見出し画像

旅先での心と身体をいたわる自家製クラフトコーラ

温泉旅館の滞在では、食事に合わせて、地酒などのその地でしか味わえないドリンクを楽しむこともまた楽しみの一つではないでしょうか。

島根には優秀なワイナリーや酒蔵も多くあり、地域独自のお酒が数多く生産されています。
昨今は島根産のブドウで醸された優れたワインがたくさんあります。また酒蔵では伝統的な製法や技術を守りながら醸造された特徴ある地酒が多く存在しています。

草菴では、この島根ならではの豊かな酒文化を大切にし、お料理に合う地元のワインや地酒を幅広く取り揃えています。

島根の個性的な地酒たち。

ノンアルコール飲料の魅力付け

しかしながら、健康やライフスタイルに対する意識の高まりなどがあり、昨今はアルコール類を召し上がらないお客様も多くいらっしゃいます。
そのためノンアコール飲料の魅力付けが必須であると感じていました。
お酒を飲まない方でも、ここでしか味わえない特別なドリンクでおもてなししたいという気持ちがあり、そこで、私がパッと思いついたのは「自家製クラフトコーラ」でした。

試行錯誤のはじまり

思い立ったが吉日、私はすぐに「自家製クラフトコーラ」を作り始めました。
砂糖と水の基本的な配合を決めるのがまず最初の難関でした。

ことこと煮ること40分ほど。

砂糖が多すぎると粘度が増し、炭酸と合わせるときに撹拌しづらくなります。また、水が多いと炭酸で割ったときの風味が薄く感じられました。
細かな調整を重ねることで、試作4回目に理想的な砂糖と水の割合を見出しました。

基本的な配合が見つかったら、あとはスパイスのバランスです。
現在、草菴のクラフトコーラには「カルダモン」「スターアニス」「クローブ」「ブラックペッパー」「シナモン」の5種類のスパイスを使用しています。

基本の5種のスパイス。(現在カルダモンはホールを使用)

特に、コーラの肝となるスパイス「カルダモン」ですが、はじめはホールの状態で手に入らず、パウダーを使用していました。しかし、やはりホールのカルダモンを試したいと思い、発注して手に入れました。
ホールのカルダモンの袋を開けた途端、目の覚めるような香りにびっくりしました。パウダーとは格段に香りが違いました。
そのため、パウダーで作っていた時の配合とはまたバランスが変わってきました。
また、コクのある味わいを目指して「スターアニス」を増やしてみた時も、コクが出るというよりスターアニスの香りが悪目立ちしてしまう感じで、やはり全体のバランスが悪くなってしまいました。
そのような試行錯誤を繰り返しながら、徐々にスパイスのバランスを整えていきました。

自家製クラフトコーラに込めた思い

私が自家製クラフトコーラに込めた思い、それは「おいしさ」だけでなく、お客様の心や身体をいたわるようなドリンクにしたいということです。

私のクラフトコーラづくりは、お客様の体調や気温を考慮してスパイスの配合を変えたり、旬の素材を使います。
旬の食材を食べるということは、味がおいしいのはもちろん、体にも良いとされています。
自然のサイクルに合わせて旬の食材を摂取することで、代謝を良くする効果が期待できるからです。

例えば、暑い夏にはさっぱりとした味わいのためにライムを多めに使用し、スパイスも爽やかなカルダモンの風味を引き立てるようにブレンドしています。
一方、寒い冬にはライムの代わりに旬の柚子を加え、やわらかい味わいに仕上げます。また、ブラックペッパーを効かせ、体を温めるようなスパイスの配合に変えています。
気候や体調の変化によって、お客様がいつでも美味しく、心地よく、楽しめるよう工夫をして作っています。

目に見えないおもてなし

季節によって変わるコーラの味わいは、目には見えないおもてなしの一環です。
夏には爽やかなレモンやライムの風味が、冬には温かみのある柚子や生姜の風味が、その季節ならではの味わいを引き立てます。
私にとって、クラフトコーラを作るとき、今の気候や旬の食材などを考えながらレシピを考えることはとても楽しい工程です。
最近は、数をこなしてきたからか、インスピレーションでレシピを変更して作っても、バランスを崩すことなくほぼ自分の予想通りの味わいに仕上げることができるようになってきました。

今後も自家製クラフトコーラをはじめ、ノンアルコールのドリンクメニューを充実させ、お食事だけでなく、一緒に楽しんでいただいたドリンクも、滞在の特別な思い出として残っていくことを心から願っています。
これからも皆様に楽しんでいただき、自分も楽しんでいけるような工夫をしていきたいと考えています。



この記事が参加している募集

イチオシのおいしい一品

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?