リスキリングと螺旋的発展の話

一周まわって…。

四季は一年毎に繰り返します。
一二干支は12年で一回りし、六十干支では60年で一回りします。
60歳を還暦というのはその六十干支からきています。

その他にも「回る」という概念で認識されるものはたくさんあり、例えば「禍福は糾える縄の如し」とか「因果応報」とかもなんとなく丸く回るイメージではありませんか?

ところで最近はやりの「リスキリング」。
「学びなおし」と訳されることが多いですが、ビジネス環境の変化によって新たに必要となる業務・職種にも対応できるように、スキルや知識を再習得するという意味です。

例えば、私が大学を卒業した頃の話です。商品設計では、紙の用紙に鉛筆とドラフターで書いていたものが、コンピュータの活用で2次元CADや3次元CADが導入されたため、そういうCADの使い方もさることながら、従来とは違った設計プロセスを学びなおす必要が出てきました。これなども典型的なリスキリングだと思います。

いまだとDX社会の実現へ向けて、自分の仕事のデジタル化のみならず市場視点での仕事のやり方の変化も学びなおす必要がありそうで、そのためのカリキュラムも盛況らしいです。

さて、ギリシャ時代の哲学に「弁証法」というものがあります。アリストテレスやヘーゲルなどの弁証法が有名ですが、その一つの主張に「螺旋的発展」というものがあり、これが先ほどのリスキリングに通じるのではないかと感じています。

螺旋的発展とはいわゆる「歴史は繰り返す」みたいな感じです。ただ、単にくり返すのではなく、そこには何かの技術的進化や環境の変化を反映するという事を忘れてはいけません。

大学を卒業して最初にやった仕事は「機械設計」でした。その後「マーケティング」や「商品企画」の仕事もしつつ、「商品販売」の会社に転職した。結婚して地元に戻る時には「設計事務所」を始めた。みたいな人生ってありますよね。残念ながら私ではありません(笑)

1周回ってきた。しかし初めの「機械設計」と今の「設計」は同じものではないはずです。それこそCADは必須ですし、マーケティングやプランニングを経験したことで顧客視点を明確に持てるようになったはずです。つまり身につけたスキル分、能力の高さが上がっているはずと考えるのが「螺旋的発展」なのです。

一周まわってきたときに、それまで獲得したスキル分の高さがある。さらにその高さを上げていち早くビジネス環境の変化に対応する新しいスキルを学ぶことがリスキリングの本質だと感じます。

今日は2023年の4月1日。
ここ最近、私の周りの状況も「一周まわった」変化を迎えそうです。その要因の一つはコロナも落ち着きを見せて、人の流れが出てきたことがあります。この機会を逃さず「螺旋的発展」と捉え、更に顧客満足を高めるために「リスキリング」していきたい。そんなことを新年度の朝に計画しています。

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