♩Tom Waits - You Can Never Hold Back Spring

"You can never hold back spring
You can be sure
I will never stop believing
the blushing rose that will climb
spring ahead or fall behind
Winter dreams the same dream every time
Baby, you can never hold back spring

Even though you've lost your way
the world is dreaming
dreaming of spring
So close your eyes
open your heart
to the one who's dreaming of you
You can never hold back spring
Remember everything that spring can bring
Baby you can never hold back spring"

映画『人生は、奇跡の詩』の冒頭で歌うトム・ウェイツ。高校時代に日比谷の映画館で観て衝撃を受けたジム・ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロー』を思い起こさせる、ベニーニ夫婦との再共演。数十年前に欧州の友人達を訪ねた旅を思いだす。「差異」から「類似」への発見の旅。歴史や文化、言葉の違いを超えた「こころ」と触れ合った旅。いつどこにいようとも「詩情」が溢れている日常。

[追記]

「詩人」中原中也のことはよく知らない。知っていることといえば、小林秀雄同様、ランボーにやられちまった方であることくらい。にもかかわらず、最近見つけたこの方の逸話が頭から離れない。履歴書の備考欄に「詩人」とのみ書き「これでは面接にならない」と言われ「それ以外の履歴が私にとって何か意味があるのですか」と答えたという話。ランボーは早々を筆を捨て遠くへと旅立った。

昔、友人から「詩人」だという友人を紹介された。心がざわめいた。「え『詩人』だって?」といらつきつつも返す言葉が見つからなかった。「詩人」などと書かずとも言わずとも「詩」以外の何があろう。ベニーニがこの映画で伝えたかったのはそういうことだろう。全場面に「詩」が満ちている。ベニーニが「詩」そのものになっているのだ。いや、ベニーニに限らず、ありとあらゆるものが「詩」なのだ。