleのMagic Keyboardの日本語モデルを見てみましょう。今ではめずらしいと思うのですが、Ctrl(ここではcontrol)キーがAの左横にあります。これなら、Ctrlキーを左手の小指で押しやすいと思いませんか。実際、ホームポジションの延長線上にあるキーですから、下を見ずとも簡単に操作できます。タッチタイピングを行う上で、またキーボードショートカットを素早く、頭で考える速度とほぼ同時に操作するためにも、Ctrlキーの位置はAのひとつ左、というのが理想的です。

CtrlとCaps Lockの入れ替え

109キーボードが操作しにくいと感じる人は、必ずこの準備をしましょう。ソフトウェア的に、キーを入れ替えることができます。最も一般的なのは、CtrlキーとCaps Lockキーを入れ替える方法です。Windowsの場合、ソフトウェアをインストールする必要があると思います。やり方は適当にググってください。こうすることで、Aの左隣にあるCaps Lockキーを押すと、Ctrlとして機能するようになります。左下のCtrlキーを押すと、Caps Lockキーとして機能します。

Macの場合、CtrlとCaps Lockの入れ替えはOSの設定画面で簡単にできます。せっかくですから、まずシステム環境設定をキーボードショートカットで呼び出す練習をしましょう。Command+Shift+Ctrl+, です。","は、右手中指下段のカンマです。せっかちな人はアップルメニューなんかクリックしません。

MacはCommandキーを使えばいいじゃない?

Macでもっとも使うのはCommandキーでしょう。しかし、実はMacには隠れたキーボードショートカットがたくさんあって、特にカーソルの移動、文字編集においてこのショートカットを使えるかどうかで速度に雲泥の差が出ます。その「隠れキーボードショートカット」において、重要な役割を果たすのがCtrlキーです。ですから、ショートカットを使い倒す上ではMacであろうとWindowsであろうと、Ctrlキーを一瞬で操作できることが非常に重要なのです。

ちなみに筆者は英語キーボードのMacBookProを使っていますが、CtrlとCapsの入れ替え以外に、たくさんのキー割り当て変更をKarabinar-Elementsというソフトで行っています。英語キーボードは「かな」キーや「英数」キーが無いので、スペースキーが広く、Commandキーがちょうどよい位置にあります。(その分、キーの入れ替えに適した余分なキーが少いので、カスタマイズがとても難しくなります)注意したいのは、英語キーボードは記号の配置がJIS規格の日本語キーボードとはまったく違うので、車で言うところの右ハンドルと左ハンドルぐらい、あるいはもっと操作が違うことです。乗り換えを検討する際は十分ご注意下さい。

テンキーは必要か

英語圏ではkeypadと呼ぶと思いますが、あの電卓と同じ配置で数字と記号が並んだやつのことです。これもマウスと同じ理由で、できれば使う時間を減らしたいもののひとつです。帳簿入力のような業務を頻繁に行わないのであれば、数字もタッチタイピングで入力できますから、そもそも必要ありません。たまにテンキーを使いたいだけの人は、USBやワイヤレス接続のものを1つ持っていれば十分です。テンキーが陣取っている部分のスペースを他のことに使いましょう。

今回のお話はここまでです。まさか自分でもChromeを起動する前に4000字も書くとは思っていませんでした!ではまた次回!


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