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「茶会」にもチームビルディングがある

抹茶を飲むシチュエーションのひとつとして「茶会」があります。

学校の文化祭で、茶道部が「茶会」をしているというのを見たり聞いたりしたことはありませんか。一度に多くの人にお茶を召し上がっていただく、お茶のもてなし形が、「茶会」です。

「茶会」では、亭主(お茶を点てる人)が点前をしている間に、水屋(茶室のバックヤード)で点てた茶が順にお客様に運ばれてきます。そしてお客様が召し上がった頃合いで、空になった茶碗を下げてくれます。お茶の前にお菓子も運ばれてきます。

亭主が、お客様ふたりくらいにお茶を点てているタイミングにあわせて、同時進行で同じ種類の菓子と茶が50名ほどに水屋からふるまわれます。それを水屋のメンバー数名で担っています。

では「『茶会』にもチームビルディングがある」を説明します。

「茶会」のGoalはひとつ

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茶会の目的は、お客様にお抹茶をおいしく召し上がっていただくことです。
床の間の設えや季節の花、そして静寂も“おいしく召し上がっていただく”ための空間演出です。お菓子やお茶の、温度や香りや味ももちろん大切です。
その目的に向かって皆で作り上げていきます。

「席主」という総監督の存在

茶会の席をまとめる総監督がいます。
掛け軸はどうしようか、花入は何にしようかと、茶会の何日も前から取り合わせを考え準備をします。茶会当日は、お客様に楽しんでいただけるように気を配っています。

この席主が、お客様に失礼のないようにスタッフの動きもチェックをし、指示命令をします。指示命令というと大げさですが、スタッフを促す声掛けをしたり、運営判断をしたり、その茶会の席の全責任を負っています。

明確な役割分担

“おいしくお茶を召し上がっていただく”ためのスタッフの動きについて説明します。
茶室では点前が披露されている静寂の空間の雰囲気があります。
それを壊さないように、お茶の準備が水屋では行われます。

 菓子を皿に並べる人。 茶碗を温める人。 茶碗を拭く人
 茶碗にお茶を入れる人。 お湯を入れる人。 茶筅でお茶を点てる人。
 運ぶ人。 飲み終わった茶碗をさげる人。 茶碗を洗う人。

水屋では、これらの一連が、茶室の静寂を壊さないように、手分けして瞬時に進められています。
席主から、水屋リーダーが任命されることもありますが、スタッフそれぞれできることを担当します。しかもタイミングよく。

茶道を初めて日が浅いスタッフもベテランも、足腰が弱くなっているスタッフも、一丸となって、自分のできる事でサポートします。
明確な茶会のGoalが皆の中に理解されていることから、適材適所に作業を担当して協力しあえています。

気配りの人の集団

茶道を志すものの集まりですので、お客様に対するもてなしとともに、仲間に対しても細かな目配りをしています。スタッフの仲間は、茶道というブレない軸と、お客様に喜んでいただきたいというGoalから、信頼で互いが繋がっています。

というと聞こえがいいですが、ぼーっとしているにスタッフ対しても優しく「これを手伝って」と、効率的な動きができるよう声掛けしています。
そんなスタッフが、お客様にお茶を水屋から運んできているのです。

さいごに

「茶会」での水屋の様子から、チームビルディングがイメージいただけましたでしょうか。

水屋では、せっせと働いているスタッフがいますが、まったくそれを茶室にいるお客様には感じさせないように動いています。
それは、席主という総監督と、信頼できる仲間とから心理的安全性でまもられているスタッフが、自分ができるおもてなしを考え行動しているからです。

茶会でお茶を召し上がってみてください。静寂のなか穏やかな雰囲気に包まれておいしいお茶を頂けると思います。


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