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映画の話370 八つ墓村(1977年版)

 横溝正史の作品群の中でおそらく最も有名なものではないかと思います。
「祟りじゃあっ!八つ墓村の祟りじゃあっ!」というセリフと共に、異様な格好で、花盛りの桜をバックにこちらに向かって走ってくる男の姿を予告編で観て、何としても観たいと思ったのが小学生の頃でした。当然、観たらいけないと言われ、かと言って一人で観にいく勇気がなく、一緒に行ってくれる友だちもこればかりはありませんでした。
 落武者伝説、呪い、謎の死、連続殺人、そしてこれもまた、古い村の因習。こんなにたくさん面白そうな要素がてんこ盛りで、今観ても丁寧なつくりで面白さ満点です。
 後になって知りましたが、実際にあった大量殺人事件をモデルにしているという、この映画の存在自体がすでに怪異だと思います。
 虚構と事実の勝負を見るようでもあり、そう思いながら観るとよけいに面白いです。
 うーん、恐くて、美しくて、奇怪でたまりません。

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