映画の話457 カフカ「変身」

　フランツ・カフカの『変身』を、実写化したものです。割に原作に忠実でした。虫の造型が、グロテスクでもあり、どこかユーモラスでもあるところに、現代への強烈な皮肉が込められていると思いました。
　ストーリーに対する解釈は、すでに多くの考察がなされているので、改めて云々しませんが、映画版に限って言うと、不条理よりも深い哀しみと切なさが強く描かれていると思いました。醜い巨大な虫となったグレゴールを愛おしくさえ思えます。それが、『変身』のこの映画の解釈だと思いました。